好きな相手と組むことがコラボの大前提

―具体的に、今の担当業務は?

入社当時はウェブマーケティング担当でしたが、16年11月から広報も兼務。17年10月からは営業統括も加わって、EC、実店舗、法人営業、海外営業も見ています。幅広いですが、自分が動ける範囲は限られるので、各チームメンバーがやりたいことを引き出して、それを仕組み化する立場だと思っています。今治が本社で京都や福岡にも直営店がありますが、僕の勤務地は東京が9割です。

コラボ商品(宇宙兄弟とのコラボタオル)

コラボ商品(宇宙兄弟とのコラボタオル)

―イケウチは地方企業とは思えない発信力があります。広報担当として工夫している点を教えてください。

池内が松下電器産業(現パナソニック)で営業企画として、広報にも携わっていたので、元々メディアに取り上げられるのは得意な会社でした。僕自身も情報発信を仕事の中で最重視しているので、今後も広報に一番時間を割いていきます。入社して、「もったいないな」と感じることがすごく多いんです。外から見ると当たり前じゃないのに、社内では当たり前だと思って見過ごしている技術やアイデアが多いので、「こんなにすごい技術があるなら、もっと前に出していきましょう」と伝えています。

たとえば、2色の糸の織り模様で細かい柄を表現したタオルがそれです。柄をプリントしたタオルはよくありますが、ジャガード織りという手法で柄を描いたタオルはあまり知られていません。でも、これはタオルメーカーからすると全く珍しくない、むしろ古い技術なんです。今年の5月に「温泉むすめ」というキャラクターとコラボレーションしてジャガード織りのキャラクタータオルを作ったら、海外の方が「こんなことができるのか」と驚いていました。タオル業界では当たり前の技術でも、世の中の人には全く知られていない。これを自分が新卒からずっと携わっていた、エンタメ業界に広げていけば可能性はもっと広がるはず。たとえば、ミュージシャンの写真をもとにタオルを作れば、従来のアーティストグッズとは全く別物の商品が生まれます。

―業界の枠を超えてコラボすることは、新たな需要を掘り起こすことになりますね。コラボしたいのはどんな相手ですか?

自分達が好きなアーティストや作品と組むことがコラボの大前提です。メーカー側に想い入れがないと、いいモノはできません。漫画の「宇宙兄弟」とコラボしたタオルを作ったことがありますが、24時間で1,666個が完売しました。単純に、僕がこの作品が好きというところから始まったコラボです。前職で、作家のエージェント会社を立ち上げた、コルクの佐渡島庸平社長と面識があって、話をしてみたらタイミングも合って、すぐに決まりました。作品のファンにも愛される商品を作りたいですし、僕らが商品を作ることで、ファンが商品を使う度に作品のことを思い出して、好きになる。そして僕らのようなメーカーを好きになってもらえる関係が理想です。
コラボは、自分がこの10数年の社会人生活の中で築いてきた人間関係の中で動くことがすごく多いです。キャリアの点が線に繋がっています。自信を持ってうちの商品を人に勧められるから、それが可能なんです。自分がちょっとでも商品の品質に疑問を持っていたら、信頼を失うのが怖くて、知人や友人とコラボはできません。