プロジェクトを進めることで見えてきた生産者の声
小田切氏
──今までは販売側でしたが、JCCで生産者側の方たちと触れ合うようになってみて見えてきたものって何かございますか。
小田切氏
生産者の方は化粧品や健康食品に興味がない、興味がないというよりその存在を認識することが無いんです。そういった生産者さん達に「あなたの生産している作物が化粧品に使えるかもしれません、私たちのコスメティック構想というは…」なんて話しをいきなりしても相手にとっては迷惑ですよね。どの地域にも言えると思いますが、自分の作っている作物は絶対に誰にも負けないぞという一次生産者の誇りと作物への愛情があります。たくさんの人に美味しく食べて欲しいんですよね。なのでそれぞれが大切にしている部分を伝える手段としての化粧品の可能性を具体例を交えて話す事を大事にしています。音楽もコスメも伝え方次第で大きな価値をつけることができて、かつ人を幸せにできるんですよ。
誰にも負けない良いものを作っている、生産者のその想いとマーケットを繋げるためにコスメという切り口から価値づけをして世の中に広く伝えて行くことが我々の役割だと思っています。
以前取り組んだクラウドファンディング(関連記事)では、最初から商品を作ろうではなく、さがんルビーという誰にも知られていないけど、佐賀にはこんな良いものがあるよという高校生の想いをコスメという切り口で表現してみようと一緒に考え商品企画を作りました。
個人的にですが、こういったプロセスを大事にした成果の出し方は長期的に地域に元気と笑顔をもたらすことができると思っています。
行政として地域事業を進めていく上で大切にしていること
──JCCの活動をして行く上で気をつけていること、大切にしていることはありますか?
八島氏
地域活性化を目指しつつも地域に拘泥してしまわないこと。要はバランスを保つってことです。こういう事業でうまくいかない場合は、地域に根ざし過ぎてしまい、雁字搦めになって二進も三進もいかなくなってしまう事例が多々あります。
今回コスメで「旗」を立てましたが、唐津市内でコスメ企業ってそこまでないんですね。県内でも少ないので、ある意味既得権が薄い業界でした。
色々動いても、そこまでのプレッシャーは来ませんでしたし、それよりも新しい産業創りとしての期待感の方が大きかったと思います。だから自由な発想のもとチャレンジングにここまでやってこれたのかなと思います。
もちろん、地域の経済活動を生み出し、富を還元していかなきゃいけないんですけども、まずは視野を狭めることなく、可能性のある事業を推進していくことが大切だと思っています。
抽象的になりますが、あらゆる事業が、一過性のものだけで終わるのか、それが持続的に、全く違う高い価値あるものになるかは人の介在しかないと思っています。私たちが発信することで、関心を持つ人たちに唐津を知ってもらい、その人たちが唐津に来て起業・創業したり、触媒となって新たな価値や人材を輩出してくれるように今は基盤作りをしています。
JCCの会員は、事業者190社以上、大学も13大学入会しています。またJCC以外の業界関係者や海外の企業なども含め、毎年200社以上が当地を視察や商談などで訪れています。JCCという「バーチャルクラスター」を通して唐津や佐賀県を知っていただき、実際に訪れていただく。そこで、原料の話、製品開発の話、人材の話、海外展開の話など多様な意見効果と人的交流が生まれています。まずはそこから何かしらのきっかけになるんじゃないでしょうか。