「釣りをやさしく」をコンセプトに、月間200万PV(2017年6月現在)を誇る釣り情報サイト「ツリホウ(釣報)」や、スマートフォンアプリ「ツリバカメラ」を運営しています。
CEOのカズワタベ氏は数多くの転校、音大時代のバンドデビューや東京での起業の末に福岡にたどり着いた異色の経歴の持ち主。そんなカズワタベ氏から常にマイノリティー側にいることの魅力と、スタートアップの極意を伺いました。面白いことで起業したい人、自然に目立てるようになりたい人必見です。
カズワタベ
ウミーベCEO
1986年4月長野県松本市生まれ。
音楽大学卒業後、クラブジャズバンドの活動を経て2011年にGrow株式会社を創業。その後独立し、住環境を理由に福岡に移住。フリーランスとして1年半ほどウェブ、デザインに関わる制作、ディレクション、コンサルティング業務を行い、2014年8月にウミーベ株式会社を設立。釣りとインターネットとサッカーとデザインとアートと音楽とマンガが好き。
記事のポイント
- 常にマイノリティー側に立つことの魅力
- 持てるリソースを最大限に生かす、魅せる
- 独自性がスタートアップ成功のカギ
スタートアップ的マインドを培った少年時代
―カズさんご自身がマイノリティー側に魅力を感じる原体験とは何ですか?
父親が転勤族だったので、18歳で東京に住むまでに7~8回くらい引っ越しをしています。場所が変わることで、カルチャーやルールが変わるということを経験として持っていることがかなり影響していますね。あとは、当時から集団行動というものに違和感を持っていて、中学生の時すでに将来就きたい職業を聞かれて個人事業主って答えてました。それって職業なのかって突っ込まれましたね(笑)。
その後、大学を選ぶタイミングで自分が好きな経営者が経済学部や経営学部を出てないことに気づき、好きだった音楽をやりたいと音大への進学を決めました。バンドを組んで、インディーズですがCDをリリースして全国のタワーレコードに置いてもらえたこともあります。
―かなり独自路線で、特異な経歴ですね!そこから経営者の道へ?
昔からすでに誰かに作られた仕組みの下で動くのが嫌なんです。なので自然と自分で仕組みを作りたいと思うようになりました。会社も言わば利益を生み出す仕組みづくりだから、いつかは自分でやってみようと思ってたんですね。新しいシステムを作ることは必然的にイノベーションを伴うので、現状は全く関係ない。むしろ壊す対象でしかないのでそこが面白いですね。
失敗から成功へ Webコンテンツの面白さ
―一回目の東京での起業も、そのマインドが原点ですか?
そうですね。新しい仕組みが作りたかった。
当時から主流のWebの収益モデルである、クリック数やPV数を稼いで、広告で儲けるという仕組みに違和感がありました。内容に関係なく、ただ数を稼ぐだけって本質的じゃないなと思って。そこで、24歳の時Grow!というサービスを立ち上げました。自分がミュージシャンだったこともあって、ストリートライブのような感覚で、気に入ったらお金を払うという仕組みをウェブ上で行えるようにすることで、クリエイターを支援できないかと思ったことがきっかけです。よりポジティブな消費活動の仕組みを作りたいと思いました。
Grow!ボタンというインターフェースを作成。一般ユーザーはGrow!ボタンをクリックすることで、クリエイターにチップという形で金銭的な援助を行う。クリエイターは自身の作品を載せているWebサイトにGrow!ボタンを埋め込むことで利用が可能という操作性の高さが特徴。
現在は終了しているサービス。
―今流行のクラウドファンディングの先駆けのようなものでしょうか?
そうですね、ちょうど国内でクラウドファンディングサービスが立ち上がった頃でした。
ユーザーの善意によってクリエイターが支援される、新しいお金の流れ方の仕組みを作りたかった。当初はかなり話題になりましたが、経営陣の力不足で事業としては上手く軌道に乗せられませんでした。
―そこから得た反省とは何ですか?
反省…、100個以上ありますね(笑)。
1つ言うとしたら、みんな一回くらいの失敗は気にせずどんどん試してみたらいいと思います。事業の設計ってやればやるだけ精度は上がっていくんです。その経験そのものが大事だと思うので、取れる範囲のリスクを負ってとりあえずやってみるべきです。
―ツリホウも「やってみよう」の精神で立ち上げたということですか?
そうですね。立ち上げたときは1年後、月間30万PVあればいいかなと思って、全然伸びないようなら1、2か月で閉じようと始めたプロジェクトでした。なのでリソースを割くわけにもいかず、サイト自体は僕1人で、4日間でプロトタイプを作って始めたんです。例えば大企業での新規プロジェクトとかだと、上司の決裁や予算のクリアなど他にも入念な準備をしてやっとリリースする。そうなると精神的にも簡単には撤退の判断が出来なくなってしまう。スタートアップの強みはやはりスピード感だと思うので、初めの段階では意識しましたね。
今はスピードはそのままにコンテンツそのものの質も重視しています。結局どれが当たるのかは、やってみないとわからない部分もあるので、細かくジャブを打ってみて、当たったところにリソースをつぎ込むのはひとつの手ですよね。
ツリホウトップページのキャプチャ画像