近年、日本を訪れる訪日外国人は増加し続けている。しかし、時間の限られている旅行では「本物」の日本を体験出来る場面は少ない。宮島にはそこに目を付け、本物の「茶道・書道・日本料理」を体験できるサービスを提供している会社がある。それが、「株式会社okeikoJapan」である。今回は、株式会社okeikoJapanの代表取締役である橋口栄さんに、事業に関してお話を伺ってきた。

株式会社okeikoJapan

2016年に創業した、文化体験サービスを提供する広島発のスタートアップ。宮島を拠点に、書道・茶道・日本料理等を90分ですべて体験できる体験型コンテンツを開発、提供。訪日外国人を中心に、宮島を訪れる観光客の間で話題になっている。

記事のポイント

  • 90分で本物の日本文化体験ができるコンテンツ開発
  • トライアンドエラーでの事業のブラッシュアップ
  • 「おけいこ」の文化を宮島から世界へ

本物の日本文化を世界に

ーokeikoJapanはどのような事業をされているのですか

okeikoJapanは、宮島を拠点に体験型サービスを展開しています。30分ずつ茶道・書道・日本料理など様々な日本文化を体験してもらえるようなコンテンツを展開しています。現在okeikoJapanのコンテンツは、主に外国人観光客をターゲットにしています。インバウンド需要の高まりを感じているので、今後もコンテンツを充実させてゆくつもりです。

okeikoJapanのオフィスでもあるお寺の入り口

ーかねてから、インバウンドに目をつけていたのですか

実は、全くそういうつもりはなかったんですよね。もともとおけいこハウス(okeikoJapanの前身)を運営していて、その流れで始めたので、漠然と「宮島で」、「観光客向けで」と考えていました。しかし実際のところ飛び込んでみたらインバウンドの市場はとても大きく、ニーズもすぐそこにあるので、この事業は、時流に乗った価値のある取り組みであると今は感じています。

ーインバウンドビジネスは、どの点が難しいですか

ターゲットが外国人なので、日本に来る前にokeikoJapanのことを自国で知ってもらわなければならない。なので、そこに対してどうプロモーションしていくかを常々考えています。すぐには結果が出ないので、今はトライ&エラーの辛抱の時期です。

ー通常の習い事ではなく、観光客に向けたサービスとなると、コンテンツにかなり工夫が必要だと思うのですが

最初は、茶道・書道・日本料理をそれぞれ単体で、60分で提供していました。しかし、できるだけ多くの「本物」を複数体験してもらいたい。そこで、茶道・書道・日本料理をそれぞれ30分ずつ、計90分で体験出来るようなセットをつくりました。ただ、各講座30分ずつなのでお客さまが一番体験したいところはどこなのかを把握し本物の体験を凝縮しつつ、しっかり満足いただけるように工夫しています。

書道体験

茶道体験

日本料理体験(味噌玉)

ーインバウンド事業と聞くと、競合が多い気がしますが、他のインバウンド向けサービスとはどのように差別化しているのですか

うち(okeikoJapan)は、体験サービスを提供していますが、これだけのコンテンツ数を持っていて、これだけの部屋数を持っていてという体験コンテンツを提供しているところは、もちろん宮島にはないし、日本全国探し回ってもなかったですね。さらに、数だけでなく、30分、30分、30分で「本物」を体験してもらえように、インバウンド向けの商品開発をしています。体験コンテンツの紹介や予約ができるサイトはありますが、リアルに「箱」を持って、みんなが集まって、様々な種類のコンテンツを一か所で体験出来るところはないと思います。

ーなるほど。他社もあまりいない中で、ビジネスモデルを開発していくのは難しいですか

難しいですね。「お手本がない」ということで、正解がありません。なので、この1年はトライアンドエラーで何がいいのか悪いのかというデータを集めています。1年後には多くのデータを元に、他県でも活かせるような手法を作り出していきたいです。

okeikoJapanの社員さん(橋口さん他4名)

ー今後、okeikoJapanを発展させていくために、どんな人と働きたいですか

何かやりたいという人ではなく、具体的にやりたいことをもっていて、それをこちらにプレゼンしてくれるような熱意のある人がいいですね。そして、それぞれの能力が生かせるよう互いを認め合って、足りないところを補い合える関係が築ける人。そんなスタッフが集まれば現場の空気も温かくなり、自然とお客さまサービスにもつながります。私たちスタッフが楽しくなければ、会社の発展などないと思っています。

ー最後に、この記事の読者に一言お願いします

この事業は、多くの方のご支援をいただいてスタートしました。そして今、多くの方の夢を乗せて進んでいます。宮島から世界へ。おけいこという学びを通して、世界中の人とのコミュニケーションを楽しんでいただきたいと考えています。

取材・文・撮影:編集部

●橋口 栄

短大卒業後、保育士を2年勤めたのち、テレビ局のお天気キャスター、リポーターとなる。多くのテレビ・ラジオ番組リポーター・ディレクターを13年間務め、出産を機に退職。平成26年7月地域コミュニティサロン「おけいこハウス」開業。平成28年9月、株式会社 okeikoJapan 設立。インバウンド向けおけいこ体験施設を創設。高校1年生の娘と小学6年生の息子の母

●株式会社okeikoJapan 会社概要

  • 所 在 地 :広島県廿日市市宮島町741-1
  • 設  立 : 2016年
  • 代表取締役 : 橋口栄
  • 事業内容 : 文化体験サービスの開発・運営
  • okeikoJapan コーポレートサイト