Profile

荒井 友香

31歳 塾講師
茨城県出身 2015年に移住

「最近読みなおしている高校数学の教科書がとってもおもしろいんですよ。こうやってらせん状につく葉っぱも、計算で導き出せる。生活と勉強がリンクするのっていいですよね」 茨城県水戸市で生まれ、子どものころから憧れていた北海道に移住するために、北海道の新聞社に入社した荒井さん。共同で運営する畑の中で草をむしりながら、こんな風に話してくれた。「学び続けたい、考え続けたい」という彼女が、記者という仕事を辞めて下川町で得ようとしているものとは。

自然農の畑で草むしり 天気の良い午前中は、共同で管理している畑に出向いて草むしり。夏から秋にかけては次々できる野菜でバーベキューも。

答えの出ないものをずっと考え続けたい

昔からいろんなことをああでもない、こうでもないと考え続けることが大好きでした。中学・高校と吹奏楽部で、音楽系の進学を考えたくらいがんばっていましたが、こういったアートの世界って、才能の差が歴然とあって、ある意味、先が見えるんですよね。その努力では補えない差って、子どもでもはっきりわかってしまうんです。 その影響なのか、高校生のころから、すぐに結論がでないようなものを考え続けたいと思っていました。社会はどうあるべきとか、環境問題とか政治、福祉なんかもそうですけど、複雑に課題が入り組んでいて、一面を見ただけでは言い切れないですよね。そういったことを考えるという行為は、だれかにかなわないとか、勝ち負けとか関係なく、終わりもない。どこまでも自分の頭で考え続けて、自分でがんばれる。そんな風に生きていきたいと思ったんです。 東京の大学に進学して、学んだのは都市社会学。新宿ゴールデン街に出入りして、飲みに来る人たちの動向調査なんかをしたりしていました。店で隣に座った人と話して、どういう人がどういう店をハシゴするのか、そこから見えてくる関係性やコミュニティ、属性なんかについて調べるんです。「答え」なんてないですよね(笑)。

午後は塾講師として、子どもと向き合う
荒井さんの収入源は、塾講師。学年はもちろん、一人ひとりの習熟度によって教え方を変え、工夫しています。

自分の頭で考えて、創り出す。そのフィールドを求めていた。

東京の大学を卒業後、北海道に就職したのは単純に「憧れ」です。中学校の卒業文集に「北海道に移住する」って書いてあるんですよ。念願だった新聞社に入社後は札幌、滝川、苫小牧と支社を転々としながら、たくさんの人を取材して回りました。第一線で活躍している方々の記事を書いていたら、自分も何かを生み出したいなという思いがふつふつと沸き起こってきたんです。誰かをサポートするのではなく、自分の手で直接的に動かす・考えたいなと。あと、環境問題の記事を書く一方で、仕事で夜遅くまで電気を使って、車もたくさん乗りまわす…といった自分の生活とのギャップも気になり始めていました。 そんなときに旭川で開催された起業セミナーにふらりと参加して、そこで下川町に出会いました。下川のNPO法人「森の生活」の麻生さんが講演されてて。その一週間後には、下川町に行きました。 麻生さんに案内されて農場レストラン「モレーナ」に行ったら、お店の片隅で「学びの会」が開催されていて、そこで普久原(ふくはら)さんに出会いました。哲学者みたいな雰囲気で「じゃあ、これも一応渡しておこうかな・・・」といただいた、「ことのは」という通信もおもしろくて。その後、数回下川町を訪れているうちに、普久原さんが経営する塾の求人を発見して、7月には移住。初めて下川に足を運んでから4か月。早いですよね(笑)