2024年9月11日(水) に、新規就農を目指す方が就農するまでに考えるべきことを学ぶオンラインイベントを開催しました。ゲストに田村農業普及所の小川佳祐さん、田村市役所農林課の石井聡子さんのお二人をお迎えし、理想の就農を実現させるためのノウハウについて詳しくお話を伺いました。

ゲスト:
・小川佳祐さん(田村農業普及所)
「ひとづくり」、「ものづくり」、「地域づくり」の 3 つの視点から、田村市、三春町、小野町の農業振興に関する取り組みを行っています。 地域農業推進、経営支援を通して認定農業者や新規就農者の育成など農業の持続可能な発展に注力しています

・石井聡子さん(田村市農林課農政係)
田村市役所職員。2024年から農林課配属。
新規就農者の相談窓口や就農後のアフターサポートを担当しています。


「理想の農業」を具体的にイメージしよう!

① 農業経営のビジョンについて

ビジョン・理念を大事にしましょう。育てる作物やどれくらいの収入を得たいかによって、就農までの流れも変わってきます。就農スケジュールや収支モデルの情報を参考にして、どのように就農するかを考えていく必要があります。

【収支モデルの例】
●ピーマン
他の作物と比較すると栽培が容易であり、就農初期からある程度収量を確保できる。3月に種まき、5月に苗植え、7~10月に収穫。冬期はフキノトウの栽培。初年度の収支モデル例は、売上合計5,100,000円、経費2,400,000円、所得2,700,000円。

●ミニトマト
近年、販売単価が高値で推移している。様々な品種があり、品種によって販売方法が広がる。5月に苗植え、7~10月に収穫。冬期はフキノトウの栽培。初年度の収支モデル例は、売上合計6,400,000円、経費4,200,000円、所得2,200,000円。

※夫婦・臨時雇用1名での経営を想定。
※生産面積や人員によって収穫量は変動。

② 何を考えなければいけないのか?

▶︎いつ、どこで、どんな農業を始めるかを決める
就農したい時期から逆算して準備を始める必要があります。また、農地バンクなどを活用して農業に適した農地を探しましょう。

▶︎育てたい作物について調べる
どんな品種があるか、一番流通している品種は何か、病気、農薬を撒く頻度、10aあたりの収穫量(kg)などを事前に調べ、わからないことは農業研修を通して確認しましょう。

▶︎活用したい支援制度を決める
それぞれの段階で利用できる支援制度が異なります。年齢制限などの利用条件もありますので、窓口にてご相談ください。
また、田村市独自の支援制度として、令和6年度にサツマイモを市内で生産、JAの栽培指導を遵守しているなどの利用条件を満たした場合、新規作付で100,000円/10a、2年目で80,000円/10a、3年目で60,000円/10aを支援します。

▶︎自己資金を確保する
自己資金の確保は非常に重要です。状況や品目によって必要な金額は変わりますが、経営規模などを考え、経費を試算する必要があります。

▶︎長期研修の研修先や就農する時期を決める
就農前に研修を受けて知識と技術を身につけることは非常に重要です。窓口にご相談いただければ研修先の農家さんとマッチングいたします。国の制度を利用する場合は県の認定を受けている農園での研修になります。

▶︎作物の売り先の想定
JAに出荷、直売所に出荷、スーパーなどと直接契約、自身で直売(直売所を設ける、ECサイト)

③ 新規就農のモデルケース

モデルケース
田村市出身で首都圏にて仕事をしていたが、祖母の畑を継いで就農を決意。Uターンまえに窓口にて相談。就農準備資金制度を利用して県認定研修所二カ所(1年4ヶ月)で研修。令和3年3月から相談して令和5年8月に青年等就農計画が認定され、認定新規就農者に。翌年からきゅうりの作付けを開始。

モデルケース
雇用されて就農し、自分のやりたい農業を探していた。窓口に相談し始め、ピーマンの生産研修を二年間受ける。自分で農業を始めてから一年目で市内ピーマン生産者200名中トップ5に入るほどの実力者に。

④ 研修について

研修では栽培・生産するための知識やスキルを、実際の作業を通して身につけます。
収穫までの過程で、土づくりや農薬・肥料、資材の確保、病害虫対策、効率化、労働力や販路の確保など、様々な知識が必要となります。
農業は自然相手の仕事であり、その都度対応が求められます。天候や災害、害虫、病気などでダメージを受けることもあり、根気よく試行錯誤する力が必要です。
肥料や農薬の使用、育てる品種、収穫時期など、決断することは多数にあり、長期的に先を見越した判断力が求められます。
また、近隣農家や卸先、農業機器や資材メーカーの担当者、消費者など、農業は年齢性別問わず多くの人と関わる仕事のため、コミュニケーション能力も求められます。

⑤ たむら地域における受け入れ体制

●たむらの新・農業人サポート協議会
就農相談や研修先の相談、就農してからのサポートも行っている

●気軽に実際に体験できる農業体験
希望に沿ったプランでできる!オーダーメイド型農業体験(随時開催。一泊二日~)

⑥ その他

農業短期大学校
短期の就農研修(初級:野菜の栽培管理など、中級:栽培技術等の専門知識)と長期就農研修(農業で生計を立てることを目的に一年間行う研修)がある。


【質疑応答】農地を借りるためには農家でなくてはならず、その農家になるのに市町村の認定が必要?副業のような規模でも認定取得は可能?
小川さん:農地借用の際に農家でなくてはならないかは農業委員会に確認が必要だが、農家を始めるだけなら認定なしでも始められます。国の支援策を利用するために市町村の認定を受け、認定新規就農者となる必要があります。認定新規就農者になるには、青年等就農計画を作成し市町村が定めた基準(所得目標時間など)を満たさなくてはなりません。

【質疑応答】研修は必須?
小川さん:研修への参加が理想ですが、必ずしもというわけではありません。近隣で師匠になってくれる方を探して農業を進めている方もいます。

【質疑応答】フキノトウは簡単に育てられる?
小川さん:夏の除草作業が大変です。他の作物と同時進行の方が多いため、なかなかフキノトウに時間を割くことができないようです。

【質疑応答】他県で研修を受けても認定は受けられる?
小川さん:青年等就農計画が市町村に認められれば可能。



不安や悩みは、窓口相談で解決しましょう!

福島県田村市では、新規就農希望者に向けたサポートをしております。お悩みの際はお気軽にご相談ください。

県中農林事務所 田村農業普及所
田村市農林課農政係


今回もたくさんの方にご参加いただきました。参加者からは、
・育てる作物の例から、補助金の制度まで具体的なことがわかった
・就農までの一般的なケースや年間の動き、資金の流れを知ることができた
・用意すべき具体的な費用、各種支援制度、研修を受けた方のお話が聞けてよかった
との感想をいただきました。

たむら移住相談室では今後も、田舎での暮らしを満喫されている方や活躍する地域プレーヤーをゲストにお迎えしてオンラインイベントを行います。ぜひ今後の情報もチェックしてみてください。

たむらぐらし

福島県田村市では、オーダーメイド型農業体験in福島県田村市(一泊二日~)を開催しております。事前ヒアリングによりご希望や考えをお聞きし、農家さんとマッチングいたします。中長期の体験で就農への不安を解消し、就農への第一歩を踏み出してみませんか?
年間を通して受け入れ可能ですので、ご興味を持った方は、ぜひお気軽にたむら移住相談室までご相談ください。