欠かせない、生産者との関係性構築
久留米絣もんぺの生地となる久留米絣は地元の織元から仕入れるわけだが、そこにおける関係性構築も欠かせない。
これに関わるうなぎの寝床の特徴として、得た利益の多くを次の在庫投資にあてる、という点があげられる。余ったお金で久留米絣を仕入れて在庫にしておくのだ。
ここには、織元の負担をできるだけ減らしたいという、うなぎの寝床の狙いがある。安定した発注をするために、在庫リスクをあえてうなぎの寝床が引き受けているのだ。また、効率の悪い小ロットの生産にできるだけならないように配慮をしているともいう。
うなぎの寝床が、福岡でアクセスが良いとはいえない八女に拠点をおくのも、ここに理由がある。密なコミュニケーションをとるためには、物理的にも近くにいることが必要という考えからである。
うなぎの寝床に久留米絣を提供する下川織物の下川さん
地域文化をビジネスとして花咲かせる
地域に埋もれた魅力を発掘し、魅力の伝え方を価格を含め顧客目線に直す。地元の生産者とも密な関係性を築く。これらはどちらも、地域の伝統をビジネスとして花咲かせるためには不可欠なことだ。
日本にはまだまだ素晴らしい伝統が眠っている。そしてそれらは今急速に衰退し、消えていっている。ただ守るのではなく、現代に適合させビジネスとして継続的に保存するうなぎの寝床は、これからの地域文化継承について再考のきっかけを与えてくれる。
取材・文:宮嵜涼志
写真提供:株式会社うなぎの寝床
●株式会社うなぎの寝床 会社概要
- 住所
- 〒834-0031 福岡県八女市本町267番地
- 設立
- 2015年1月
- 代表取締役
- 白水高広