阿武隈高原に位置する福島県田村市は、便利な市街地と自然豊かな里山がほどよい距離にある、まさに「ちょうどいい田舎」です。その一角、船引町長外路(ながとろ)に、「城跡でつながる、自然と暮らしの場『nononowa(のののわ)』」がオープンしました。先行スタートしたカフェをはじめ、農泊や農業体験、自然教育やキエーロ作りなど、自然の循環や食をテーマにした体験活動ができる交流拠点です。立ち上げたのは、元田村市地域おこし協力隊の中山真波さん。今回の記事では、nononowaの魅力や立ち上げの想いについてご紹介します。
見て、ふれて、味わって。里山を丸ごと体験できるnononowaの魅力
田村市船引町長外路。町の中心部から車で約15分という距離にありながら、豊かな里山を自然な状態で見ることができます。nononowaがあるのは、かつての山城「長外路城」が築かれていた場所。城跡の古民家と周辺の畑、田んぼ、山林をフィールドとして、さまざまな体験を楽しむことができます。古民家は学生や子ども、地域の人と協力しながら、1年かけて片付けやDIYを行い整備しました。古材や古道具に包まれた空間で、田村の自然を五感いっぱいに感じることができます。
・カフェ
「城跡の古民家カフェ n∞(ノノ)」として、2025年7月にオープンしました。季節のおやつやドリンクと一緒に、のんびりと里山の風や音、自然の恵みを感じられる場所です。
(※冷房設備がありません。夏季日中は厳しい暑さとなることがあります)

カフェメニューには、日本固有の希少なベリーであるナツハゼを使ったナツハゼスカッシュが登場。暑い夏にぴったりの爽やかなドリンク
・農家民宿
「農家民宿野々の環(のののわ)」として、オープンに向け準備を進めています。自然のリズムとじっくり向き合いながら、日帰りではできないさまざまな農業体験にふれることができます。
・農業体験、養蜂体験
古民家周辺の畑で、野菜を育てています。種まきや定植作業、収穫、日々の草取りなど、季節に応じた体験ができます。畑の隣ではニホンミツバチの養蜂を行っており、巣箱の点検や観察、採蜜といった体験ができます。
(※2025年7月時点:準備中)

畑で実り始めたカボチャ
・自然散策や生き物とのふれあい
城跡や山林を歩きながら、里山の自然に親しむことができます。田んぼには絶滅危惧種のゲンゴロウをはじめ、アカハライモリやミズカマキリ、ヤゴ、ドジョウなどの多様な生物・植物が生息しています。また周辺では、サギやキジ、カヤネズミやノウサギを見かけることがあります。nononowaにはヤギが2頭、家族同様に大切に過ごしています。

草刈り応援隊として活躍する人懐っこい子ヤギたち。左が「わびー」、右が「さびー」、2匹合わせて「わびさび」
・各種イベントの開催
自然体験をしながら四季の恵みをいただくイベントを開催しています。これまでに、竹を使った流しそうめん交流会や竹の器作り、キエーロ作り、里山整備で出た枝を燃やした“たき火”を使ったバウムクーヘンづくりを開催しました。古民家内では、囲炉裏でのお煎餅焼きといったイベントも行っています。
(※開催案内はInstagramに随時掲載)
・ボランティア受け入れ
山の開拓や田んぼの活用、自然体験、昔遊び、郷土食体験、環境整備など、nononowaの活動に共感し取り組んでくださるボランティアを随時受け入れています。
(※詳細はInstagramのDMよりお問い合わせください)
中山さんの想いー「nononowaを舞台に、知る機会をつくりたい」
nononowaを立ち上げた中山真波さんにお話を伺いました。
ーnononowaをつくろうと思ったきっかけは何だったのでしょう?
私は2025年3月まで、田村市の地域おこし協力隊として活動していました。地域商材開発事業を担当し、6次産業化支援といった、農産物と食をテーマにした活動を行いました。任期中から理想の物件を探し、地域の人から紹介してもらって、2024年にこの古民家と畑、田んぼ、山林を所有しました。東京都で生まれ育ち、自然いっぱいの田舎暮らしに憧れがありました。
農泊をやろうと思ったのは、古民家を所有したのと同じ頃に参加した農泊セミナーがきっかけです。講師の先生の説明が分かりやすく、「地域ならではの食や農に出会う」「地域のニーズに答え活性化を目指す」といった考え方も面白いと感じ、この場所で農泊や飲食業ができたらいいなと思いました。協力隊時代にもコミュニティ農園を作っていましたが、滞在型の場所をつくるのは初めてなので、関係機関への確認など、手順をしっかり踏んで準備しています。
ーnononowaの活動で大事にしていることを教えてください。
自然の循環を大切にしながら、新たに物を買うのではなく、身近にあるものや手元の資源を活かして活動しています。また、知る機会を増やすことも大きなテーマです。「野菜を作っている」「カフェを営んでいる」という一部分だけでなく、これらの活動が自然環境のサイクルの中でどうつながっているのかを、体験しながら知ることができるよう工夫しています。
例えば養蜂のことを話すときは、蜂蜜を採るためだけではなく、ミツバチが花の受粉を手伝うから野菜や果物が実をつけること、それを私たち人間が食べて生きていることも、一緒にお伝えします。知る機会を増やすことが、子どもだけでなく大人にとっても、生きる選択肢を広げることにつながると思っています。
ーこれからどんな活動をしていきたいですか?
ナツハゼをもっと多くの人に知ってほしいと思っています。日本固有の希少なベリーで、酸っぱいので生食には向きませんが、ポリフェノールが多く健康効果が高いです。地域のおばあちゃんから事業承継したいと思い、ナツハゼの苗木をもらって城跡で育てています。カフェで提供するほか、ジャムに加工して販売したいと考えています。ナツハゼのほかにも、地域に合うもので事業を作る活動を展開していきたいです。

城跡で実るナツハゼ。地域のおばあちゃんの「体に良いものを作る」という想いも受け継ぎたいと、ジャムへ加工する際はミネラルが豊富な粗製糖を使用
nononowaで田村の里山にひたる時間を
ー中山さんが感じる、田村市で暮らす魅力を教えてください。
田村市内のあちこちに豊かな自然がありますが、その自然を毎日の食卓にすぐ取り入れることができるのが、nononowa周辺の魅力だと思っています。フキや山椒など、季節に応じた山菜が至るところに生えていて、今まで買って食べていたのが不思議なくらい。草刈りや虫とのつきあいなど大変なこともありますが、自然の中でじっくりと時間を過ごすことでこそ味わえる発見や面白さがあります。
人の暮らしと自然が調和する豊かな里山で過ごす時間は、普段の暮らしではなかなか味わえない特別な体験になるでしょう。田村の魅力を感じに、ぜひnononowaにお出かけください!
城跡で繋がる、自然と暮らしの場「nononowa」
住所:福島県田村市船引町長外路下ノ久保9番地
営業時間:11:00〜15:00
定休日:月、火
駐車場:あり
HP:https://www.instagram.com/nononowa.jp/
※2025年7月現在、農泊や農業体験は準備中です。
※自然の中に佇む古民家を活用しているため冷房設備がなく、夏季日中は厳しい暑さとなることがあります。ご高齢の方、暑さが苦手な方は無理のないご来訪をお願いいたします。
※各種イベントやボランティア受け入れについてはSNSで発信いたします。
※駐車場は限りがありますので、譲り合ってご利用ください。
この記事を読んで田村市での生活に興味を持った方、移住を検討している方は、お気軽にたむら移住相談室へご相談ください。
たむら移住相談室
Web:https://tamura-ijyu.jp/
電話:050-5526-4583
メール:contact@tamura-ijyu.jp
※たむら移住相談室は株式会社ジェイアール東日本企画と(一社)Switchが共同で運営しております。