地方移住を支援する認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが、2020年の国内移住相談の傾向、移住希望地ランキングをまとめ、発表しました。

新型コロナの影響を受け、移住相談会・セミナーの開催減少、オンラインへの移⾏が顕著になった2020年。

そのため今回は、2020年1月から12月末までに、ふるさと回帰⽀援センターの窓⼝の利⽤者(相談者)と、主催・共催セミナー・相談会等参加者それぞれでランキング。延べおよそ7,606件の回答を元に、詳細なデータがまとめられています。

ランキングは、各年の世相を反映しながらも、各地域の移住定住促進の活動の評価ともなるため、国内移住希望者はもちろん、各自治体関係者も必見の内容となっています。

窓口相談では、全ての年代からの人気が高かった静岡県が1位

静岡県は新型コロナ禍でも出張相談会をオンラインに切り替えるなど体制を整えており、相談件数を落とさなかったことも理由のひとつだったようです。また、同じくオンライン出張相談を強化した山梨県も2位にランクインしました。

首都圏からの近さで根強い人気の静岡県

静岡県は、全世代で人気が高い地域となっています。その背景にあるのは、首都圏との近さと、交通の便の良さ。東海道新幹線はもちろん、高速バス等での移動もしやすいことから支持されているようです。
また、年間を通して過ごしやすい気候で、雪に悩まされることがないのも魅力のひとつです。

豊かな自然も魅力、2位の山梨県と3位の長野県

交通の便の良さに加えて、身近に大自然が感じられるのがこの2県の魅力。都市部と自然の近さやによってライフスタイルをまるごと変える移住から、週末プチ移住(二拠点・多拠点)先としてなど、県土の広さを活かして、多様なスタイルを受け入れられる土壌が人気の背景にありそうです。

9位に神奈川県、10位に群馬県、12位に茨城県、13位に栃木県

注目ポイントは、首都圏により近いエリアのランクアップです。在宅勤務が増えたことをきっかけに、これまでは職場へのアクセスを重視していた人が、仕事を変えずに、引っ越しに近い感覚での移住希望が増えたと考えられます。
東京勤務者の住まいの概念がさらに拡張したことは、2020年の大きな特徴といえるでしょう。

セミナー参加者では、和歌山県が1位、2位広島県、3位佐賀県

オンラインセミナーの普及によって、首都圏メインだった相談者の居住地が近畿圏・中部圏へも広がり、居住地に左右されることがなくなりました。

上位にランクインした3県はいずれも西日本。それぞれ、移住への入り口として気軽に参加しやすいオンラインイベントを多数開催し、「しごと」「すまい」といった、移住者の関心事だけでなく、地域の食材や地酒、謎解きなど様々なテーマによる集客に成功し、首都圏以外からの参加者を増やしたことがあげられます。

テレワークの普及によって、「転職しない移住」が実現

移住のネックとなっていた仕事の問題が解決したことで、2020年の移住希望者は大きく増えました。「1年以内の移住」希望が前年より6.1ポイント増加したほか、移住希望先に「地方都市」を挙げる割合は68.5%と根強い人気に。

問われる自治体の動き方。地方移住推進は、新しいフェーズへ

テレワークとオンラインセミナーの普及により、まったくあたらしい地方移住のきっかけが生まれています。あわせて自治体の移住促進も、オンラインでのセミナーや移住相談を積極的に行った自治体は関心度に大きく影響しています。

まずは地方移住という取り組みを知ってもらうという段階から一歩進み、各年齢層や属性ごとに、的確なメッセージを伝えることで、より満足度が高く、継続する地方移住が可能になる状態になってきました。

今後はよりきめ細やかな地方移住促進の仕方を生み出し、伝える場をつくることが重要になってくるはずです。

参考: 2020年移住希望地域ランキング公開