自分がなりたい自分になるために。

佐藤さんが抱えていた不安は主に2つだ。

  • 女性として働き続ける上でのキャリア
  • 廃れていく地元

一つ目の「女性の働き方」は昨今、非常によく取り上げられるトピックである。
女性の社会進出が進み、彼女たちの手を無くしては社会が回らない。各企業も女性の働き方を是正しようと、福利厚生や働き方そのものに多くのメスを入れてきた。
産休、育休制度や時短勤務制度の導入、そして子育てからの復帰が広く支持されている社会は女性が働きやすくなってきていると言えるだろう。

しかし、その制度がありながらも、まだまだ女性のキャリアプランニングは難しいところがあるというのが佐藤さんの考えだ。

「前の会社はすごく社内の制度が整っていて、産休育休をとって復帰している人もいたんです。ただ(一般的に)そういう制度を使っても、前みたいな働き方ができなくて、悩んでいるという話はあって。気を使いあっているという話がある聞いて、自分がそうなったときに、それはすごい嫌だなって思ったんです。」

「妊娠した時に、産休とる、育休とると、権利だけ主張して、自分の能力は使えなくなって、一緒に働いている人に還元できなくなるみたいな。休んでいる期間何もしてなかったよねみたいな感じに思われながら働くのも違うし。自分はものすごい葛藤があったので。」

「今の働き方をしていたら、仕事で得たネットワークを使って、独立プロジェクト単位で協力させてくださいっていう働き方ができるかもしれない。WAKAZEは、私の地元である山形という土地を大事にしたいと思っているので、山形の別の会社で東京に出てきた人とかいるんだったら協力してプロジェクト単位で関わる。ネットワークがあるので私に相談してくださいっていうふうになれるかもしれない。そっちの方がよっぽど価値がある。一つの会社でキャリアを積んでいって産休育休とって時短で働いて、子どもを迎えに行って…とか言うより、よっぽどそっちの方がよくない?って思っています。」

会社に属した働き方ではなく、個人として力を増すことでこの不安を解消できるのではないかと考えた佐藤さん。WAKAZEでの働き方はそれに当てはまると語る。

では、もう一方の課題については、どうアプローチするのか。

佐藤さんが山形に対して愛着を持ち出したのは、上京してから。

「10代の時は全然山形なんて何もないって思ってたんですよ。仕事もないし。ただ、東京出ててきていろんな人と関わったりとか海外行って日本を客観的に見たりとか、東京で山形を客観的に見たりすると子どもの頃何も感じなかったことが実はすごい魅力的なことだなと思って。食べ物がおいしいとか、当たり前だったんですけど、それが当たり前じゃないというか。それって一回地元から離れて別物になった時に見えてきたものだなって思いますし。自分が育ったところだから愛着が一番大きい。」

そんな中、帰省のたびに目にする光景が佐藤さんの心を蝕む。

「前まであった店がなくなったりとか。すごい悲しいなって。それに対して何もできていないもどかしさというか、やりきれなさみたいなものは大学後半くらいから社会人になって思っていて。コンサルにいたときは(東京で)良いお店に行ったりとか、連れていってもらったりとかそういうことが増えたのに、一方で地元に帰るとあった店がなくなっていて。そこのギャップが悲しいなと思っていて、キラキラした世界にいる自分って本当の自分じゃないんじゃないかと思ったりとかしたので。」

そこにアプローチできるのが、地元山形を拠点に事業をしているWAKAZEだった。

「個人的には、地元に戻るというよりは、関東とかで山形の魅力を発信するところを手助けしたいなと思っていて。Uターンってあるんですけど、Uターンして地元で仕事をつくって会社を生むとか、ありがたがられてることですけど、私1人帰って会社1個作って2人雇ったところで何が変わるの?と思っていて。東京とかそういうところに拠点を置いて地元のことを知ってもらうとか、それに魅力を感じた人に山形に住んでもらうとか。WAKAZEもそうなんですけど、山形に本拠点を置いて東京で商品を売って、そういった形で飛び道具的支援というか、地元を発信できればいいかなと思っています。私がやるのはそっちかなと思いますね。」

2つの不安点を解消すべく、即入社を決めたWAKAZE。入社してから感じたことやギャップはどうだったのか。