空き家活用のモデルとなる交流施設

店舗兼住居として使われていた『山崎菓子舗』は、築80年の古民家。JR牟岐線「日和佐」駅から徒歩15分、美波町役場のすぐ隣という好立地ながら、約10年間空き家として放置されていました。家主さんは時期をみて取り壊そうと考えていたようですが、「地域のために使いたい」とお願いし、空き家探しや仕事探しのための長中期滞在可能な『移住交流施設やまさき』として、徳島県への移住定住支援を行っている一般社団法人アンド・モアがリノベーションしました。


▲改装に入る前に、まずは片付けから。生活用品などはほとんど片付けてあったが、押し入れの荷物を整理するとこんなにも処分するものが出てきた。

あちこちに空き家がある中、この場所にこだわったのは代表理事の小林さん。「コンビニもなかった時代、この店は朝早くからオープンし、夜遅くまで営業する地域になくてはならない店でした。その思い出もあり、なんとかこの物件をいかしたいという思いが強くあった」と話します。

空き家改修の醍醐味は、使えるものをいかす工夫

とはいえ、シロアリで2階の床が抜け落ちていたり、現在の耐震、防火基準に合わせ、壁や窓を増設するなど、かなり大掛かりな修復も必要で、一度は「やめよう」という話も出たくらいでした。しかしお風呂やトイレ、キッチンなどの水回りは比較的新しく、改修の必要がなかったことから、改装にかかった費用は約200万円。廃業する旅館から建具をもらってきたり、ふすまや障子の張替など自分たちでできることは極力行い、コストを抑えました。


店舗部分だった1階は、同法人の事務所兼コワーキングスぺースとして1日1000円で貸し出し、1階奥の1部屋と2階の3部屋は、主に移住希望者のための宿泊施設にしました。利用は徳島県への移住を希望する人を優先に、1泊1人3000円~。寝具・食器などの生活用品や洗濯機・テレビ・電子レンジなどの家電、Wi-Fiなど生活に必要な設備は一通りそろっており、自転車の貸し出しもしています。単身でも家族でも、基本は1棟貸しですが、先住者が承諾すればシェアも可能。

移住希望者の利用がない日は、観光客も利用可能で、観光目的の場合の宿泊費は1泊1人4,670円~。最近は外国人の観光客も増えており、2階の窓から海が見渡せ、日和佐城や薬王寺などの観光名所も望めると、とても喜ばれています。
美波町で行われている様々な取り組みをもっと知りたいという人は、こうした施設を利用して町に滞在してみると、課題解決の糸口が掴めるかもしれません。


▲2階の物干し場の汚れは高圧洗浄機で清掃。たまたま知り合った京都造形芸術大学の学生が清掃を手伝ってくれて、高圧洗浄機アートとして宇宙人の絵を残していきました。

▲改装中は現場の掃除などリフォームに直接かかわらなくても、作業は山ほどあり、10時と3時に職人さんたちと一緒の休憩タイムは楽しみのひとつでした。

移住交流施設やまさき

徳島県海部郡美波町阿波本村16-2
(美波町役場となり)
TEL 0884-77-0575
※移住希望の場合は美波町役場(TEL0884-77-1111)へ連絡下さい。

●徳島県への移住、定住をお考えの方を優先し、宿泊いただいております。宿泊の際は徳島県が行う『とくしまで住み隊』会員へのご登録をお願いいたします。会員登録はウェブ(https://tokushima-iju.jp/)でお申し込みいただくか、チェックインの際にお申込用紙にご記入をお願いいたします。●使用期間中の食事、歯ブラシ、髭剃りなど個人で使用される生活用品にかかる費用はご負担ください。●長期滞在の場合やご家族(4名以上)での滞在の場合は割引がございます。ご相談ください。●ご予約はお電話で受付いたします。