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「海の京都」丹後ってこんなところ!
京都府の最北部に位置する丹後(たんご)は、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町の2市2町で構成される地域です。
京都と聞くと歴史的な寺社仏閣を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、丹後地域の魅力はなんといっても海!日本三景の一つに数えられる天橋立や、日本の夕日100選に選出されている夕日ヶ浦海岸。美しいビーチでは、サーフィンなどのマリンアクティビティも楽しめます。そして、日本海で育まれた海の幸の数々。
日本海に面する丹後地域は、古代より大陸との交流の窓口として栄え、多くの神話の舞台となった、いわば「もうひとつの京都」、「海の京都」なのです。
丹後は夢が叶う場所 3名の先輩移住者をご紹介!
そんな丹後地域では、京都府丹後広域振興局による「丹後わかもの夢実現プロジェクト」が進行中。2025年2月8日には、プロジェクトの一環として、移住者交流会「丹後で”暮らす””働く”を楽しくするためのヒントを探る~『生業』を続けるための工夫~」を開催。地域資源と自分のやりたいことを掛け合わせて生業にしている移住者3人をゲストに迎え、それぞれのストーリーをご紹介いただきました。
3人の先輩移住者のお話から、丹後地域の魅力や、移住先で自分らしく暮らし、働くためのヒントをお伝えします。
宮津×オリーブ|川端 剛史さん
リスタートの地を求めて移住
川端さんは、宮津市の新たな特産品にすべく栽培が進められていたオリーブ専門の地域おこし協力隊として、2017年に移住しました。
移住のきっかけは、大阪でイタリア料理店を経営していた際に「自然に触れられる場所で、新しい人生を始めたい」という思いを持ったこと。農業や宮津のことはあまり知らなかったそうですが、本当に食が好きだという川端さんは「オリーブやオリーブオイルといろいろなものを掛け合わせて楽しみたい」と考え、移住を決めたといいます。
国内・国外の二拠点で活動
移住当初は、地域おこし協力隊として、耕作放棄地の開拓や苗の管理など、オリーブの栽培にひたすら従事していたという川端さん。ところが、任期満了が近づくにつれて「将来のことをちゃんと考えられていないのでは?」と、焦り始めたといいます。
そこで、川端さんがとった選択は、オリーブの本場であるイタリアのトスカーナに渡り、栽培技術を勉強するというもの。トスカーナは、生産量こそ多くはないものの、少量でも質の良いオリーブオイルを作り、ブランドを確立している地域。「自分がやりたいビジネスのお手本になる」と思い、現地へと向かったそうです。
それ以来、川端さんは、トスカーナ地方の中心地であるフィレンツェの畑でもオリーブの栽培活動に取り組んでいます。
「AMICI=仲間」を増やし続ける
協力隊退任後は、自らの名を冠した【KAWABATA OLIVE AMICI】を開業した川端さん。「AMICI(アミチ)」とは、イタリア語で「仲間・友達」という意味。「オリーブを通じて仲間ができたら」という思いから、この名前を付けたといいます。
【KAWABATA OLIVE AMICI】では、宮津とフィレンツェのオリーブを使ったオリーブオイルの生産・販売をメインに、オリーブに関連するさまざまな事業を展開中。天橋立が見えるオリーブ畑での収穫体験や、オリーブオイルかけ放題のレストラン経営を行っています。また、川端さんは、イタリアで学んだ栽培技術を活かしたオリーブ栽培のサポートも手がけており、大きな収入源となっているそうです。
今後は、地域にあるものとオリーブを掛け合わせ、宮津の街おこしをしていきたいという川端さん。「大切な仲間ができたこの地域で、これからも暮らし続けたい」と語っていました。
京丹後×チャンジャ|南 理沙さん
【ほしのチャンジャ】のはじまり
サーフィンが趣味の南さんは、京丹後の海の美しさに魅了され、移住を決意。コロナ禍で京都市内でのゲストハウス清掃の仕事がなくなった際に「人はどんな状況になっても食べ物を食べるし、美味しいものを食べると元気になる。自分もそんなものを作ってみたい」という思いを持ったこともあり、京丹後でチャンジャのお店を開業することにしたといいます。
南さんが作るチャンジャは、韓国人の義祖父直伝の味。南さんご自身も、初めて食べたときには「美味しすぎて感動した」というほど。移住前に実施したクラウドファンディングで調達した資金をもとに【ほしのチャンジャ】を開業したそうです。
ライフイベントと新業態での再スタート
2021年4月に京丹後での暮らしをスタートさせた南さん。同年8月には、道の駅 丹後王国「食のみやこ」でお店をオープンしましたが、妊娠・出産のため翌年から休業することに。育児に専念する期間を経て、2024年からは新たな形で事業を再開しています。
現在の活動は、イベントへの出店がメイン。使い捨ての容器を使わずに販売する「満(まん)マルシェ」は、サーフィン仲間と共に、自ら企画・運営を手がけているとのこと。また、道の駅でのチャンジャ作り体験も定期的に開催しているそうです。
とにかく京丹後が好き
旬の魚や新鮮な野菜、お米など「京丹後の食べ物は本当に美味しい」「子どもにも安心して食べさせられる」と話す南さん。商品を作るときには、京丹後の食材を取り入れることを意識しているといいます。
また、スーパーでの買い物中や散歩中に、知らない人も子どもに優しく話しかけてくれる京丹後では、「人のあたたかさを感じられる」と南さんは話します。
今後は、イベントに限らず、いつでも【ほしのチャンジャ】を手に取ってもらえるよう、小売店に置いてもらう、自分の店舗を持つなどの事業展開を検討しているとのこと。南さんは「百貨店での物産展など、丹後地域外での販売にもチャレンジしていきたい」と意気込んでいました。
伊根×バーニャカウダ|杉本 健治さん
わずか1週間で地域おこし協力隊に応募
愛知県出身の杉本さんは、2014年に伊根町に移住。通勤バスの中で「スローライフの仕事」と検索した際、たまたま伊根町地域おこし協力隊の募集を目にし「これは天職だ!」と、すぐさま応募したそうです。
地域おこし協力隊としては、舟屋や伝統行事など、伊根町の地域資源を活かした観光ツアーの企画・運営に従事。しかし、イベントを重ねても一時的な盛り上がりで終わってしまい、地域産業への波及効果は感じられませんでした。杉本さんは「今、この地域には何が必要なのか」と考え続けていたといいます。
【もんどりや】の開業で食品加工業の道へ
協力隊退任後に【もんどりや】を開業した杉本さんは「なんとか観光客の方と地域の人を結びつけたい」という思いで、地元の水産物を使ったお土産品の開発に着手。
以前から「若い人や遠方から来た人が買いやすいお土産がない」という声を耳にしていたことから、地元の方には馴染みが薄いものの、お土産として手に取りやすい瓶詰めのバーニャカウダを開発。材料には、活用法が少なく、漁師さんが困っていたイワシを用いました。現在は、牡蠣の燻製や伊根のもち米を使ったあられなども製造しています。
杉本さんは、協力隊としての経験を活かした観光ガイドも行っており、丹後の食材を使った缶詰の開発を行う「合同会社tangobar(丹後バル)」でも活動中。食品加工事業を柱に、さまざまな仕事を組み合わせて生業を作っているそうです。
伊根の魅力は「海に近い暮らし」
【もんどりや】の由来は、漁業に使われる魚の罠。もんどりに入ってきた魚をその日に食べ、そのアラを入れてもう一度沈める。すると、それを餌にまた魚が入るという循環になるのだそう。「舟屋の街並みの美しさはもちろん、昔ながらの文化が残っていることも伊根の魅力です」と杉本さんは話します。
ちなみに、杉本さんは、協力隊の任期満了と同時に結婚。当初は、京都市と伊根町で別居婚を続けていたそうですが、何度も伊根を訪れるうちに友人も増えた奥様は、ある時「私も行こうかな」と言ってくれたといいます。また、2021年に誕生した杉本さんの娘さんは、集落で約30年ぶりに生まれた子どもなのだそう。「地域の宝として、皆さんにかわいがってもらっています」と、杉本さんも嬉しそうです。
現在は、二人目のお子様の誕生に伴い、本業に絞って活動しているという杉本さん。今後は「地元で野菜を作っている農家さんとコラボしたバーニャカウダセットも作っていけたら」と展望を語りました。
「生業」を続けるためのヒント

2月8日移住者交流会「丹後で”暮らす””働く”を楽しくするためのヒントを探る~『生業』を続けるための工夫~」には多くの参加者が集う
今回のイベントのファシリテーターを務めたのは、元宮津市地域おこし協力隊で、合同会社カミヤヅラボ 代表の寺田 俊介さん。3人のお話から、生業を続けるためのヒントを導き出していました。
1.自分の「好き」や「興味」を極めると、それが生業になる。
2.小さなことから成功体験を積んでいくことで、たくさんの方々に協力を得られる。
3.本業と副業が同じ割合でもいい。時代と自分に合った働き方をする。
また、寺田さんは「都会に疲れた人も、丹後なら自分のペースで生活ができる」「都会では二番煎じでも、田舎では一番最初」と、移住してがんばっている方や、移住を考えている方の背中を後押ししていました。
丹後は皆様のチャレンジを応援します!
丹後地域では、今回のようなイベントを定期的に開催し、移住者同士の交流の機会を創出しています。また、丹後でがんばる若者をつなぐ「丹後若者応援ネットワーク」の結成や、Instagramアカウント「丹後わかもの放送局」での情報発信などを通じて、若い世代のチャレンジを応援中。自分が主人公になれる丹後地域へ、ぜひ一度足を運んでみてください!

Instagram「丹後わかもの放送局」では、Uターンしてワッフル屋の店長になった米澤さんをはじめ、丹後でチャレンジ・活躍する「人」を発信しています。

丹後でがんばる若者をつなぐ「丹後若者応援ネットワーク」
■丹後わかもの放送局
https://www.instagram.com/tango_wakamono
■丹後若者応援ネットワーク登録フォーム
https://www.shinsei.elg-front.jp/kyoto2/uketsuke/form.do?id=1711514883249
<丹後のことをもっと知りたい方に向けたお役立ち情報>
■各市町の移住相談窓口
宮津市:クロスワークセンターMIYAZU
https://note.com/cross_miyazu0506
京丹後市:京丹後市移住支援センター丹後暮らし探究舎
https://tankura.com/
伊根町:企画観光課
与謝野町:産業観光課
参考)子育てしやすい田舎に移住!与謝野町がおすすめな理由5選
■移住希望者と丹後らしい仕事をつなぐ、人材の受け皿「京丹後地
https://www.home-tango.com/
■京都府北部地域での暮らし・空家・仕事・移住者の声を知れるサイト「たんたんターン」
https://kyotohokuburenkei.jp/