国でも希少な放牧山地酪農による乳製品を製造・販売する田野畑山地酪農牛乳株式会社(岩手県下閉伊郡)は、ブランドチーズ「白仙」の製造危機を脱するため、9月11日よりクラウドファンディングを開始した。集まった資金は、白仙を製造する工場のリニューアル費用に使用される。

今回のクラウドファンディング実施の背景には、白仙を製造する工場の老朽化が挙げられる。通常、チーズの熟成のためには、年間を通して工場の温度を一定に保つ必要がある。しかし、同社の工場にはその仕組みがなく、室内に徐々に湿気が溜まったことによって屋根の一部が腐り、崩落の危険性がある旨を専門家に指摘されたことがきっかけだった。当時、数千万円という莫大な資金を投入して工場を建設した同社。白仙への想いから工場の増築を検討したものの、やはり費用のハードルが高かった。

理由には、後述する農法上、牛乳の大量生産が難しいことでチーズの製造数に限界があり増益が見込めないことや、新型コロナウィルスの影響による経済的な打撃がある。工場の修繕に大きなコストをかけられない実状から、本プロジェクトを立ち上げるに至った。

山地酪農の牛乳は、人が用意した穀物飼料や農薬、化学肥料には頼らず、自然の恵みだけで育った乳牛から搾られる安心・安全な牛乳だ。四季折々の野草や湧き水を、いつでも好きなときに求めることができる環境でストレスなく育った牛の搾乳量は、先に触れたとおり一般的な牧場で育てられる乳牛と比べてはるかに少ない。

白仙は、その希少な生乳からつくる生クリームをふんだんに使用した、極上のチーズ。白仙という商品名は、同社の吉塚代表自ら名付けた。「仙」という文字には「その道を極めた」「世間にとらわれない」「美しい」 という意味が込められており、たくさんの苦労を乗り越えて、ブランド牛乳としてファンから愛されるようになった山地酪農の道と共通している。また、雪がしっとりと積もったようなフォルムからは気品も感じられ、全国から1,000以上の事業者が集まるにっぽんの宝物プロジェクトの全国大会(JAPANグランプリ2019 )では、「最強素材部門」で準グランプリを獲得するなど、その品質もお墨付きだ。

同社は、今回のプロジェクトが達成されることで白仙の安定的な生産が保てると望みを託すとともに、支援を元に、ブランドチーズ「白仙」や山地酪農の素晴らしさを届け続けていくことを目指すとしている。

■プロジェクト詳細
プロジェクト名:希少な山地酪農牛乳から作るブランドチーズ「白仙」の生産を守りたい!
URL:https://camp-fire.jp/projects/view/317014?list=search_result_projects_popular
目標金額:3,000,000円
募集期間:2020年9月11日(金)~2020年11月11日(水)

リターン例:以下、【】内は支援金額。

【8,000円】
お礼の手紙、山地酪農牛乳1000ml ×2本 、カチョカバロチーズ限定試作品(ハーフカット約200g)

【10,000円】
:お礼の手紙、 オリジナルチーズ「白仙」(1ホール140g) 、カチョカバロチーズ限定試作品(ハーフカット約200g)

④【20,000円】
お礼の手紙、ハンバーグ(120g)、コンビーフ(150g)、ローストビーフ(100g)、ビーフシチュー(300g2人前)、今治フェイスタオル・今治バスタオルセット(今回限りの非売品として製作)