唐津の地域ビジネス携わることで芽生えた思い

──地域への思いなど、以前と比べていかがですか?

小田切氏
東京から離れたことがなかったので以前から地方に対する漠然とした憧れがありました。人間的な関わりが深いというか、関係性が近いというか、人との繋がりで暮らしていけるような印象がありました。東京でマンション暮らしだと隣の人さえだれだかわかりませんから。

子どもが生まれたのも大きく影響していて、今の子どもたちってマルチステージの中でどう働いていくかを考えなきゃいけない、時代の進み方も早いですしね。なので色んな地域とやり取りしながら町の人を元気にして、その町の子供たちに地域に対する誇りや安易に同調しない考えを持ってもらいたいです。自分の子世代の未来を創っている感覚です。

学生時代に僕らと何かをしたことで地域をより好きになったり、僕らみたいな大人と関わった経験が何かに火をつけていて、進学などでいったん地域を離れてもまた戻ってくるとか、離れていても地元に関わるなにかをしたいとかいうきっかけをたくさん作る。こういう取り組みが全国的に起こっていってるんですよね、これが繋がっていったら楽しいだろうなって。まわりからは妄想がひどいって言われますけど妄想がどんどんひどくなっていってる(笑)
選択肢や可能性が増えることで子どもたちが自分の生まれた地に対して希望とか安心感とか誇りを持てるようになれたらいいですね。シビックプライドってやつです。

東京にいたときは、地元に帰って仕事がしたい、けど仕事がないという声がよく聞こえました。
東京で過ごしていた時はわからなかったですが、こっち(佐賀)に来て本当にそれを実感してますね。仕事はあったとしても食べていけないっていう。チャンスや情報の少なさ、失敗に対する許容力のなさもあると思います。
妻の実家は三重県で農家をしていますが、最近では高齢で畑をやめる人が多くてお父さんがそんな畑を引き取っているんです。
大変だ大変だって言うんですけど田んぼや畑、自分が育ってきた景色を残していきたいっていう気持ちがある。ただ引き取るにも限界はあるし、跡継ぎがいないまま世代交代の時期は必ずくるっていう現実は目の前にあって。そこには打つ手がなくて、それでも耕して種をまいて刈り取って…そんな現状が全国にあるんじゃないかって。

今だったら距離が離れていてもウェブなどのコミュニケーション環境は昔より整っている、あとはやるかやらないか。どんどんチャレンジしていけるネットワークをJCCを軸に全国で作りたいという想いが強くなっています。マーケットは日本以外も考えられますし。

だから僕が関われた高校生とのクラウドファンディングはすごく印象的で。地元の子ども達がチャレンジすることを大人たちが応援できる地域ってって最高じゃないですか。あれってお金だけの話じゃなくて企画段階からリターン品の製造やアドバイスまで多くの地域の大人が手を差し伸べてくれてるんです。そしてそのチャレンジにストップをかけずに、背中を押して新しい学びを生徒にもたらした素敵な学校の先生たち。地域にも良い刺激になったのかなと思っています。子どもたちが頑張って特産物を広めようとしてその手段として化粧品を活用できたんだから、俺たちも頑張らなきゃという具合に。

10年後、20年後に活躍できる人に来て欲しい。

──今後、どんな方に来て欲しい、もしくはどんな方とお仕事したいですか?

八島氏
化粧品とか美容ヘルス系のビジネスをやりたいって思う人がこの地域にきてほしいです。農業から入ってくる人でも、アートから入ってくる人でも、ITでも。いろんな地域から海外も含め、JCCがいるから、連携してこの地でビジネスやってみようという人が来てくれると嬉しいですね。

もちろん大きな企業の誘致ができればクラスターとしての意義は大きいですが、僕は10年後20年後に大きなビジネスを動かせるような未来の社長となる人材がこの地に来ていただければと期待しています。この地域に根差して、ビジネスを創り、全国、世界中の方々とビジネスをするというような方が生まれていただくのが本当の目標です。

小田切氏
自分ならこうするとか、どうやったら出来るだろうみたいなのを考え、主体的にチャレンジする人と一緒にやっていきたいなという思いがあります。

僕らは様々な解決手法やネットワークを紹介しながら未来を共創する存在。JCCの機能を生かして自分たちの何かを解決したい、新しいビジネスモデルを試したいって皆さんと一緒に考えてみたい。日本の化粧品業界は製造受託企業の技術が高く、少ない数で生産対応できるところも増えてきています。企画すれば形になる、これをチャンスと感じるいろんな方と一緒に唐津から世界を盛り上げていきたいですね。


大変失礼ながら、今回の取材で初めてJCCさんの取り組みを知った。そこには唐津をはじめ、日本の第一産業を盛り上げたいと強い想いをもって、実際に行動なさっている方と、コスメ事業に対する手厚いサポートも充実していることがわかった。話の中にもあったようにコスメは付加価値が高く、事業的にも大変魅力的な分野だ。これからコスメに関連する事業で起業をしたい、もしくはすでにコスメ事業をなさっている方にとっては、JCCさんは大変心強い存在になるだろう。

取材・文・撮影:雑賀元樹

●一般社団法人ジャパン・コスメティックセンター(Japan Cosmetic Center)

  • 拠 点:〒847-0013 佐賀県唐津市南城内1-1 大手口センタービル6階
  • 設立:2013年11月11日※2015年4月1日に一般社団法人へ移行
  • 代表理事会長:アルバン・ロバート・ミュラー
  • 会員数:202会員(うち正会員182、支援会員20)※2017年6月27日現在
  • 団体HP:
    http://jcc-k.com/frmDefault.aspx