地元女子高生のクラウドファンディングを支援

女子高生によるクラウドファンディングをサポート

地元唐津の当時1年生だった女子高生2人を中心に始まったプロジェクト。彼女たちが目をつけたのは佐賀で栽培されるさがんルビーと呼ばれる全国で初めて品種登録された「国産」のグレープフルーツだった。
この素材から、ご当地サイダーとリップクリームを作るため、彼女たちとJCCの職員である小田切氏はプロモーションと資金調達の手段としてクラウドファンディングを提案した。
結果、多くの地元の方からの支援もあり、ファンディングは成功し、実際に商品化された。彼女たちの取り組みは地元メディアにも多く取り上げられ、全国高校生マイプロジェクトアワードで1位の文部科学大臣賞に輝く。

ー小田切氏
「例えば今日誰かが訪ねてきて、僕たちでも同じようなことを出来るんですかみたいな話をされたとすると。いやもうできますよ、やりたい気持ちさえあれば!っていう話から始めます。で、地元の何かを使いたいとか自分の作っている、考えている“コレ“は本当に良いんだといわれれば。なぜ今のままじゃダメなのか?それを事業化すると誰のために良いのか?それならこんな感じに考えをまとめたり行動していくのはどうかとか、その場合はこういった企業が力になってくれますとか、同じような考え方で動いている人やグループ(いわゆる身近なリアル)を紹介したりします。新しい挑戦をする場合、仕組みができあがっている事業とは必要なリソースや戦略が違うので「やりたい気持ちを」かたちにしていく過程での違った視点の気付きが大事です。あとは熱量と行動力」

このプロジェクトの結果、さがんルビーの認知度はあがり大手化粧品メーカーのブランドに採用されたほか、ジューススタンドなどでの展開もあり、果実の出荷量が増えてきたという。JCCのサポート活動がさがんルビーの認知を後押しし、多くの企業が注目し始めたのだ。

まさにこういった形で地元の資源が全国または全世界に繋がっていくことがJCCとしての目指す姿のひとつである。

他にもプロジェクトは多くあり、例えば同じ原料を使って、大手化粧品会社が果汁エキスを使った洗顔フォームを開発し、販売されていたり、耕作放棄地で採れたみかん(長い間農薬や化学肥料、除草剤が使われていない放棄地を開拓しオーガニック農場に再構築している)の花を摘み、加工してオーガニックな価値観を持った化粧品ブランドに使われるなど、これまでは食用として出荷されていたものが、少しずつ、様々な形となって世の中に流通し始めている。※みかんの花を摘む作業は地元のアクティブシニアや福祉施設に依頼。地域に新しい働きをもたらしているほか、観光と連動した花摘みイベントを行うなど多様な価値を提案している。

コスメで創業するなら唐津がいい理由。

コスメティック構想の肝はやはり唐津の地でビジネスを実際にしてくれる人が集まることだ。

現在のJCCが指標としている重要KPIをJCCの事務局次長の八島氏に聞いた。

ー八島氏
「一番は創業、起業です。その次は国内外企業の誘致、そして原料の供給力を増やす。アジアに向けた輸出力を高める。最後に研究開発力の基盤をきちんと整える。重要KPIはその5つです。」

創業する上で一番ネックとなるのは、資金である。どんな事業をするにも資金は必要で、ことコスメとなると商品開発、原料仕入れ、製造、これがOEMの場合でも製造委託費、在庫費用、人件費、物流費用などが発生し、実際に売上となり、キャッシュが生まれるまでに長い時間を要する。

ー八島氏
「我々は会員向けに商品開発助成事業をやっています。唐津市ではコスメに特化した創業助成制度もあって、例えば2年間、運営費上限200万円補助しますよとか。オフィスを借りたら二分の一を補助しますよとか。そういう資金面のケアですね。もちろん金融機関は会員として3機関入っていますので、地元のキャピタル系から社債で引き受けてもらっていたりというケースもあります。また公的機関の助成金や、政府系・地銀系・民間ファンドのご紹介、ご相談を受ければそういったところは我々がつなげていけるとは思います。ビジネスの活動の規模によって必要なサポートをさせていただきます。」

資金以外にも、前述した商品開発、検査、製造サポート、販路開拓、マーケティング支援などバリューチェーンの川上から川下までフルサポートを受けることが可能なので、創業・起業を考えている人にとってはまさに力強い存在と言えるだろう。
そして今回感じたことは、JCCや唐津市のサポートは口頭アドバイスではなく、実際に一緒に悩み、動いてくれるリアルサポートをしてくれることが最大の魅力と感じた。
資金を引っ張るファンドとの交渉も個人で行くのと、行政や組織がバックアップしてくれるのとでは、全く結果は異なることが容易に予想できる。

実働部隊のJCCチーフコーディネーターである小田切さんは音楽業界や美容業界での経験を活かしてビジネスにおける違いの作り方を一緒に考えたり行動する。さらにJCCにはコスメの商品開発から企画、販売までバリバリ前線で活躍して来た経験豊富なメンバーがいるので、実際につまずく箇所や足りないノウハウを組織的に支援できる。

様々な角度からのアドバイスや実際に一緒に足を運び、水先案内人となってサポートをしてくれるのが唐津コスメティック構想最大の魅力だ。

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