福島12市町村への移住を検討している方にぜひ活用してほしい、各市町村に設置された移住相談窓口。地域のことも移住のこともよく知るスタッフが、移住を全力でサポートしてくれます。

川俣町への移住について、暮らし・仕事・住まいそれぞれの相談に対応してくれるのが「川俣町移住・定住相談支援センター」(以下センター)です。移住サポーターの齋藤悠さん、移住・仕事サポーターの魚谷祐介さん、川俣町政策推進課の齋藤みらいさんに、センターの事業内容や展望について伺いました。

暮らし・仕事・住まいの相談を包括的にサポート

 

左から、魚谷祐介さん・齋藤悠さん・齋藤みらいさん

2021年10月に開所したセンターがこれまでに相談を受けた実績は500件以上。多くの方の「川俣町に住みたい!」という想いに寄り添い続けてきました。

主な業務は、移住希望の相談対応、町の案内、移住体験ツアーの開催、企業とのマッチング、そして町が管理するかわまた暮らし体験住宅や空き家バンクとの連携です。相談は窓口だけでなく、電話、メール、オンラインでも受け付けています。

「センターには20代から50代まで、幅広い年代の方が相談にいらっしゃいます。相談にいらした方へは、移住にまつわる制度などの情報提供のほか、実際の生活をイメージしてもらうために町歩きなどのサービスを行っています」(齋藤悠さん)

町歩きは、移住を検討中の方からも、移住したばかりの方からも、ニーズがあるそうです。

また、センターが行う移住体験ツアーには3つのタイプがあります。各移住者の要望に応じて最適なプランを個別に企画するオーダーメイドツアー、年2回実施するプログラム型の移住体験ツアー、そして年3回を1セットとして実施する就農体験ツアーです。就農体験ツアーは、単なる作業体験だけで終わらず、営業収支のイメージなどビジネスのリアルな情報も提供しています。

魚谷祐介さん

町で暮らしていくうえで、仕事の有無は重要な検討材料です。センターでは、仕事探しのサポートも重視しています。

「センターが町内の事業所をサポートしながら、求人情報を積極的に提供してもらっています。現在約60社の事業所の求人情報が、町の移住ポータルサイト『かわまた暮らし』から閲覧できる状態です。移住を検討中の方も今お住まいの場所からリアルタイムな求人情報がわかりますし、事業所側からも求人の悩みが緩和されたと喜ばれています」(魚谷さん)

そのほか、町では地域おこし協力隊の募集も随時行っているため、移住後の生計を立てる選択肢の一つに加えてほしい、と教えてくれました。

移住の際に課題となることが多い住まい探しも、センターでサポートしています。町営住宅や空き家バンクの利用の際は、町とセンターとが連携し、切れ目のない相談が可能です。

「住まいに関する経済的な負担を減らしたい方には、公的制度の活用をおすすめしています。例えば、空き家バンクの登録物件に、空き家改修等支援金を活用するのも一つの方法です。ファミリー層向けには、リーズナブルな料金で利用できる移住促進住宅もあります」(齋藤みらいさん)

このように、暮らし、仕事探し、住まい探しという移住の大きなハードルを飛び越えるため、センターは力強いサポートをしてくれます。

「ちょうどいい田舎暮らし」ができる町

齋藤悠さん

川俣町にはどんな移住者の方がいるのか、事例を伺いました。

「空き家バンクから畑付きの住宅を購入してセカンドライフを楽しんでいる方や、フリーランスとして働きながらゆったりとした町の生活環境を楽しんでいる方がいます。起業にチャレンジをする方もいますね。その方々の暮らし方を見ていると、町が打ち出しているキャッチフレーズ『ちょうどいい田舎暮らし』を体現していると感じます」(齋藤悠さん)

このキャッチフレーズは、豊かな里山の自然とまちの便利さをあわせ持つ川俣町の魅力をそのまま表しています。

「町内には、生活するのに十分な買い物施設、公共施設、病院などがそろっています。より多くの商業施設や交通ターミナルがある福島市へも、車で30分ほどです。一方で、町内に2カ所のキャンプ場を有するなど、自然環境は豊かですね。ふとした時に心を休ませてくれる自然がいつでもそばにあるため、都会のけん騒に疲れた方には特に惹かれるものがあるのだと思います」(魚谷さん)

そして、ファミリー層に町をおすすめしたい理由もあるそうです。

「町は、子育て世帯への手厚い経済的なサポートも実施しています。例えば、町の子ども園の利用料は0歳から無料で、小学校と中学校の給食費も無料です。さらに、学校卒業後に川俣町内で就職をすることを条件に貸与額の2分の1までの返還が不要になる奨学金制度もあります。地元愛が強い、子どもがいる家庭にぜひ活用してほしいです」(齋藤悠さん)

また、文化面での魅力についても伺いました。

「川俣町に住んでいる方は多才な方が多く、よそではあまり見かけない個性的な趣味も認め合う、のびのびとした土壌があります。例えば、町のお祭り『コスキン・エン・ハポン』は国内外からお客さんが集まる南米の音楽祭ですし、フェンシングはスポーツ少年団から体験できます。趣味を楽しんでいる方が多いので、今は趣味がない方も、周りから触発されて『何かやってみよう!』と思う日が来るかもしれませんね」(齋藤みらいさん)

「私たちが好きな川俣町」を好きになってもらいたい

齋藤みらいさん

センターとして移住相談の最前線に立つうえで、大切にしていることをお伺いしました。

「移住を検討してくださる方にとって、私たちが『初めて会う町の人』になることも少なくありません。つまり私たちは、移住者の方が感じる町への印象に、深く影響を与える立場になります。私たちは川俣町が好きだから、川俣町に興味を持ってくださった方にも、ぜひ町を好きになってほしい。そんな気持ちで、相談に来てくださるお一人おひとりと向き合いたいと考えます」(齋藤みらいさん)

「そのためにも、細かいことまで気づかう姿勢を大切にしています。特に、自分が現地で暮らしていて『当たり前』になっていることを見逃さないようにしていますね。例えばバス停の詳しい位置など、小さなことでも事前にしっかり案内できれば、現地を訪れた際の不安が軽減できると思います」(魚谷さん)

私が好きな町を、好きになってもらいたい。スタッフのみなさんの言葉から、町に対する確かな愛着を感じました。

最後に、移住を検討されている方に届けたいメッセージを伺いました。

「安心して町に飛び込んできてほしい、と伝えたいです。町のみなさんは、とても心が温かく、移住者、特に子育て世帯の方に対して、いい意味で『おせっかい焼き』です。困りごとがないか気にかけ、気さくに声をかけてくれます。このおせっかいが、きっと助けになります。不安な気持ちは、ぜひセンターへ気軽に相談してください。移住者の方と町との橋渡しをして、あなたの『ちょうどいい田舎暮らし』を実現できるようにサポートします」(齋藤悠さん)

自然の豊かさ、町の便利さ、あたたかい人づきあい、個性を尊重するゆったりとした時間。これらをもつ川俣町への移住に魅力を感じたなら、ぜひ気軽にセンターへ相談してみてください。


■川俣町移住・定住相談支援センター
所在地:〒960-1428 福島県伊達郡川俣町字五百田30
TEL:050-3117-2275
E-mail:ijyu@kawamata-gurashi.jp
受付:平日 8:30~17:15(時間外、土日祝は予約に応じて対応)
相談方法:電話、メール、オンライン、対面でのご相談を受け付けています。
HP:https://kawamata-gurashi.jp/

※所属や内容、支援制度は取材当時のものです。最新の支援制度については各市町村のホームページをご確認いただくか、移住相談窓口にお問い合わせください。
取材・文:橋本華加 撮影:古関マナミ

※本記事はふくしま12市町村移住ポータルサイト『未来ワークふくしま』からの転載です。