(本特集の最初の記事Vol.1はこちら)
宮崎県 都農町
宮崎県中部に位置し、人口は約1万人。宮崎牛の名産地の一つでもあり、ぶどうやキウイなどの果物や、トマトの栽培が盛んで、また20年前から創業するワイナリーでは、海外からも高い評価を受けたワインを製造している、食と農業の町である。
宮崎県都農町総合政策課 課長補佐 兼 まちづくり推進係長
2016年に都農町のふるさと納税の納税額を50億円にまで引き上げた立役者。同町は楽天市場「ショップ・オブ・ザ・イヤー2016」、「2017」で2年連続ふるさと納税部門の大賞を受賞。
●倉重宜弘(くらしげ よしひろ)
ネイティブ株式会社 代表取締役 / 本記事のインタビュアー
ふるさと納税の「その先」の戦略
倉重 ここまでお話を伺ったように、起点としては「ふるさと納税」の成功があって、それをまたさらに発展させるためのレシピ開発企画だったと思うんですけれども、今後都農町ってどういう方向に行こうとしているんでしょうか? 新しい名産品や名物料理を、それをどういう風に町の活性化に活かそうと思っているのかとか、山本さんご自身が今後どういう思いで取り組まれようとされているのか、是非伺いたいです。
山本 ふるさと納税の取り組みを始めるきっかけになったひとつが、商工会の青年部でした。小さい町なんで、やっぱり同世代の人たちとも一緒に過ごす時間が多いですね。飲み会ももちろんあります。
倉重 はい。
山本 いろんなイベントでも一緒になるんですけれども、私たちの同年代があと10年後、20年後に町内の商売が成り立つかって考えた時に、正直、楽観的に考えられる人はいませんよね。
倉重 かもしれませんね…。
山本 人口は将来、どんどん減っていく。町に来る人も減っていく。じゃあ、今から何をしようか、何ができるか。手招きしているだけではダメなのは当然です。
倉重 そうですよね。
山本 自分たちから近づいて行かなければいけない時代なんじゃないかと。じゃあ一番手っ取り早いっていったら、インターネットでモノをいかに「売っていく」かですよ。それによって情報発信にもなる。
倉重 自治体も「顧客」を意識すべきだということですね。
山本 そうなんです。「ふるさと納税」はその入口だと思うんです。
倉重 なるほど…。
山本 でも、単に「ふるさと納税」の寄付額を上げるだけだったら、そんなに難しくないと思います。喜ばれそうな返礼品を沢山揃えればいいだけですよ。でも、もちろんそれだけでは意味が無いですよね。やっぱり地域独自のものを作って、最終的にはちゃんと販売して、
地元にお金が落ちるようにしなければなりません。
倉重 やはりそうですよね。
山本 今までも、商品開発の事例はどこの自治体でも沢山ありました。でも、最終的には販路に載せないと意味がない。商品開発ができるメーカーと一次生産者を結びつけて、それを更に販路開拓ができる事業者とつないで…。そうして初めて地域が潤う。ふるさと納税の仕組みは、私達にとってそれを勉強できる最高の場だと思うんです。
倉重 そういう捉え方なんですね。なるほどー。
新鮮な野菜や果物を求める人達で賑わう道の駅つの