宮城県を代表する湯守「伝承千年の宿 佐勘」(宮城県仙台市)は、中世より守り続けてきた ”心の原点に触れるおもてなし” を残しながら、ウィズコロナ時代のニーズを捉え、新たなサービスの実現を目指す。

昭和63年に「株式会社ホテル佐勘(以下 佐勘)」へ入社した34代目当主の佐藤 勘三郎氏。産業としての旅館業を定着させようと、健康・美・寛ぎ・癒しを発信する新しいアプローチで旅館づくりを行ないながら、アクティビティなど観光業という大きなカテゴリーに温泉宿が介入することで、温泉地の目的地化を目指している。

新型コロナウイルスの影響と対策

例年は平日の4割を県内利用者が占めていた佐勘だが、今年の県内利用客は半減。4月22日〜26日の連休は県外利用客が多く、お盆期間での増加も見込んでいる。「キャンペーンはうれしいけれど、一過性のお祭りだと捉えています。足腰をしっかり構えなくてはならないと思います」と佐藤氏。

その一方で、松島佐勘 松庵(宮城県松島市)の利用率は110%となっていることから、利用客がコロナ対策として規模が小さく、キャンペーン利用で高級宿を利用する傾向が見られる。また、以前よりインバウンドの受入が難しい東北だったが、バンコク(タイ)を中心に震災後は増加していた。しかし今回のコロナ騒動によってまたその歩みは止まっているため、こちらの回復も求められている。

Withコロナ時代への準備がはじまる

これからのwithコロナ時代に求められる新サービスについて、佐藤氏は「時間消費を長く取ってもらい満足感が得られる ”おもてなし” が重要になってきています。ニーズは大きく分けて、観光やイベント感を楽しみたいものと温泉や家族時間を満喫するものの2つで、佐勘ではそうしたお客様の声を予約時にキャッチアップできるよう選択肢の準備を進めています。そして、お客様の可動域を低価格かつ利便性を兼ね備えた、着地型観光実現のためにMaaS(3次交通の普及)も推奨していきたいです」と話す。

現在、佐勘の中庭はライトアップとともに音楽が流れる演出が楽しめるほか、秋保ワインも愉しめる「ワインバー くら倉」も営業が再開。「ラウンジ おかみの紅茶」やコンセプトカフェ「神は細部に宿る」の復活を心待ちにしている利用者も多い。コンセプトカフェでは、勘三郎コレクション(歌謡曲や洋楽を中心としたレコード300枚以上)の中から曲をリクエストでき、ネルドリップのコーヒーを飲みながら滞在することができる。

【プロフィール】
株式会社 ホテル佐勘
開湯は飛鳥期。平安期に創業し、祖代は秋保の地で湯守と山守・川守となって、領内支配の一翼を担っていたが、徳川初期仙台藩主・伊達政宗公の湯浴御殿の湯守職となり、現在34代に及ぶ。
引用:ホテル佐勘ホームページ

<伝承千年の宿 佐勘公式サイト>
https://www.hotel-sakan.com