枚方つーしんがほぼ広告を主体としたメディアであるのに対して、沖縄CLIPは地元ブランドのECで成功。ジモコロは記事がTVに取り上げられることでトータルとして高い広告効果を生み出しているなど、メディアを収益化する方法も多様化しています。先日上場したばかりのwebメディア運営会社である「株式会社ほぼ日」を例に挙げながら、「地域はブランドが作りやすいので、長く愛されるヒット商品をつくるのは、地域メディア収益化の一つの方法として横展開しやすいだろう(倉重氏)」といった意見もありました。

西田氏、徳谷氏が共通して語っていたのは、地域の「ストーリー化」「コト化」といった、リアルな体験を想起させるような情報発信の方法論です。「大手メディアの真似をして、ミニ東京化するのではなく、イベントや体験を通じて地域をプロデュースすることで大きな経済価値を生む(西田氏)」。実際に西田氏が宮城県三陸沿岸で開催した「ツール・ド・東北2015」は経済効果が8.6億円にものぼっており、大会の事業収支自体も開催2年目から黒字に転換しています。

倉重氏も、瀬戸内ファインダーを通した淡路島産たまねぎのブランディングを例に挙げながら、「全国3位という微妙な生産高でありながら、『玉ねぎキャッチャー(UFOキャッチャーの玉ねぎ版)』など、実際に体験してみたいと思わせることが話題を読んだ」といったエピソードも。

パネルトーク後はワールドカフェ形式で登壇者へ質疑応答ができるセッション、お酒を交えた交流会も開催。失敗談も含めたリアルなエピソードも交えた本イベントからは、多くの気づきを得た参加者も多いのではないでしょうか。

取材・文・撮影:編集部