和歌山県が、2018年4月から企画している起業・就農、就労の体験プログラムが

「わかやま しごと・暮らし体験」です。

利用者が希望する事業者のもとで「しごと」を体験しながら、

周辺地域の先輩移住者や地域住民の方との交流を通じて「くらし」の体験を行い、

移住後の生活をイメージすることができます。体験費は無料です。その“体験先”をご紹介します。

さとたく

住所:和歌山県東牟婁郡古座川町月野瀬183-1
事業内容:地元食材を活用した食品製造・販売、カフェ運営、コワーキングスペースやイベントスペースの貸し出し

 

清流とゆずの町として知られる古座川町。「さとたく」はこの町の古座川沿いに拠点を構える食品製造会社です。国の天然記念物に指定されている観光名所「一枚岩」にも近く、週末には、久保拓也さん・聡子さんご夫婦が地元の美味しい食材を使ったカフェメニューを提供しています。

シフォンケーキなどの焼き菓子やコーヒーのいい香りが漂う「さとたく」。しかし、単に美味しいものを提供しているだけではありません。傷やサイズなどの問題で出荷できない“ワケあり農産物”を買い取り、加工販売することで、農業を支えるというビジョンを掲げ営業しています。

「収穫された野菜や果物を地域でしっかりと食べ切る循環が形になれば、農業従事者はさらに増えるのではないか。その循環で、地元の農家さんが無理せず充実した生活を送れたら」と拓也さん。

コロナ禍では外食産業や給食などへの食材の供給が止まり、多くの農作物が行き場を失っていました。そんな状況を目の当たりにして、よりその思いが強まったそうです。

そこでまず、道の駅やイベントなどで商品のテスト販売を始め、古民家を改装したカフェをオープン。平日は、ここを“加工場”として商品の製造を行っています。コワーキングスペースやイベント会場としての活用もスタートしました。

将来的に地元の農家さんが集まり、まるでシェアキッチンのような使い方ができるような場にしていきたいと考えているそうです。

「さとたくをいろいろな価値観の方が繋がれる拠点にしていきたい」

そう話す久保さんご夫婦なら、農業支援に関心のある方、カフェを起業したい方だけでなく、自分らしいライフスタイルを模索したい多様な方々を受け入れてくれるでしょう。

今回体験できる内容

久保さんご夫婦は、2021年の5月に移住するまで東京で生活していました。祖父母が暮らし、幼い頃から馴染みのあった和歌山県でいつか暮らしてみたいと考えていた拓也さん。本格的に移住を決意したのは2018年頃です。

だからこそ、参加者と同じ目線で移住や地方で働くことについて教えてくれるはずです。さらに拓也さんは、移住前に参加した「社会課題をビジネスで解決する、ボーダレスアカデミー」の経験も活かして起業しているそうなので、ソーシャルビジネスに関心のある方にもおすすめです。

また、聡子さんは、老人施設や保育園に勤め、給食の献立を立てて実際に作っていたことがある方。料理を作るのも食べるのも大好きだという聡子さんから食材を美味しくいただく方法も学ぶことができます。

ご夫婦ともに、接客業に従事していた経験があり、お客さまに愛される店舗づくりにはそれぞれアイデアがあるようです。週末は「さとたく」のカフェ事業をお手伝いしながら地域の方々とも交流しましょう。

ご夫婦の名前を組み合わせた店名の「さとたく」。「夫婦でやるなら、それぞれの持ち味を活かしたい」と拓也さん。ご夫婦それぞれの視点から和歌山での仕事や暮らしについて知ることができるのもこの体験の魅力です。

眺めの良いコワーキングスペースで、じっくりと自分の今後について考えてみてはいかがでしょうか。

しごと・暮らしの特徴

ロストジェネレーションと呼ばれる就職氷河期世代の拓也さんは、就職難から多くの職を経験してきた中で、今後見据える将来の為に一歩を踏み出しました。また、社会的にも限界が見えてきた「大量生産・大量消費」社会とどう付き合うか模索しているところです。

会社員時代の拓也さんは「社会的な意義の対価としてお金を得るのが本来のビジネス」であるのに、利益だけが優先されてしまう状況に疑問を感じていました。しかし、そんな考えは一般企業では通用しません。

持続性がないことは明白なのに、ビジネスの仕方はなかなか変わらない。ならば「自分で会社を起こそう」さらに「決すべき問題が山積する地方の方がビジネスチャンスがあるのではないか」と考えたそうです。

社会の問題がどこか他人事のようになってしまうほど忙しい日常の中で、ふと子どもの頃に「大人って何もやってないな」と感じていた自分を思い出した拓也さん。「このままでは自分も同じになってしまう」という危機感もありました。

拓也さんは「大切なのは、何のために事業を始めたのかを見失わないこと。お金は手段であって必要だけど目的にはならない」と語ります。

「さとたく」は、地産地消の促進を目指していますが、最も大切にしているのは、「今までお金になっていない部分=ワケあり農産物」に付加価値をつけて無駄をなくしながら、丁寧に利益を積み上げていくことです。

農家さんが生産のために費やした努力を、できる限り地域で収益化する。それが農家さんの豊かさや町の活性化につながる。

そんな「さとたく」の仕事をご体験いただき、それぞれの方が思い浮かべる「充実感のある生き方」を見つけるきっかけにしてください。

体験スケジュール

1日目(13:00~17:00)
1.ごあいさつ、やりたいことや目的の確認
2.「さとたく」の仕事の説明
3.仕事のお手伝い
・カフェ運営業務(週末)
・食品製造・販売に関する補助業務(平日)
※実際の仕事状況によって変更があります。

2日目(9:00~17:00)
1.廃棄農産物の現状を知る
・「さとたく」が買い取る農産物について
・農家の実情や課題について
2.仕事のお手伝い
・カフェ運営業務(週末)
・食品製造・販売に関する補助業務(平日)
※実際の仕事状況によって変更があります。

3日目(9:00~15:00)
1.起業について学ぶ(平日)
・「さとたく」が誕生するまでの経緯を聞く
2.ビジネスプラン作成体験(平日)
・コワーキングスペースの活用やイベントの企画
・自身の起業プランを練る
・ワケあり農産物を使ったメニュー開発
(参加者のご希望に合わせて選択)
2.最後のまとめ
・体験の感想、質疑応答
※実際の仕事状況によって変更があります。

補足事項

最少催行人数:1名
宿泊場所 :近隣宿泊施設

体験経費

参加費:無料
宿泊費:5,000円/泊まで補助あり
※初回の体験のみ適用
食費:実費負担
交通費(自宅~集合場所):実費負担

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