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地域の「はたらく」を通じて、子どもたちの未来を広げる:地方創生「-shipプロジェクト」キッズインターンシップ
都市部で働く人々にとって、「地場産業」という言葉には、正直、少し距離を感じるかもしれません。けれども、日々の暮らしや仕事に密接に関わり、地域の強みを支えている“産業”について理解を深めることが、これからの働き方やライフスタイルを再考するヒントになるかもしれません。
2024年秋、四国・愛媛県の北東部に位置する今治市(いまばりし)を舞台に、地方創生「-shipプロジェクト」の一環であるキッズインターンシップが行われました。対象となったのは、首都圏在住・今治在住の小学生たちとそのファミリー。大人にとっては地域産業の魅力を学び、地場産業の奥深さを知る機会に、子どもたちにとっては、感じるままに思い切り楽しみながら、「働く」ことに興味を抱くきっかけとなる1日となりました。
本記事では、地方創生「-shipプロジェクト」キッズインターンシップの様子をお伝えしながら、今治市が誇る地場産業と2つの企業、プロジェクト主催の株式会社カオナビと株式会社今治.夢スポーツについて紹介します。
今治市で体験する地場産業の力:造船の現場「新来島どっく」
地方創生「-shipプロジェクト」キッズインターンシップの訪問先の一つ、日本有数の造船所「新来島どっく」。愛媛県今治市を拠点とする国内屈指の造船企業です。
今治市の新造船竣工量は国内で約2割を占めており、今治市に拠点を持つ全国の造船業全体を含めると約半数のシェアにもなるそう。今治市は、全国に誇る「造船のまち」なのです。
新来島どっくに到着後、子どもたちはまず、「今治市がカオナビ本社のある東京都渋谷区と約800km離れていること」「四国という場所にあること」「四国それぞれにサッカーチームがあり、愛媛県にはFC愛媛とFC今治があること」を学習。この新来島どっくにもFC今治レディースの選手が所属しており、子どもたちと一緒に講義に参加しました。
巨大な船がどのようにして水に浮かぶのか、浮力の仕組みを学ぶ実験のあとは、いよいよ造船の現場へ。大人にとってはもちろん、子どもにとっては更に壮大であろう造船の世界は、普段の生活では知りえないスケール感に満ちており、誰もがその技術の高さを文字通り“見上げる”時間となりました。
子どもたちにとって、「働くって、こんなにかっこいいんだ!」と感じずにはいられない体験となったはず!
世界に誇る今治タオルの秘密に迫る:「藤高タオル」
続いて訪れたのは、【今治タオル】の老舗メーカー「藤高タオル」。
藤高タオルは、創業100年以上の歴史を持つ今治市を代表するタオルメーカー。職人たちの技術によって生み出される製品は、肌触りのよさと吸水性の高さで国内外にファンを持ちます。
今治産のタオルは国内の約6割を占めており、中でも【今治タオル】は多くの方がご存じの通りフワフワで高品質の人気タオルブランド。全国にある地域ブランドの中でも、大成功例の一つとして知られています。
キッズインターンシップに参加した子どもたちは、今や世界に愛される【今治タオル】が持つ歴史と特徴、そして「藤高タオル」が誇る一貫生産の強みについて学びました。
続く工場見学では、糸の染色、整経、織りの工程が実演され、一本の糸から高品質なタオルが作られるまでのプロセスが詳細に説明されました。特に藤高タオルが採用する特許技術「五彩(ごさい)織り」の紹介は、タオル業界の中での技術革新に注力する企業姿勢を強く印象づけるものでした。
また製造工程においては、職人たちが手作業で細かい調整を行う様子が、子どもたちの心をわしづかみ。こうした精緻な手仕事こそが、藤高タオルの品質を支える重要な要素であり、ものづくりにおける誇りとこだわりを感じさせる場面です。
最後にタオルの裁断とタグ部分の縫製を体験し、キッズインターンシップは終了。首都圏からはるばる訪れた子どもたちにとっても、今治に暮らす親子にとっても、地場産業がもたらす価値と誇り、その背後にある熟練の技術を知る貴重な機会となりました。
なぜ「カオナビ」と「今治. 夢スポーツ」が地方創生で協業を?
では、なぜカオナビと今治.夢スポーツがこのプロジェクトを共に進めているのでしょうか? そこには両社の深い理念と共通する思いがありました。
株式会社カオナビは、人の個性や才能を引き出し、「はたらく」という営みを支える企業。提供するタレントマネジメントシステム「カオナビ」は、個々の能力や可能性を可視化し、個を活かす組織作りを支援するもの。都市部で成長するだけでなく、地方にも“個を輝かせる働き方”を広めたいという考えを持っています。
一方、株式会社今治. 夢スポーツは、地元のサッカークラブ「FC今治」を通じて地域のつながりを重視し、「心の豊かさ」を育む社会を目指しています。子どもたちに地場産業と触れ合う場を提供することで、“物の豊かさだけではなく、地域の価値を実感してほしい”というのが社の想い。
共通の想いを持った2社が手を取り合って生まれたのが、この地方創生「-shipプロジェクト」。
後日、キッズインターンシップに参加した小学生は学びの成果をまとめ、地場産業の仕事の魅力を発表しました。
地場産業を知ることは、未来を少し豊かにすること
地場産業の奥深さと、そこで働く人々の情熱、さらには地域を支える企業の目に見えない存在意義まで知ることができた地方創生「-shipプロジェクト」キッズインターンシップ。参加した子どもたちはもちろん、都市部で働く大人たちにとっても、こうした地場産業とのつながりは、単なる一時的な体験ではありません。むしろ、それは「働くとは何か」「どのように社会と関わっていくべきか」「子どもたちのためにどんな未来を築いていくのか」を再定義する貴重なヒントにほかならないと、私たちは考えます。「働くを考える」「未来を考える」とは、私たち自身がどのように子どもたちのために道を拓いていくかを問うことです。
この記事が、今治市をはじめとする地域の可能性に目を向け、新たな行動を起こすきっかけとなることを願っています。そして、次世代のための新しい価値を共に創り上げていきましょう。
Nativ.media編集部