Profile

竹本 和也/竹本 礼子

竹本 和也 36歳 下川町教育委員会・下川ジャンプ少年団、下川商業高校スキー部コーチ・全日本スキー連盟ノルディックコンバインドジュニアコーチ 北海道和寒町出身
竹本 礼子 44歳 社会福祉協議会勤務・健康運動指導士 静岡県出身

「あ、雪が降って来たねぇ。じゃあ、外に行ってみようか?」 和也さんの声に、待っていましたとばかりに「うん!」と答える娘さん。肩車をしてもらいながら、ゲレンデに向かっていきました。竹本夫妻のお話しを伺ったのはスキー場に隣接したロッジ。スキーを終えた中学生たちが笑い声をあげ、窓の外には仕事あがりにボードを抱えてリフトに向かう壮年の男性。多くの著名なスキー選手を育ててきた下川町には、スポーツと健康を軸に「人の幸せ」にアプローチする夫婦がいます。

真剣で熱心な指導
和也さんは下川町の高校生7人、中学生5人、小学生2人、幼児1人にスキージャンプやノルディックコンバインド競技のコーチです。

どうしてこんなに、あたたかい人が多いんだろう

和也:私が和寒町から下川に来たのは高校生の時で、スキー留学という形できました。世界で活躍する選手を輩出していて、いいコーチがそろっている下川町でトレーニングを積めるというのはうれしいことでしたね。中学生ぐらいだったか、初めて葛西(紀明)選手に会ったとき、近づきがたかったのを思い出しました。当時からすでに有名でしたし、オーラが強くて近づくことができませんでした。とっても気さくな方なんですけどね。 卒業後は滋賀県の実業団に入り、コンバインド(ジャンプとクロスカントリの複合競技)のプロ選手として6年間活動していました。 改めて下川町に戻ってきたのは2008年です。引退して北海道に戻ってきて、最初は千歳に移住と思っていたのですが、また下川に戻ることができました。

礼子:そうなんですよ。私は千歳に嫁ぐんだと思っていたら、いつの間にか下川に変わっていて(笑)。私たちの出会いは神奈川の病院なんです。プロ選手だった彼がケガで入院した病院で、私がトレーナーとして働いていて。彼の引退後は北海道についていくことは承知していたのですが、下川町なんて全然知らない街で、行く前にネットでいっぱい検索しました。

和也:下川町でスキージャンプやノルディックコンバインドを指導できるコーチを探していて、私も「スキーで得た経験はスキーで生かしたい」と思っていましたので大変うれしかったです。現在は高校生7人、中学生5人、小学生2人、幼児1人のコーチをしています。下川町の環境は世界を比較しても大変よく、街の近くにジャンプ台、スキー場、クロスカントリーコースがまとまってありますので、ジュニア選手の育成にはうってつけですね。あと、下川町からはジャンプでは嶋宏大さん、岡部孝信コーチ、葛西紀明選手、伊東大貴選手、伊藤謙司郎選手、伊藤有希選手とノルディックコンバインドでは加藤大平選手ら、多くのオリンピック選手が生まれていますが、彼らをはじめとするOBたちのサポートがすばらしいんですよ。

(略)

子どもの体操教室
礼子さんが運営している休日に行われる体操教室は、下川町の子ども達の基礎体力向上に。

仕事も趣味も同じ。好きなことをやらせてもらう

礼子:基本的に運動についての情報収集が大好きなので、休日は本やインターネットで勉強していることが多いですね。あとは、札幌や旭川にいろんなレッスンにいったり。下川では週末も子どもを預ける場所があって、お母さん同士のつながりも濃いし顔も見えるので、サポートしあえるんです。自分の体調が悪いときに子どもを見てくれたり、代わりに迎えに行ってくれたりとか。田舎って、人と人のつながりが密すぎて面倒くさいというイメージがあったんですけど、下川はその距離感がいいですね。

和也:あと、二人ともとにかく運動が好きなんで、いつも身体を動かしていたいんです。下川にはポタリング(自転車で気軽にお散歩する)の会があり時間が合えば参加しています。この会、なぜか馬もいて一緒に移動するんですよ(笑)。スポーツもスキーも、仕事であり趣味でもある。子どもたちが成長して家族も父兄も応援していただいている方も皆喜んでいる姿を見ることはが私の一番のやりがいと喜びです。

礼子:そうそう。好きなことをやらせてもらって、自然があって、おいしいものを食べて。本州にいたときには、オンとオフが一緒になって忙しくなると、「わー!」となってストレスにつながっていましたが、いまはそういうことがないですよね。オンでもオフでも、身体を動かしてリフレッシュできるんです。