みなさんこんにちは!
一般社団法人 全国道の駅支援機構 です。
本記事は、過去セミナーにご参加頂いた皆様当機構理事のメンバーと名刺交換をさせて頂いた皆様にご挨拶と今後の道の駅に関する情報提供のためにお送りしたメールマガジンより転載しております。

こんにちは!

全国道の駅支援機構の佐藤孝好です。
クリエイティブディレクター/アートディレクターという肩書きで、全国で流れるようなテレビCMや広告キャンペーンなどに携わる傍ら、「地域を広告する」というコンセプトで道の駅や地域を盛り上げるキャンペーン、お土産商品のブランド開発などを手掛けています。

私が過去に手がけた事例から、「好かれる、流行る道の駅になるためのクリエイティブ」という視点で寄稿させていただきます。

今回の事例は・・・

「おっタマげ!淡路島」キャンペーン (道の駅 うずしお さん)

です!

淡路島の最南端、徳島県とつながる大鳴門橋すぐ近くに位置する人気の道の駅です。

はじめにいただいた相談は・・・

「淡路島をもっと有名にして活気づけたい」
「自然があり空気がおいしい、牛肉やお米もおいしいことをアピールしたい。」
「でも特産品のタマネギしか知られていない…」

こんな内容でした。

この相談に対して感じたこと。

1.「淡路島をもっと有名にして活気づけたい」
(莫大なメディア費を使って宣伝するのであれば別ですが…)
今よりももっとメディアに取り上げられ、
SNSなどでも興味を持たれる存在になる必要があると思います。

→では何でどう目立つか?

2.「自然があり空気がおいしい、牛肉やお米もおいしいことをアピールしたい。」
色々な地域と関わっているヨソモノ目線から見るとどうでしょう
ごく一部の都市をのぞいて、日本のほとんどが近しい特徴を持っているのでは。

→全ての特徴を詰め込んでアピールしたとしても、目立たない、心に残らない

3.「でも特産品のタマネギしか知られていない…」
目立って、触れた人の心に好意を刻み込むには強い個性が必要です。
こんな島は他にない。最強の材料がありました。

一見ネガティブなこの特徴を、超ポジティブに言い換えてみるとどうでしょう?

「世界一タマネギを愛する島」

→ポジティブに他の地域と差別化し、目立つための材料ができました!!

そうして生まれたのが「おっタマげ!淡路島」キャンペーンです。

淡路島ならではの過剰なタマネギ愛を、一方的に情報発信するのではなく
お客様が楽しめる道の駅のエンターテイメントコンテンツとして次々と具現化していきます。

・玉ねぎキャッチャー … 生タマネギをそのまま景品にしたクレーンゲーム。
・たまねぎカツラ … タマネギヘアのカツラをレンタルできる。
・おっタマげソフト … ソフトクリーム売り場で「シングル」と注文するとコーンにタマネギが乗って登場。
・おっ玉葱 … 絶景スポットに、巨大なタマネギオブジェ。定番の撮影スポットに。
・玉泣き美人コンテスト … タマネギを刻み、涙を流す美しさを競う狂気の美人コンテスト。

とにかく徹底的に、過剰に、タマネギ愛をアピールしていきます。
ひとつひとつにもそれぞれ濃いエピソードありますが、長くなりすぎるので
それはまた次回以降に…

まず、訪れたお客さんのSNS投稿から火がつき、「淡路島 wwwww」とネットで話題が広がりました。
やがてネットニュースに取り上げられると、新聞やテレビの取材もバンバン入り、非常に多くのメディア露出を獲得しました。(民放キー局全制覇!!)

瞬間的な話題づくりだけでなく、いまでもそれぞれのコンテンツが道の駅の資産として活用され、人気を博しています。(トリップアドバイザー 道の駅ランキング2019 6位 もちろん魅力はこれだけじゃないですが…)

コミュニケーションによって個性を話題化し、好かれるためには…

秘訣はただひとつ

「選択と集中」

これに尽きると思います。

「現代人が1日に触れる情報量は、平安時代の一生分、江戸時代の1年分」
なんて話もありますね。
確かに誰もが胸焼けするようなボリュームの情報に囲まれながらいまの社会を生きていると思います。

テレビ番組で取り上げる時、ニュースの見出しになる時、お客様が誰かに感想を伝える時、SNSで投稿をする時…
情報過多ないまの世の中で魅力を一言で伝えることができなければこういったメディアには拾ってもらえません。(詰め込んで載せても記憶に残りませんね。)

話題になり、キャッチーな魅力に誘われ、施設に足を運べば必ずタマネギ以外の魅力も体験してもらえるはずです。
その入り口としてタマネギへの「選択と集中」に徹底的にこだわりました。

コミュニケーションの設計をする際にお客様にどの段階でどんな情報(体験)を届けるか?
その取捨選択が大変重要なキモになります。

この考え方は、ニュースの中で目立つということだけでなく、
「売り場の中で目立つパッケージデザイン」
「他の店と差別化できる飲食店づくり」
などなど、幅広いコミュニケーションに応用可能です。

情報をそぎ落とすことはとても勇気がいります。
だからこそ魅力のひとつひとつを念入りに分析し選び抜くためにじっくり考えることが必要になります。

それではまた。

ありがとうございました!!

佐藤 孝好 クリエイティブディレクター / アートディレクター
武蔵野美術大学卒業後、大手広告代理店やクリエイティブエージェンシーで数多くの広告キャンペーンのクリエイティブを担当。
2013年に独立。「産んで、育てて、共に生きる」オギャー株式会社代表取締役
「地域を広告する」ココホレジャパン株式会社取締役、道の駅や地域のキャンペーン広告や商品ブランド開発に携わりながら、大規模なマス広告も手掛けている。
映像からグラフィック、サインデザイン、WEBデザイン、パッケージデザインに至るまで、幅広いクリエイティブで社会をより良くするためのユニークで斬新なコミュニケーションを追求。