吉永 隆(よしなが たかし)さん
[愛知県]→[白浜町]


愛知県出身。NECソリューションイノベータ株式会社のシステムエンジニアで、神奈川県、広島県への転勤を経て2年前に白浜町に赴任。10kmほど離れた隣町の上富田町にて夫婦で暮らす。趣味は温泉巡りやオートバイでのツーリング、シュノーケリングなど幅広い。白浜町だけでなく、近隣地域をはじめ和歌山県の至る所を巡り楽しんでいる。

目標は和歌山県内にある温泉の完全制覇

都会育ちの吉永さん。幼いころから田舎への憧れがあったという。

「母親の実家が、静岡の山も海も近いところにあって、そういうところに遊びに行くのが大好きでした。旅行が好きなのでどこも住めば都なんですけど、私も妻もどちらかというと地方が好きなので今はすごく満足しています」。

お子さんはすでに一人立ちしており、転勤の際は単身赴任することなく、いつも夫婦で一緒に移動してきた。名古屋から白浜町への赴任の話が出たときも、喜んで行くと言ってくれたそうだ。

夫婦そろっての温泉好き。和歌山県に来るとすぐ足元に温泉があり、温泉巡りをしているうちに趣味が高じて「温泉ソムリエ」の資格も取得した。「できれば近いうちに和歌山県内の温泉を全部制覇したいと思っています」という吉永さんは、すでに県内の30地区以上、60箇所近くの温泉を巡っている。

吉永さんが働く白浜センターから見える景色

また、初めてモチガツオを食べたときは、「なんじゃこりゃー」とカツオの概念が変わるほど衝撃を受けた。モチガツオとは、春先に獲れた脂肪分の少ないカツオを、身が固くなる前にさばいたものをいう。カツオは足が早く、新鮮さが命のモチモチした食感は地元でしか味わえない。

組織の枠組みの中で、変化した個人の働き方

移住のきっかけは、所属している会社が白浜町に置く「南紀白浜サテライトオフィス」(以下「白浜センター」)の事業拡充だ。高倍率の社内公募にダメもとで応募したら、通った。吉永さんの仕事は、大型汎用機のシステムエンジニア。従来であれば、コンピュータの側に張り付いて仕事をするのが当然とされてきた分野である。それを実験的に白浜センターからのリモート作業に切り替えてみたところ、思いの外できることがわかった。

「お客様が受け入れてくれたということが大きいです。以前は何かトラブルがあると、お客様のところにすぐ飛んでいくということになるんですけど、今は私がこっちにいることをわかってくださっているので」。

顧客の理解もあり、白浜町で仕事をするようになってから2年が経つ。以前は様々なことを“しなければいけない”という思いが強かったが、徐々に変化しているという。

「都市部にいたときは、追いかけれられている感じでした。こちらに来てからは、だんだん逆回転し始めたかなと思います。自分自身がテレワークに向いているのかもしれないですけど、いろんなことに意欲的に取り組めるようになってきたという感じがします。週末になればすぐにオフに切り替えられますし、体調も良くなっている」。

「白浜町ITビジネスオフィス」には白浜センターのほか5社のIT関連企業が入居(満室:2020年8月現在)

広々ゆったりとしたオフィスは合宿や会議などにも使用している

メリットがある一方で、課題もある。顧客が安心して利用できるサービスを提供するためには、やはり対面でのコミュニケーションが欠かせない。吉永さんは月2回ほど顧客の元に足を運び、個人での対応が難しい場合は会社のチームで協力することによって解決している。

地域の人の顔が見える生活。
濃い繋がりは、悪くないと思う。

白浜町での暮らしを満喫している様子の吉永さんに、生活において困っていることを聞いてみた。

「一番が、外でお酒が飲みにくいところですね。だからその分、家飲みが増えるだけなんですけどね(笑)。あとは、通販でも手に入るんですけど、たとえばオートバイのヘルメットなんかはちゃんと被ってサイズとかを確かめたいのができないとか、そういうのはありますね」。

白浜町に限らず、地方での移動手段は主に自動車であることが多い。お酒が飲みにくいなど生活面で困ることも少しはあるが、吉永さんにとってはそれ以上にここにある環境の方が大切だという。

「昔はダイビング、今はシュノーケリングに行ったりしています。オートバイが好きで、こちらで同じ型のオートバイに乗っている人とSNSで繋がって一緒に回ったりもします。それから、いろんな人の顔が見えるっていうのが大きいなと思いました。

たとえば、飲食店に行ったとしても、お店の人と私の知っている人との繋がりがあるというのは都会ではほとんどあり得なくて。地域の議員さんと繋がるということもまずなかったんですけど、こちらでは、飲み会に行ったら隣に町長がいたとか。そういう感じで地域の人たちと繋がっていくのが、自分も少しずつ地域に入り込めてるんだなという気がして嬉しいことですね」。

眼前に浮かぶ南北約130m、高さ約25mの小島は、正式名称を「高嶋」といい、中央にまるい穴があいていることから「円月島」と呼ばれ親しまれる。円月島に沈む夕陽は「日本の夕陽100選」に選ばれている。

赴任前は、外部の人に対して閉鎖的な部分もあるのではないかと危惧していた。しかし、「白浜町は良い意味で都会っぽいところがあって、オープンな人が多い」というのが、実際に来て受けた印象だ。そして、驚いたのが地域の人たちの地元愛の強さ。

「こちらの人たちはみんな地域をすごく大切にしてるんだなっていうのが分かって、驚くとともに、うらやましいなと思いました。私もだんだん地域が好きになってきたので、地元の人と似通ってきたかなという感じです(笑)」。

移住してからまだ2年。それでも、仕事や趣味などでとても濃い時間を過ごしてきた吉永さんは、もうすっかり和歌山県民の顔をしていた。

 

NECソリューションイノベータ株式会社
和歌山県西牟婁郡白浜町2998-119(白浜町ITビジネスオフィス2階)
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