土に触れ、仕事も捗る。富良野が示す「半農半X」のリアル
2026年6月22日(月)〜26日(金)の4泊5日にわたり、北海道・富良野市で「富良野アグリワーケーションツアー」が開催されました。
本ツアーは、単なる観光地でのリフレッシュ目的のワーケーションとは異なり、「本格的な農作業」と「リモートワーク」を組み合わせた、新しい働き方を探る実践型のプログラムです。
参加者は4名。それぞれが本ツアーの目玉となる農業体験への期待を胸に、富良野へと集まりました。
本ツアーで、参加者たちが富良野市の基幹産業である「農業」にどのようにフォーカスし、自らの働き方やライフスタイルをどのようにアップデートさせたのか、その詳細をレポートします!

目次
土に触れ、汗を流す――富良野農業の「リアル」に迫る本格体験
今回、農作業体験を受け入れていただいたのは、富良野市山部地区にある守田農園さんです。
参加者たちは富良野市の特産品でもあるメロンやアスパラなどの農作業を体験しました。
単なる「見学」や「レジャー」ではなく、実際に地域の基幹産業を支えるプロの農家さんの『手』となって作業に加わることで、参加者たちは富良野市の農業の奥深さと、その裏にある厳しさを肌で感じていきました。
参加者の大半は、普段オフィスでデスクワークに従事しているメンバーです。
「体力的についていけるか」という不安もありましたが、農家さんの丁寧なレクチャーと和気あいあいとした温かい雰囲気のおかげで、すぐに緊張もほぐれ、安心して作業に没頭していきました。
農作業初日はあいにくの雨となりハウス内での作業となりましたが、3日目以降は天候にも恵まれ、晴天で穏やかな天気のもと、気持ちよく農作業に取り組みました。
▼守田農園公式HP
■ メロンの皿敷き・アスパラの定植という「リアルな裏方作業」
参加者が体験したのは、「収穫作業」のようなポピュラーな体験ではありません。
農作物の品質と価値を担保するための、極めてリアルで重要な「裏方作業」です。
具体的には、メロンの見た目を美しくするための「皿敷き」や、アスパラの植え付けなどに挑戦しました。
メロンの『皿敷き』は、地面に接する果実の下に専用の皿を敷く作業です。果実の成熟を均一にし、美しい網目模様を形成するために欠かせない繊細な作業となります。
また、アスパラの『定植』は、将来の収穫量を左右する重要な工程です。
▼メロンの皿敷き

黙々と、時に賑やかに。オフィスワークとは対極にある「農作業の心地よさ」
守田農園さんでのメロンの皿敷きやアスパラの定植は、参加者たちにとって、日頃のデスクワークとは180度異なる新鮮な体験となりました。
特に、手を動かしながら終始リラックスして会話を楽しめる環境は、都市部で働くメンバーにとって新鮮な驚きだったようです。
IT・ソフトウェア企業の代表をしている参加者は、農作業ならではの魅力を次のように笑顔で語ってくれました。
「とにかく作業自体が楽しいですね。黙々と手を動かしていると、目の前の仕事がどんどん形になっていく達成感があります。それに、作業中はずっと周りと喋っていていいじゃないですか。オフィスでこんなにずっと雑談していたら絶対に怒られますけど(笑)、ここでは適度にコミュニケーションを取りながら、手だけを動かしていればいい。こういう空気感は本当に素晴らしいなと思います」
実は、そう語ってくれた参加者は、若い頃に造園の仕事を経験していたのだそう。
そのため、ポットから苗を植えるアスパラの定植作業には、どこか懐かしさや馴染み深さを感じていました。
一方で、前日に行ったメロンの「皿敷き」は人生初の体験であり、「普段やっていない未知の領域に挑戦することそのものが、新鮮で非常に面白い」と、知的好奇心を刺激される農作業の奥深さに、すっかり魅了されている様子が印象的でした。
▼アスパラの定植


身体を動かすと、仕事が捗る!?「半日は農、半日はワーク」が生む好循環
半日は農作業で汗を流し、半日はデスクワークに向かう──。
「半日は農、半日はワーク」というアグリワーケーションならではのタイムスケジュールは、参加者たちに驚くほどの好影響をもたらしました。
普段、都市のオフィスで座りっぱなしの生活を送る彼らにとって、中腰での農作業は新鮮な体験だったようです。
心地よい筋肉痛を感じながらも、参加者たちは口を揃えてその驚くべき効果を語りました。
フリーランスで編集・ライターの仕事をしている参加者は、そのメリハリの効果を実感しています。
「朝にしっかり身体を動かすと、午後のパソコン作業が驚くほど集中できるんです。これまではメリハリが全くない生活だったので、逆に頭がスッキリと活性化する感じがします」
また、ICTエンジニアリング企業に勤めている参加者も、この新しい生活リズムがもたらす心身の健康に太鼓判を押します。
「ずっと座りっぱなしのオフィスワークは、どうしても体への負担が大きいと感じていました。ですが、ここでこうして体を動かせば、わざわざ整体やジムに通う必要もありません。本当に人間らしい暮らしです」
半日の農作業で得られる「ちょうどいい限界」の疲労感は、午後の集中力を高め、豊かなアイデアを呼び起こす呼び水となります。
この掛け合わせこそ、参加者たちが富良野で見つけた、心身を健やかに保ちながら成果を最大化する“黄金パターン”となったようです。

先人に学ぶ!「半農半画家」イマイ氏が体現する、富良野での新しい生き方
アグリワーケーションツアー4日目の午後、参加者たちは「半農半画家」として富良野で独自のライフスタイルを実践するイマイカツミ氏を訪ねました。
かつて都会での生活に行き詰まりを感じていたイマイ氏。そんな時、偶然目にした「農業ヘルパー募集」のチラシが一筋の光となり、富良野へと渡りました。
以来、農業を生活の基盤に置きながら、画家としての自己表現を追求する「半農半X」の道を力強く切り開いてきたのです。
イマイ氏の実体験に基づくライフヒストリーは、参加者たちに「人生の選択肢としての農業」という希望に満ちた視点をもたらしました。
また、参加者たちは初日、市農林課職員から「農のある働き方を支える圧倒的な支援体制」についても理解を深めました。
富良野市には「農業担い手育成機構」があり、未経験からでも就農しやすいよう、メロンやミニトマトといった作物ごとの具体的な「技術指導」や「営農収支」のロードマップが用意されています。
単なる精神論ではなく、きめ細やかな実務サポートがあるからこそ、「半農半X」という柔軟な生き方が実現できる。
イマイ氏の力強い生き方と支援体制を知ることで、富良野が単なる観光地ではなく、新しい生き方を模索する人々に具体的な「道」を指し示してくれる場所であることを、参加者たちは深く納得し、肌で感じていました。


▼イマイカツミ氏のHPはこちら
▼富良野市担い手育成機構のHPはこちら
「振り返りMTG」と「市長表敬」で見えた、これからの課題と期待
アグリワーケーションツアーは終盤を迎え、参加者たちは富良野で得た学びや気づきを深める「振り返りミーティング」に参加しました。
ここでは、単なる体験談に留まらない、それぞれのビジネスバックグラウンドを活かした熱い議論が交わされました。
「ストーリー」が紡ぐ農業の新しい価値
作物の品質そのものの良さはもちろん、生産者が「なぜ、どのような想いで作っているのか」という背景(ストーリー)こそが、消費者の心を動かす強力な付加価値になるという意見。地域固有の課題に寄り添う「等身大のスマート農業」
高額な最新テクノロジーをただ導入するのではなく、例えば「熊対策」のように地域が直面している切実な課題に対し、低コストで泥臭く解決できる仕組み(ローテクとハイテクの融合)を作ってみてはどうかという、極めて実践的な提言。
都市で培われた彼らの知見が、富良野の農業に新しい風を吹き込む――そんな可能性を強く確信させる時間となりました。
その後行われた富良野市・北市長への表敬訪問では、農作業体験の感想とともに、アグリワーケーションを「関係人口の創出」へと昇華させるための具体的な提言が行われました。
アグリワーケーションが一時的な交流で終わるのではなく、都市と地域を結ぶ「新しい関係人口の形」として、今後どう地域に貢献できるか。
彼らの真摯な眼差しと具体的な提案は、富良野の未来にとって、大きな期待と可能性を予感させるものでした。


自然塾での「植樹」が紡ぐ、富良野との一生の繋がり
アグリワーケーションツアーの最終日、参加者たちは富良野の豊かな森の中で、ある特別なプログラムに臨みました。
それが、富良野自然塾での「植樹」体験です。
富良野の大地へ「自分の木」を植えるという行為は、参加者たちにとって、富良野との新たな、そして永続的な繋がりを象徴するものでした。
この植樹は、滞在中に排出したCO2をオフセットする「ゼロカーボン」への貢献という意味合いも持ち合わせており、参加者たちは富良野との絆を深めると同時に、地球環境への配慮という大切なメッセージも受け取りました。
植樹した木にあえて名前の札を立てず、野生動物に食べられる可能性もあるという自然の摂理を学ぶ演出は、富良野の雄大な自然の一部となることの尊さと、厳しさを教えてくれました。
自分が植えた木がこの地で成長していくことに思いを馳せながら、参加者たちは5日間の旅を終えました。
東京に戻って日常を送る中でも、ふと富良野の広大な畑で汗を流した日々や、ともに語り合った農家さんたちの顔が脳裏をよぎるでしょう。

▼富良野自然塾
富良野アグリワーケーションがもたらしたのは、単なる観光や一時的なリフレッシュではありません。
それは、ハードルの高い「完全移住」を強いるものではなく、都市に軸足を置きながらも地域と深く結びつき続ける、「一生モノの関係人口」の始まりでした。
土の匂いと確かな手応えを胸に日常へと戻った彼らの心には、富良野の大地が教えてくれた「農と仕事の二刀流」という新しいライフスタイルの可能性が、確かに芽吹いていたはずです。
▼参加者ワーケーション体験記はこちら
関連情報
▼公式サイト「ワーケーションフラノ」はこちらから(画像をクリック!)
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