大阪での共働きから、市内にも通勤可能な場所であった和歌山県かつらぎ町に移住した、猪原さんご夫妻。
移住後に会社を辞め起業した奥様の有紀子さんに、新しく見つけた目標についてうかがいました。

「ここなら住んでもいいな」壮大な山を眺めながらのご主人のひとことが後押しに

大阪で夫婦共働きだった、猪原さんご夫婦。当時は太陽光設備を建設する土地を探しており、ネットでたまたま見つけたのが、今お住まいの和歌山県かつらぎ町の土地でした。

「まだ長男がお腹にいた頃です。夫が私の横で、かつらぎ町の壮大な山に一目惚れした瞬間を、今でも鮮明に覚えています。」と語る奥様の有紀子さん。
「子ども達を自然豊かな場所で育てたい」といご主人の意向に、「変化の大きい方が絶対にいいい!」と、移住を最終決定したそうです。

「長男と次男をと急かしながら保育園に連れていき、その足で梅田に通勤する日々にも限界を感じて」退社、そして起業

夫婦ふたりとも大阪市内に通勤していたため大阪からも通える場所として選んだ移住先。三男が生まれ、有紀子さんの育休中に移住したのですが、育休終了後、復帰してやっていけるかな?という心配はあったそうです。

結局、リモートワークや通勤とのバランスと、フルタイムでは働くのが厳しくなったこと、そしてかつらぎ町の山を見て「この自然を後世に残してあげたい」と思うようになったことから、有紀子さんは10年勤めたWEBマーケティングの会社を退社。農業での起業を決意しました。

ご主人はそのまま会社員を継続。移住当初は片道1時間半かけて通勤していましたが、コロナの影響で4月以降は在宅勤務になったそうです。

移住するにあたって考えたこと、情報収集

移住するにあたり一番の大きな条件は、「思いどおりの家を建てる」ことだったという猪原さん。ここだ!と思う建設会社になかなか出会えず、5社も渡り歩いたそうです。
ようやく運命の建設会社にめぐり会い、家づくりがスタートしたタイミングで、土地を購入。土地購入や家の建設費用などは、夫婦でローンを組みました。

情報収集のためかつらぎ町のホームページなどは見たものの「近くにどんな人がどんな暮らしをしていて、歯医者や皮膚科はどこがいいのかなどの情報はなかなか得られず、実際に移住するまではよくわかりませんでした」と有紀子さん。

そのため、移住後ローカルメディア「かつらぎーの!」を立ち上げ、Instagramnoteでも発信を開始。
かつらぎ町への移住を検討している方だけでなく、移住先で情報発信をしてみたい方にも参考になる内容です。

移住して見つけた、新しいビジョン。開発した商品は即完売に

そんな有紀子さんは現在、「子どもにとっていい社会をつくりたい!」というビジョンのもと、お母さんのストレスを減らす事業を次々と立ち上げています。

無農薬ブルーベリーや、ソーラーシェアリングを利用した原木椎茸2,000本を栽培。
また、和歌山県の廃棄フルーツだけで「無添加こどもグミぃ〜。」というお菓子を開発したところ、Instagram経由での発売開始後、わずか5時間で150セットが完売。現在は和歌山県の農家、子育てママ、社会福祉施設と協力して販売しています。「子どもに添加物まみれのお菓子をあげたくないというママ、夕飯前の”お菓子ちょうだい!”についに怒ってしまって罪悪感を感じているママ、アレルギーを持つお子さんのママが、罪悪感なく与えられるお菓子を作りたかった」という有紀子さん。

廃棄ロスにも貢献でき、さらに農家が畑に捨てなければいけない果物がお金になり子ども達に届く。
「ただのお菓子事業ではなく、持続可能な社会を子ども達に残し、1回でもたくさんのママの笑顔を子ども達にプレゼントできるソーシャルグッドな事業にしていきたい」と語ってくれました。

移住して変わったこと、変わらなかったこと

「幸福度が増しました。そして人生の手綱をしっかり自分で握れるようになりました。」と語ってくれた有紀子さん。子ども達も大自然の中で思いっきり遊ぶ中とても元気になったとのこと。
また、大阪市内に住んでいた時よりも自炊が増え、娯楽のコストは下がったが質は上がったそう。毎週お庭でBBQをしたり、カレーを食べたりと、都会にいた時にはできない体験を楽しんでいるそうです。

逆に、「移住して後悔していることは?」とうかがうと、「たくさんの方から聞かれるのだが、本当に思いつかないんです。しいて言えば、子どもの教育に選択肢が少ないことくらいでしょうか。」とのこと。

「多様性を受け入れられる子になってほしい」との想いから大阪市内ではプリスクールに通わせていたそうですが、現在の場所ではそういった施設がまだありません。
ですが「現在は今オンライン学習が進んでいるので、我が家はそれを取り入れています」と有紀子さん。今年に入ってのさまざまな環境の変化が、移住しても変わらない暮らしができることにつながっているのかもしれません。

“子どもにとっていい社会をつくる!”という山に人生かけて登ります!

現在、かつらぎ町の移住支援とは別に、移住者である有紀子さん自ら情報発信を進めています。
2021年7月に、子連れでも疲れない観光農園カフェ「くつろぎたいのも山々。」をオープン予定。コロナ時代の新しい自然体験の形をつくりたい、そしてたくさんの子育てファミリーにかつらぎ町を知ってもらい、呼び込みたいという思いからです。

「無添加こどもグミぃ〜。」は、かつらぎ町から機嫌の良いママを子ども達にお届けする事業、そして「くつろぎたいのも山々。」は、親子の愛おしい記憶をつくる事業です。
それぞれが「子どもにとっていい社会をつくる!」という山に登るための手段で、そして、この山を登るなかで、出会うべき人に出会えたり、地域や農業が元気になったり、子育てママの笑顔が増えたり。さらには女性の生き方の新しいモデルケースとなれればいいなと思っています、と有紀子さん。

「広い空、色とりどりの絵画のような山、多様な生き物、カラフルな草花、木の香り、全てが感動で、私の人生をより良いものにしてくれています。」と話す猪原有紀子さんのこれからに、注目していきたいと思います。

最後に、有紀子さんに「これから移住する人へのアドバイス」をいただきました。

最初は不安なことがたくさんあるかもしれません。
しかし、変化の大きい方を選んだ方が、より人生を楽しく生きれるはずです。

私は、仕事に関しての不安が大きかったのですが、移動の距離が、アイデアの振れ幅になり、移住2年で、5つの事業を立ち上げました。
今、あなたが暮らしの中で、違和感を感じているのならば、その声に耳を塞がず一歩踏み出してみてほしいなと思います。

梶原有紀子さん
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