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自己分析と行動力で始める移住への道筋
移住を考えたとき、まず何から始めればよいのでしょうか。
わかやま移住定住支援センターのキャリアコンサルタント3名が「移住の第一歩」をテーマに、それぞれの専門性と経験を活かした視点から語り合いました。
東京窓口の内田と小熊、大阪窓口の石渡の3名の相談員の対話から見えてきた、移住成功のための重要なポイントをご紹介します。
移住成功の鍵は「理想の生活の具体化」
まずは自分自身を知ることから
移住の第一歩として最も重要なのは、理想の生活を具体的にイメージすることだと、東京窓口の内田相談員は話します。「具体性が高いほど必要な情報が得られやすくなる」ため、まずは以下のような質問を自分に投げかけてみることを提案しています。
- 移住してどんな暮らしをするのが理想ですか?
- 地域との関わり方はどうしたいですか?
- どうやって生計を立てますか?
- 絶対に避けたいことは何ですか?
- どれくらいの家賃で暮らしたいですか?
「譲れない条件」を3つ明確にする
理想の暮らしを固めるために必要なのが自己分析かもしれません。特に大切なのは「譲れない条件」を3つ選定することだと思います。
例えば「海が見える場所に暮らしたい」「家庭菜園がしたい」「犬を3匹飼いたい」など、「ここだけは譲れない」というポイントを明確にしておくことで、関係者に伝える際により具体的な情報を得られるようになるのではないでしょうか。
価値観から始める段階的な自己分析
自身も和歌山への移住体験を持つ大阪窓口の石渡相談員は、自己分析を進める際の順序について以下のように提案しています。
- 価値観:自分の譲れないこと(最重要)
- 経験:今までやってきたこと、得意なこと
- やりたいこと:好きなことや新しい挑戦
価値観を最も重要な土台として位置づけています。「一番最初に何が何でも大事なところは自分の価値観です。移住してからのイメージの中で、ここが絶対に削れない、譲れないというところが何かを、まず最初に土台として持ってないと、次のところに進めないのかなと思います」
この順序が大切な理由は、「やりたいこと」は時期や年齢によって変化する曖昧な概念だからです。一方で価値観は比較的安定しており、移住後の満足度を左右する重要な要素となるかもしれません。
例えば、釣りが好きで漁師になりたいという場合でも、収入の不安定さや拘束時間の長さが家族との時間を大切にしたいという価値観と合わない場合は、再考が必要かもしれません。
行動力なくして、移住は実現しない
小さな一歩から始める大切さ
自身も奥多摩へ移住し古民家カフェを運営しながら、これまで2000名弱のキャリアカウンセリングをしてきた東京窓口の小熊相談員は、相談現場での実感を語ります。
「何をしたらいいかわからない」と言って何もしない人をよく見かけるといいます。「何年も前から考えていた」と言いながらも、相談に来ることで終わってしまう人が多いのが現実のようです。
移住というと大きな決断に聞こえがちですが、まずは以下のような小さな行動から始めてみてはいかがでしょうか。
- まずは1回現地に行ってみる
- 仕事暮らし体験に参加する
- オーダーメイド現地案内を活用する
- オンラインイベントで情報収集する
実践的な移住ステップ
行動を起こすうえで、移住への道筋は段階的に進めることが効果的かもしれません。
第一ステップ:オンラインでの情報収集
- 自己分析の実施
- オンラインイベントへの参加
- 自治体の移住サイトでのインタビュー閲覧
- オンラインでの移住相談
第二ステップ:現地訪問
- 気になる場所への実際の訪問
- 自治体が提供するオーダーメイド現地案内の活用
現地案内では観光とは違って生活目線の情報を提供してもらえるため、「ここに住むとしたらどうなのか」ということが具体的に見えてくるのではないでしょうか?
和歌山県では、オーダーメイド型の現地案内や、地域に密着した仕事を体験できるしごと暮らし体験など、現地に訪れる機会をサポートしています。ぜひご活用ください。
ロールモデルの活用で理想を現実に
理想の暮らしがイメージできたら、それを実践している人を見つけることが次のステップになるかもしれません。各市町村や県のウェブサイトには移住の先輩のインタビュー記事が掲載されていることが多いので、これらを積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
記事を読んで気になるキーワードをメモしていくことで、「やっぱり自分はここが気になる」「ここが理想の生活だ」ということがわかってくると思います。
そして「こんな方の暮らしが自分の理想です」ということが明確になったら、それを自治体の方に伝えることで、そのロールモデルの方との面談の機会を提供してもらえることもあるようです。
移住で広がるキャリアの可能性
移住相談でよく聞かれるのが「仕事あるんですか?」「自分にできることってないです」という不安の声だと思います。しかし、発想を転換すれば、移住によって働き方の選択肢が広がる可能性もあるのではないでしょうか:
- リモートワークを活用すれば年収を下げずに移住可能
- 副業解禁でいくつかの働き方を組み合わせる
- 完全未経験でもチャレンジのハードルが都心より低い
また、現代では「働くと暮らすの境界が曖昧になっている」という変化も見られるようです。出社して9時から6時まで働くという従来の働き方ではなく、暮らしの中に仕事が自然に組み込まれた新しいワークスタイルを実践している移住者も多く存在するのかもしれません。
「問い直す力」が移住の本質
「移住の一歩を一言で表現するなら、それは「問い直す力」と言えるかもしれません。絶対的な価値観で考えていくと、移住の選択肢や視野が狭くなってしまいがちです。自分自身についても、移住する場所についても、都心ではない価値観があることを受け入れ、当たり前を問い直す力が移住成功の鍵となるのではないでしょうか(小熊)」
そもそも移住は必要なのか?
そして、大切な視点として、「そもそも移住する必要があるのか」という根本的な問いも忘れてはいけないかもしれません。今いる場所で実は理想が叶えられるのであれば、わざわざ移住する必要はないのかもしれません。
一番の目的は「良い人生を送る」ことであり、そのための手段として移住があるのだと思います。移住することが目的になってしまわないよう、場合によっては今いるところで生活を変えることで理想の人生が実現できる可能性も考慮に入れておくと良いかもしれません。
楽観的なマインドセットを持って
「最後に大切なのは、楽観的な気持ちで移住を進めることかもしれません。譲れないポイントを持つことは重要ですが、移住したら必ずしも理想が現実になるとは限らないと思います。
アクシデントがあった時にも乗り越えられるような楽観的な気持ちで、移住というチャレンジに向き合うことが成功への道筋となるのではないでしょうか(内田)」
3人のキャリアコンサルタントが伝える移住の第一歩
3人のキャリアコンサルタントが語った内容を整理すると、移住の第一歩として以下のポイントが重要であることがわかりました
- まずは自己分析から始める
・理想の生活を具体的にイメージする
・譲れない条件を明確にし、優先順位をつける
・価値観→経験→やりたいことの順序で整理する - 小さな行動から始める
・オンラインでの情報収集
・移住相談への参加
・現地訪問や体験プログラムへの参加 - ロールモデルを見つける
・移住先輩のインタビュー記事を読む
・気になる人がいたら実際に会える機会を探す - 楽観的なマインドセットを持つ
・完璧を求めすぎない
・アクシデントも乗り越えられる気持ちで進む - 根本的な問いを忘れない
・そもそも移住が必要なのかを考える
・より良い人生のための手段として移住を捉える
移住は人生の大きな決断ですが、それだけに慎重な準備と前向きな行動力の両方が必要です。今回3人のキャリアコンサルタントが共通して語ったのは、「まずは一歩踏み出してみること」の大切さでした。
まずは相談から始めませんか
移住は人生の大きな決断ですが、一人で悩む必要はないと思います。わかやま移住定住支援センターでは、東京と大阪に窓口を設け、経験豊富なキャリアコンサルタントが皆さんの移住相談に応じています。
自己分析の方法がわからない、具体的な移住計画について相談したい、和歌山での暮らしについて詳しく知りたいなど、どんなことでもお気軽にお問い合わせください。あなたの理想の暮らしの実現に向けて、私たちがサポートできればと思います。
移住という新たな人生の選択肢について、まずは小さな行動から始めてみませんか。その第一歩が、あなたの人生を大きく変える可能性を秘めているかもしれません。