そもそも、ワーケーションって?

コロナ禍をきっかけにテレワークが普及するとともに、心身の健康についても注目が集まるなかで話題となった「ワーケーション」。
「ワーク」と「バケーション」を合わせた造語で、観光地やリゾート地でテレワークを活用しながら、働きながら観光するスタイルです。国が推奨し始めたこともあり、新しい働き方として導入を検討する企業も増えてきました。
新たな地方創生の手段としても期待されている働き方です。

ワーケーションを導入したある大手企業の調査では、社員の7割がポジティブな変化を実感し、生産性は平均30%向上したといいます。
公私の区別が付きにくくなると懸念されることもあるワーケーションですが、下記の実験ではむしろ公私分離思考が向上、仕事のパフォーマンスが20.7%向上、ストレスは37.3%軽減という結果となりました。

なぜ今、ワーケーションなのか?
実は数年前から広まりつつあった「ワーケーション」ですが、きっかけとなったのは、新型コロナウイルス感染拡大による働き方の変化と観光客の減少。菅官房長官(当時)がワーケーションの推進を提唱したのが2020年7月、ここで一気に知名度が上がりました。

イメージが先行したこともあり、当時は「休暇中に仕事をさせるのか」との批判もありましたが、うまく利用すれば心身をリフレッシュすることで仕事のパフォーマンスが上がります。また、コロナ禍で経済的ダメージを受けた宿泊施設は空室を稼働させられるメリットがあります。

新しい時代の働き方として、あらためて少しずつ認知と実践が広まり始めています。

ワーケーションに対する制度や取り組み

こうした状況をふまえ、政府や自治体でも、ワーケーションへの取り組みが相次いでいます。

総務省ではワーケーションを推進する自治体と連携した「地域型テレワークトライアル」を実施。おためしサテライトオフィスの総合サイトも運営しています。

2019年に、全国の自治体による「ワーケーション自治体協議会(WAJ)」が設立されました。
そして、それぞれの自治体でも独自の取り組みが始まっています。

【北海道】北海道サテライトオフィス・テレワーク拠点ガイドマップ
道内の各市町村でもワーケーション支援に積極的に取り組んでいる北海道。北海道庁が運営しているこのサイトでは、道内のサテライトオフィスやテレワークの拠点にできる施設をまとめています。

【北海道函館市】ワーケーションin函館
函館市は、ワーケーションの総合サイトを設置。施設や宿泊の情報とともに、観光、イベントの情報もまとまっています。

【静岡県静岡市】お試しテレワーク体験事業
滞在しながら市内コワーキングスペース・シェアオフィスで仕事をする方に、市が費用の一部を補助する取り組み。申し込み要項もこちらに記載されています。

【静岡県南伊豆町】南伊豆るプロジェクト
ワーケーションをはじめとするさまざまな活用プロジェクトまとめています。体験住宅の貸し出しも案内。

【長野県】信州リゾートテレワーク
北海道同様に、県全体での取り組みが盛んな長野県。県内の施設やイベントの情報がここにまとまっています。

【神奈川県鎌倉市】鎌倉市ホームページ「テレワーク・ワークスタイル研究会」
鎌倉でテレワークを行うワーク・ライフスタイルの普及を目的として、テレワークができる施設やテレワークイベントなどを掲載しています。

【和歌山県】和歌山ワーケーションプロジェクト
和歌山県は、ワーケーションを「Work(仕事)+ いろんな ation」と捉え、多くのプロジェクトを推進しています。

【広島県福山市】ワーケーションふくやま
コワーキングスペースや、協力宿泊施設、賃貸契約できる物件など幅広く支援しています。

【福岡県福岡市】シェアオフィスSALT
福岡移住計画が運営するシェアオフィス&コワーキングスペース。福岡市西区の今宿駅から徒歩5分、オーシャンビューで日本トップクラスのロケーションにも注目です。

【沖縄県】Telework & Stay in Okinawa
沖縄県内のテレワーク施設や利用者の声がまとまっているページです。

ワーケーションのメリット・デメリット

Nativ.mediaでは、何人かのライターがワーケーションを行い体験記を書いています。
そこから見えてくるメリットは以下のような点があげられます。

メリット

・雄大な自然を目の前に、いい空気のなかで仕事ができる!
・仕事の前後や休憩時間に散策するなど、気軽にリフレッシュできる
・ホテル宿泊の場合は、仕事後すぐに大浴場に入れる
・旅行と違い滞在に近いため、現地の人との新しいつながりが生まれる

デメリット

・自然のなかで仕事というイメージだが、屋外での仕事は虫やホコリなどが気になる
・施設によっては椅子や机の高さなどが働くにはあまり適していないことも
・テレビ会議をする場合は、事前に場所を確認しておく必要がある
・仕事向けの部屋が自然が見える、感じられる場所でなければ、仕事中は東京と同じような状態に

ワーケーションに向いている職種、向いていない職種

では、実際、ワーケーションをうまく利用できそうな層はどんな人たちでしょうか。

フリーランス
ライター、エンジニア、デザイナーなど時間や場所を選ばずに仕事ができるフリーランスは、ワーケーションに向いているといえるでしょう。
パソコン1つで仕事ができる職種は時間と場所を選ばずに働けます。これらの職種は、作業自体は基本的に一人で完結することができます。

テレワーカー
コロナ禍でテレワークが急速に浸透したことにより、会社員でありながら自宅で仕事をする人が多くなりました。
フリーランスとテレワーカーの違いは「ミーティングの多さ」「コアタイム出社」。
その2つをクリアできるのであれば、会社の業務をテレワークしながらバケーションをすることも可能です

週末副業会社員
本業でテレワークが難しい会社員でも、副業とバケーションを掛け合わせることは可能です。

逆に言うと、ワーケーションに向いていないのは、「ミーティングが多い」「出社に制限がある」場合です。
打ち合わせのほかに、社内で不足しているコミュニケーションを補うための雑談をする場合もあります。営業マンであれば、商談がオンラインになるだけで、打ち合わせの数が減るわけではありません。
オープンスペースでのオンラインミーティングは、雑音が入る、社内情報が漏れるなどの弊害があるため、ミーティングスペースが完備されている場所を選ぶことが最低限必要となります。
また、定時出社が求められる職種は難しいのは言うまでもありませんが、フレックスであってもコアタイム出社がある場合はフリーランスより自由度が減ります。

実際にワーケーションに取り組んでいる取り組んでいる実例

では、実際にワーケーションに取り組んでいる人や企業はどのように考えているのでしょうか。「ノマドワーカー」として働くAkinaさんと、企業全体でワーケーションを推進している事例をうかがいました。

世界を旅するノマドワーカーAkinaさん
会社を辞めたタイミングで2019年5月から世界一周の旅に出て、バリ島でパソコン1台で世界中を旅しながら働いているデジタルノマドたちに出会い、生き方や働き方に感化されたというAkinaさん。

いつもと違うところで仕事をする気分転換に加え、「現地の方と知り合って、そのご縁で現地の人しか知らないようなところに連れて行ってもらえるのも、ワーケーションの醍醐味ですね。」と語ります。新しい人との出会いはビジネスや価値観の出会いにもつながるので、そこがワーケーションをやめられない一番の理由だそうです。

創業時よりワーケーションを取り入れた株式会社IGLOO
ワーケーションが働くことにどのような変化をもたらすのか、今後の変化への期待を、2015年の創業時よりワーケーションを取り入れている株式会社IGLOOO(イグルー)の代表小林さんは「通勤時間に疲弊しないようにというのと、極力居心地良い場所で仕事してほしいという思いがありますね」と言います。

ある社員は、最低限の荷物だけをもちながら、ゲストハウスやホテルに宿泊しながらワーケーションを実践しているそうです。「フレッシュな気持ちになれるのが利点です。ずっと同じところにいるのが苦手というのもあり、いろいろなところで仕事ができるのが良いですね。」とのこと。

ワーケーションを社内制度とし注目されている株式会社NAVICUS
ワーケーションすると、会社から30,000円の支援が月1回まで受けられるワーケーション手当を導入。支援額は宿泊・交通費に充ててもOKです。2020年2月から全社リモートワーク体制になり、在宅勤務が続いているスタッフの様子を見る中で、いつもと違う環境でリフレッシュして働こうということで考え出されたのが制度で、ワーケーションの様子がTwitter等で外部への発信が推奨されていることもあり、それはそのまま会社のメッセージとしても受け取られています。

ワーケーションはお金がかかる?

ではワーケーションをするにあたってどのくらいのコストがかかるのでしょうか?

経験した人に聞くと、大きく分けて

1.宿泊費
2.食費
3.交通費(往復)
4.交通費(現地)
5.現地での観光費

があげられています。通常の旅行費用とほぼ同じような項目ですね。

「現地での観光内容を減らし移動を少なくする」「テレワークプランを設定している宿泊先を選ぶなどのコストカット」「宿での自炊や道の駅のお惣菜などで食費を節約」といった工夫をすることで、通常の旅行よりもコストをカットすることはできそうです。

日帰りでできるワーケーションも
交通費をかけてでかけなくても、首都圏在住のテレワーカーが環境を変えることで仕事がはかどる場合もあります。

ホテルニューオータニでは、デイユーステレワークプランを開始。
https://www.newotani.co.jp/tokyo/workation/

ほかにも、テレワークプランを設定している都内のホテルが増えてきています。

人気のワーケーションプラン

最近は、大手リゾートホテルやホテルチェーンチェーンでワーケーションプランを導入するところも増えてきました。

星野リゾート
系列のホテルそれぞれで、立地を生かしたワーケーションプランを展開しています。1泊あたりの宿泊費用が割安になっているのも注目です。
https://www.hoshinoresorts.com/information/release/2020/07/98030.html

ハウステンボス
ヨーロッパのような風景が楽しめるリゾート。海外でワーケーションをしているような気分になれそうです。
https://www.huistenbosch.co.jp/hotels/workation/

プリンスホテル
こちらも、全国各地のホテルでワーケーションを用意。海や山、都内など好きなエリアで楽しめます。
https://www.princehotels.co.jp/features/workation/

また、昨年から利用者が急増しているのが、定額で複数のエリアに滞在することができるコリビングサービスです。代表的な2サービスをご紹介します。

ADDress
それぞれの家に「家守」と呼ばれる管理人さんがおり、宿泊者とのコミュニティ作りに一役買っています。
https://address.love/

HafH
住まいをシェアし、オフィスをシェアし、地方をシェアするというコンセプトの住み放題サービス。グローバルなサービス展開が特徴です。
https://www.hafh.com/lp/20201207

ワーケーションを成功させるコツは?

旅をしながら地方のゲストハウスやコワーキングスペースで仕事をしているライターが、これからワーケーションをしてみたい人、ワーケーションを打ち出して人を呼びたい施設の方に向けて網羅的に解説したのがこちらの記事です。

2021年もワーケーションに注目です!

いかがでしたか?まだまだ確立していない部分も多いワーケーションですが、2021年も、グリーンシーズンに向けて、多くの自治体や施設がワーケーションの取り組みを進めると思われます。
仕事効率向上のため、心身の健康のためにも、ぜひ効果的にワーケーションを活用してみてください。