「あなたはなぜSMOUTに登録しましたか?」

移住したい、地域おこし協力隊になりたい、誰もがこのような明確な目的を持っているわけではないと思います。
「移住」とか「地域おこし協力隊」とか、そういったはっきりしたことではなく、そのとらえどころのないような、なんとなく大切にしていることを教えてください。
小さなところからでも、その気持ちや行動を具体的に動かしていける場を、一緒に作りたいのです。

私は昨年の5月からSMOUTを利用し始めました。
それまではどこに情報が届いているか見えず、雲をつかむような思いで取り組んできました。
そんな中SMOUTで多くの方とのつながりが見えるようになり、とても勇気づけられています。
一方で、私のこの「長浜に移住して欲しい」「長浜に関わって欲しい」というわかりやすくまっすぐなメッセージは、それを届けたい「あなた」ではなく、長浜という「地域」が中心になっているのではないかと、もやもやしたものを感じるようにもなりました。
それが悪いと思っているわけではありません。
でも、これまで切り分けられてきた移住先と移住希望者といった関係性だけではなく、あなたの「なんとなく」を一緒に育てる場もあれば、もっと地域は楽しくできそうだと思ったのです。

ユーザーから教わった「共に愉しみを創る」という可能性

そこに至った背景に、昨年9月に行ったユーザーの皆さんへのインタビューがあります。
地域に興味を持つ人がどういった方か知りたかったのです。当初はそれを基に長浜を「若者が楽しめるまち」にするための、具体的な取組みを描くつもりでした。
ところが、いざ皆さんと話をしてみると、私は大きな勘違いをしていたことを知ったのです。
インタビュイーの皆さんは自身の現状への不満の解消や環境の変化といった、目的を達成するための手段として移住をとらえるのではなく、面白い人に会いたい、価値観の合う人と一緒に楽しいことをしたい、と地域に行って人と関わるということ自体に価値を感じていました。
地域にどういった外的要因を求めているか、その前提がすでに違っていたのです。
しごとも暮らしも「共に創り、共に愉しむ」ことが豊かさにつながるんじゃないか、という自分の内側からあふれる好奇心や探求心、いわゆる「内発的動機」をお持ちでした。
私はすごくうれしかったです。移住者や関係人口と呼ばれる方が、地域に大きなインパクトを起こす理由が分かった気がしました。
と同時に2つの心配事が生まれたのです。

1つは内発的動機の促進です。
内発的動機はあなただけの大切なものです。でも明確な形で目に見えるものではないので、なんだか頼りない感じもします。
同じような価値観を持っている人が身近にいるのであれば、話し合うことでより強い動機付けができるかもしれません。
しかしほとんどの方にとっては、移住を始めとした地域との関わりについて、身近な人ほど話題にしづらいのではないでしょうか。「不満があるのかな」「疲れているのかな」「なんでそんなことを」と心配をかけてしまいそうです。
とはいえ、一人で内省を続けた場合、明るかったはずの想いがネガティブな感情に押しつぶされてしまう時もあると思います。

もう1つは地域との性急な関係性の構築です。
内発的動機がまだ強くなっていない段階で地域が役割を求めると、本来の動機が外的誘因により、すり替わってしまったり、下がったりする要因となる可能性があるのではないかと思いました。
地域のプロジェクトが悪いわけではありません。むしろ素晴らしいものがたくさんあって、私も参加したくなってきます。
だからこそ、自分のやりたいことや会いたい人のいる地域ではなく、期限や報酬や手当などの条件に飛びついてしまうのは、とてももったいないと思うのです。
もちろんミスマッチになったとしても、違う地域に行くことは可能です。
でも「あの地域はダメだったから、違う地域と関わろう」ではなく「あの地域は楽しかったから、違う地域とも関わろう」という人が増えれば、関わる人も地域も楽しくて、サスティナブルな関係になるのではないでしょうか。

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