Profile

田邊 大輔/田邊 真理恵

田邊大輔 36歳 下川町森林組合勤務 宮城県出身 2004年に移住
田邊真理恵 40歳 株式会社フプの森代表取締役 北海道千歳市出身 2007年に移住

「ここ、景色がいいでしょう。
会社の森のすぐ近くなんで、町外から友達や仕事のお客様が来た時には、ここで昼ごはんを食べたりミーティングしたりするんですよ」 森の近くで暮らしていくことを求めていた2人は、下川町で出会った。

森林組合で森を管理する大輔さんと、森林資源を活用してエッセンシャルオイルを製造・販売する真理恵さん。
下川の森が織りなす2人の出会いと今について伺った。

下川を一望できる丘がお気に入り

下川を一望できる丘がお気に入り
「フプの森」が所有する森のすぐ近くに、見晴らしのいい丘が。酪農家さんの許可を得て、天気のいい日はここでランチをしたり、打ち合わせをしたり。

森にかかわる仕事がしたい。森林についてもっと学びたい。

大輔:小さなころ、家の裏に山があって、常に森や自然がそばにあったんです。
遊び場でもあり、身体を鍛える場所でもあり、そんな中で仕事ができたらいいかなと漠然と思っていました。大学時代はデザインを学び、東京で建築やデザイン会社に勤めてみるものの、次第に「森林についてきちんと学びたい」という気持ちが高まってきて。

僕が移住してきた2004年ころは、森林組合でホームページを持っているところは10くらいしかなくて、北から順番に見ていったら、最初に飛び込んできたのが下川町でした。すでにエッセンシャルオイルや、間伐などで捨てられていく木材を活用してビジネスにつなげるという動き方をしていて、クリエイティブな組織だということも、ぐっとひかれた理由です。

真理恵:下川の存在を知ったのは27,8歳のころでしたかね。
子どものころから日本の森林資源の使い方や違法伐採にショックを受けていたという想いもあって、森にかかわる仕事がしたくて、勤めていた札幌の花屋を退職しました。その時情報収集に行った東京のイベントで、FSC認証を北海道で初めて取得したのが下川町だと教えてもらい、すぐに下川町森林組合に連絡して見学に訪れたんです。

そこで初めてエッセンシャルオイルの事業を知り、仕事内容にも興味を持ったのですが、その時には担当者のポストに空きがなく、まずは一ファンとして何度か下川を訪れていました。当時エッセンシャルオイル事業の担当者だった彼ともその時に出会ったのですが、ほどなくして彼が森林や木材についてもっと学びたいと下川を離れるという時に、私が後任に立候補しました。

下川への移住が叶ったのは2007年の1月です。その頃にお付き合いも始めました。なので、仕事の引き継ぎも、プライベートのお付き合いも、最初から遠距離でした(笑)。

森林資源を利活用したトドマツの精油

森林資源を利活用したトドマツの精油
トドマツの精油づくりは、森林管理がきちんと行われていないと成り立ちません。間伐などできった木の枝葉をここで蒸留していきます。

自分たちが街を動かすプレーヤーになっていった

下川を離れた大輔さんは、宮城で大工、東京で造園の仕事をして、さらに林業についてもきちんと学びたいと信州大学に入学。
真理恵さんは大輔さんが担当していたエッセンシャルオイル事業を引き継ぎ奮闘する毎日。
2年余りが過ぎ、大輔さんが着地点に選んだのは、やはり下川だった。

真理恵:私も、森林組合のエッセンシャルオイルづくりを動かしながら、NPO法人森の生活に事業移管、現在の社名にもなっている「フプの森」へのリ・ブランディング、2012年に株式会社化させるという大きな転換を図っていましたね。
2人とも森を軸に働いていますから、家で話すことは、フプの森の話、森林の話。以前は休日には国立公園などの天然林に出向いたりしていました。最近は、新しいライフスタイルブランド「NALUQ(ナルーク)」も立ち上がり、家族みんなで販促イベントに出向くことが多いです。

大輔:下川に戻ることを決めていたわけではないのですが、いずれは帰るんだろうなと思っていました。
自分ができることややっていきたいこと、人との関係性なんかを考えると、やはり下川だなと。ちょうど下川も転換期だったんですよね。森林を軸とした産業が加速化してきたんです。
2008年に環境モデル都市に認定されて、その流れでたくさんプロジェクトも始動して、中枢でいろんな立場の人や仲間と一緒に悩んだり創り上げたりしていって、とてもやりがいがありました。

大輔:フプの森が目指しているものは「森のあるライフスタイル」ですが、それを自分たちで体現していきたいんです。
かっこいい暮らしかどうかわからないけど、森の手入れをして、子どもと散歩して、天気がいい日は森の中でごはんを食べたり、次の新商品を考えたり。
どうしたらもっと森に密接して暮らせるんだろうと、そんな話は2人でよくしています。そんな意味では仕事もプライベートもごちゃまぜですよね。