人生100年時代といわれる昨今。時代の変化もめまぐるしく、若い頃に建てた家が現代のライフスタイルに合わなくなってきたり、年齢と共に不便だな・・・と思うこと、ありませんか?そう感じたら、リフォーム適齢期。こまめにメンテナンスされた状態のいい家は、空き家になった場合も次の利用者が見つかるケースが早い傾向にあります。これから先、自分自身がもっと心地よく暮らすために、住まいのアップデートをしませんか?これまで数々の空き家改修を手掛けてきた一般社団法人アンド・モアの代表理事小林陽子さんも最近自宅をリフォームし、老後を過ごす空間を整えました。小林さんのリフォームに注目しながら、これからのわが家について、ちょっと考えてみてください。


—なぜリフォームをしようと思ったのですか?
小林 うちの父と母が90歳を過ぎて、施設へ入ったんですけど、両親の介護を通して「どうしたら老後を素敵に過ごせるか」を考え、自分の未来を予測して、年をとっても素敵に住めるよう、改装しました。
—リフォームの一番のポイントはどこですか?
小林 両親が施設に入ったのをきっかけに一遍にやったけど、「これで完成!」「終了!」ではないんよ。年をとって体の変化に合わせて、少しずつ変えていけるのがポイント。全室バリアフリーで、トイレでもキッチンでもキャスター付き椅子に座ったまま、自分の足でトントンって移動できる。それで将来、いよいよ車椅子になったらトイレもお風呂も車椅子が入る幅にしてあるので、扉も取っ払って、介護もしてもらいやすいように変えられるようになっています。キッチンもちょっとした調理をするだけの小さなものにして、とにかくできる限り自宅で気持ちよく過ごすことを諦めないように直しました。


—自分の将来に合わせてカスタムできるリフォームは画期的ですね。この部屋には押し入れなどの収納部分がないのも斬新です。
小林 子育て世代の人達が家を建てると、その時に持っている物の分量に合わせて収納を作るので、うまく入ると思うんです。逆に物がなくても、収納があればあったで、人ってどんどん詰め込んでいくんですよ。片付け好きの私ですら、どんどん詰め込んでいることに気付いて、今は減らしていくようにしています。収納スペースは作らず、家具に収まるだけにしています。

—家を建てるのって子供もいて、自分達もバリバリ仕事をしている家族の最盛期のような時期ですよね。子供も巣立って夫婦二人暮らしになっても、その時のまま暮らしている人も多いと思います。
小林 私から言わしたらリフォームチャンスって必ずあるのに、みんな見逃してる。

—台所とかお風呂とかはリフォームするかもしれませんが、部屋まではなかなか・・・。
小林 人間てね、チャンスが来るんよ。リフォームチャンスがあるんよね。みんな、大きくリフォームしようって考え過ぎる。うちは台所もお風呂も40年使ってるけど、そのまんまよ。台所をキレイに保つコツは、壁紙変えたらいいねん。シュシュッと剥がして、一新するねん。古いキッチンでもびっくりするぐらい綺麗になるねん。


—リフォームチャンスはどうやって見分けるんですか?
小林 なんかのタイミングで、ちょっとしたお金が入ったりする時があるやろ? その時にそれ使ったらいいんよ。貯めておこうとか、あとで一気にしようっていうふうに思いすぎてるな。
—リフォームするときに、他に気をつけることはありますか?
小林 掃除はルンバ(お掃除ロボット)。これからはルンバが使える空間にせなあかんと思てんねん。窓も床も何もかも、とにかくAIを利用する時代になってくるから。なんせみんな、汚くなってから一気にリフォームしようとするから、ものすごいお金がかかる。そんなにお金をかけなくても、洗面所や水回りは壁紙変えるだけで気持ちがリフレッシュするし、キッチンだってキッチン自体が汚いんちゃうねん。壁紙と天井が汚れてるから汚く見えるんよ。
—言われてみれば、壁紙を変えたりするだけで今風な雰囲気もつくれますね。小林さんのように住まいをアップデートしていくようなリフォームが広まれば、家に対する意識も変わり、空き家になっても利活用が進みやすくなるかもしれませんね。ありがとうございました。