海外ビジネスについて
JCCは国内企業向けに海外市場情報を伝えるセミナーや勉強会、ビジネス商談会を定期的に開催している。
2017年には実際にマッチングが成功し、国内のWAREWというスキンケア商品がスペインの小売店70店舗で販売が始まった。
しかしながら海外市場は言葉はもちろん、法規制や商習慣も違うので、まだまだ課題は山積だ。今は試行錯誤をしながら着実に実績を作っている状況だという。
ー八島氏
「今EU圏内へ輸出をするとなれば、当然レギュレーションやビジネスのやり方も違うので難易度が高い。そこでイタリアのクラスターと提携を活かし、レギュレーションのクリアや現地のディストリビューター探しをしてくれる企業を紹介いただき、そういった信頼のできるパートナーと組んで、ビジネスを回している状態です。アジアも同じように各国にそういったキーパーソンがいて、そこと組んで進出支援をしていますね。」
ー八島氏
「フランスはとてもハードルが高いです。そもそもフランス国内の競合がとても強いのと、なぜかうまく商品が入らないことが多い(非関税障壁?笑)。3年かけて費用もかなり費やしてやっと入ったという事例も聞きました。だから今はイタリア側から入れようとしてるんですね。何かもっといいやり方があるのかもしれないですけど、今は試行錯誤しながらチャレンジ中です。」
アジアのコスメブランドが「メイドインジャパン」を求めて日本進出
現在、アジア周辺のコスメブランドがメイドインジャパンという箔を求め、日本のOEM企業に製造を委託するケースが増えているのだという。
さらにそういったブランドの担当者は元P&Gなどグローバルメーカーでの経験がある人をアサインしているため、製造や品質に関してもレベルが高く、ビジネスモデルもしっかりしているという。
最近では国内のOEM企業の稼働率は非常に高い状態にあり、海外からの製造委託は国内企業の製造にも影響を与えている。
唐津市やJCCとしては、国内企業の保護の観点はもちろん持ちつつ、シームレスにアジアのコスメエリアという観点で投資を受け入れ、地域産業の活性に進むように舵を切っている。
一次産業も巻き込むインキュベーションセンターを作りたい
つい先日、地域発のコスメや健康食品を表彰するジャパンメイド・ビューティーアワード2017ではJCCがサポートしている3品が賞を受賞するなど、今までの成果が着実に身を結ぶようになってきた。
ー八島氏
「将来コスメや美容・健康関連のビジネスを日本でやるなら、佐賀・唐津でやるとやりやすいよねって言われるような街になればいいかなって思っています。目指すは『アジアでコスメビジネスをするなら佐賀・唐津!』ですね。」
ー小田切氏
「現在はファーマーズカフェ的なタマリバを作りたいと思っています。化粧品工場に隣接していて、基本的には生産者が納品にきたりするとこなんですけど、そこに研究者、事業者、投資家が気軽に集まれて、その環境において何か事業や商品が生まれるような場所、一次産品を軸にしたインキュベーションセンターやコワーキングスペースのようなイメージです。まだまだ各事業者さんが集まれるような場所がないので、場を作ることによって、地元の方はもちろん、地域外からくる起業家さん、事業者さんがフラっと立ち寄れる目印的な場所がほしいなって。」
コスメのベンチャーはまだまだ日本では少なく、あったとしても地方ではなく、都市部が多い。しかしながらITによってビジネスをする際の物理的なハードルが下がった今、コスメで何かをしたいという人にとって、JCCや唐津市のサポートを受けられる唐津は非常に魅力的な場所であると今回の取材を通して感じた。
取材・文・撮影:雑賀元樹
●一般社団法人ジャパン・コスメティックセンター(Japan Cosmetic Center)
- 拠 点
- 〒847-0013 佐賀県唐津市南城内1-1 大手口センタービル6階
- 設立
- 2013年11月11日※2015年4月1日に一般社団法人へ移行
- 代表理事会長
- アルバン・ロバート・ミュラー
- 会員数
- 202会員(うち正会員182、支援会員20)※2017年6月27日現在
- 団体HP