新型コロナウイルスの影響が懸念される中、様々なところで感染症対策を講じた取り組みが始まっています。ピーク時には休校措置をとっていた教育機関も通常運転が始まり、少しずつ日本全体で新しい日常が始まっているのではないでしょうか。

そんな中で、ちょうど後期のカリキュラムが始まる直前となっている大学生にも様々な影響が出ていると指摘されています。基本は在宅が推奨され、オンライン授業が主になっていること。大学に通えず孤独感を感じている学生が多いこと。店舗の休業等の理由でアルバイトが継続できなくなっていることなど、目につくものだけでも数多くのトピックをあげることができます。

コロナ禍で大学に通えない。だったら住む場所を変えちゃおう。

発起人の杉本さん

このような状況を見て動き出した地域があります。宮崎県日南市。商店街の再生などで、地方創生の注目事例として知られるところです。

日南市で地域活動を支援するローカルメディア「ヤッチャ」が主体になり始まったのが「ヤッチャの学校」。代表を務める杉本恭佑さんが発起人になり、自治体を巻き込んで開催にこぎ着けました。

杉本さん自身が地域に関わるようになったきっかけが大学時代。地元を離れ、宮崎大学に通ったことが始まりでした。

「知識」は学校の授業で得ることができるけど、家に閉じこもって授業を受けるだけでは「経験」を得ることができないと思います。でも、経験するために地域に行くことができない。僕に何かできることがないだろうか。

自身の大学生時代と重ねながら発案したのが「ヤッチャの学校」です。

「地域に通うのではなく、地域に暮らしながら学ぶ」

これがコンセプト。地域に通えないなら住んだら良い。リモートで大学の授業を受けながら、暮らしながら地域と関わってほしい。そんな思いがスタートでした。

リモート通学の環境完備。何をするかは自分次第

リモート授業であれば、全国どこの大学に通っていても関係なく授業を受けることができ、十分に対策が行われた上で、地域での活動や、友人との遊びや、広く人生の糧になるような取り組みを提供する、それがかたちづくられた構想です。

2020年9月から2021年2月までの5ヶ月間、日南市で暮らしながらリモートで大学に通い、残りの時間で様々なやりたいことができる時間を提供するというわけです。

地方創生の先進地域学べる独自のローカルベンチャー講座

参加者には全員参加のプログラムと、任意参加のプログラムが用意されています。目玉のひとつが、日南市で活躍する講師陣による月2回のローカルベンチャー講座。地域を舞台に活躍する面々の講義を直に受けることができます。

将来、まちづくりや広くは地方創生に関わりたいという大学生にとってはまたとない機会ではないでしょうか。その他にも、日南市の事業へのインターンシップや、地元企業と連携したアルバイトの紹介など、日南市で暮らすことに必要なプログラムが並びます。

しかしあくまで提供されるプログラムはおまけ。自分自身の時間の使い方を含めて、日南市での暮らしをどうデザインするのかは、参加する大学生に委ねられています。

半年間の地域が舞台のキャンパスライフ

「ヤッチャの学校」が提案しているのは、リモート時代における新しい地域との関わり方かもしれません。コロナ禍において進んだように見えるリモートワークをはじめとしたITを活用した生活のあり方は、急に始まったものではなく、従来から模索されてきた方針であり、それが加速したのがこの半年だったと言えるでしょう。

特定の場所から開放されたとき、自分のベースとなる暮らしが見直され、より生き生きとなれる環境が求められるではないでしょうか。

これから始まるヤッチャの学校がどのような取り組みになるのか。アフターコロナを見通す上でも要注目だといえます。

全国の大学生の方は、この機会に期間限定の地域が舞台のキャンパスライフを送ってみてはいかがでしょうか。