東は太平洋・西は標高600m余の阿武隈高地に挟まれ、自然豊かな福島県・浜通り地方を中心とした福島12市町村(南相馬市、田村市、川俣町、浪江町、富岡町、楢葉町、広野町、飯舘村、葛尾村、川内村、双葉町、大熊町)。福島第一原子力発電所の事故により避難指示等の対象となったこの地域では、復興再生に向けた新たなまちづくりを進めています。

自然環境を活かした農林水産業から、医療・介護などの専門職、ドローン・ロボット開発などの先端産業まで、幅広い仕事の選択肢があるのもこの地域の特徴。起業・就職サポートも手厚いことから、地域で新たなチャレンジをしたい起業希望者やUターン・若い世代の新規移住の方も増えています。近年は移住支援・子育て支援策も充実しており、暮らしやすい環境が整ってきている福島12市町村地域の魅力について紹介します。アンケート回答によるプレゼントもご用意しておりますので、ぜひご一読ください。

ふくしま12の「食」と「歴史文化」の魅力

福島12市町村は太平洋に面する東の海岸部と、西側の阿武隈高地に位置する山間部に分かれています。海岸部は海洋性気候のため夏は冷涼、冬も温暖で過ごしやすい地域です。山間部も冬の積雪は少なく、また近辺には高速道路や東北新幹線が通っており、東京や仙台へのアクセスが便利なエリアでもあります。

名産品の一つに、川俣町で生産される「川俣シャモ」があります。江戸時代に絹織物の生産で栄え、町の旦那衆が闘鶏用に飼っていたシャモ(軍鶏)を食用に改良した「川俣シャモ」は、適度な弾力の肉質と噛んだ瞬間に広がる旨味が特徴。全国にあるミシュランガイド掲載の有名店なども取り寄せるほどのブランド地鶏です。

川俣町名産のブランド地鶏「川俣シャモ」

この地域の沿岸では黒潮と親潮がぶつかり合うため、カレイ・タコ・ウニ・サンマ・サバなどさまざまな魚が水揚げされます。「常磐もの」と呼ばれるこれらの海の幸は上質な魚介の代名詞として評価が高く、福島12市町村の名産となっています。

親潮と黒潮がぶつかり合う福島県沖の潮目の魚は「常磐もの」と呼ばれ高い評価を受けている

福島12市町村の魅力は食だけではなく、伝統行事や工芸にもあります。3日にわたって甲冑競馬や神旗争奪戦が行われる「相⾺野⾺追」(そうまのまおい)はこの地域で1000年以上の歴史を誇るお祭りで、国の重要無形⺠俗⽂化財にも指定されています。(2024年の開催日は5月25日~27日)

相馬野馬追 2日目に行われる甲冑競馬

また青ひびと走り駒の絵、二重焼きが特徴であるこの地域の伝統的な陶器「⼤堀相⾺焼」や、江戸時代からダルマ市が開かれていた双葉町の伝統工芸品「双葉ダルマ」など、この地域の歴史と文化に触れられるものがたくさんあります。

いま一番チャレンジができる地域、移住した人のリアルな声を紹介

震災の被害を受けながらも、着実に復興への歩みを進めてきた福島12市町村。このエリアの特徴の一つに、多様な働き方を支援する環境が整っていることがあります。最大400万円の起業支援金のほか、フリーランス・リモートワーカーが利用できるコワーキングスペース、就農希望者やテレワーク希望者向けの補助金など、支援の幅が非常に広いです。転職先や起業の舞台として福島12市町村を選ぶひとたちも増えています。ここでは実際に福島12市町村に移住した人たちをご紹介します。

南相馬市在住・野口福太郎さん

南相馬市在住の野口福太郎さん

学生時代にさまざまな地域を訪れ、卒業後は地方での就職を選んだ野口福太郎さん。成長意欲の高い若者と革新的な挑戦をする企業をマッチングする「VENTURE FOR JAPAN」を通じて株式会社小高ワーカーズベースに出会い、2020年4月に南相馬市小高区へ移住しました。入社以来、「小高パイオニアヴィレッジ」のコミュニティマネージャーとして働いています。

野口さんが働く「小高パイオニアヴィレッジ」は、地元住民と他拠点をフィールドに活動する人が交流できるコミュニティースペース。地域の事業者の紹介や会員同士の交流が定期的に行われており、起業家や南相馬市への移住検討者の利用も多いことが特徴です。さらに宿泊スペースも用意されており、南相馬市と他のエリアをつなぐ起点としての役割を果たしています。

学生時代は特定の家を持たず、多拠点生活をしながら様々な地域を渡り歩いていた野口さん。その中でローカルで起業しながら生きている人に多く出会い「会社勤め以外で社会に出たい」と考えるようになりました。そのとき学生・若手社会人が2年間の期間限定で「地方企業の経営者直下の事業責任者」として就職、期間内で経験と実力を身につけられる就職サービス「VENTURE FOR JAPAN」と出会い、就職とともに南相馬市への移住を決めました。

終業後には地域の人ともにフットサルを楽しむ

野口さんのコミュニティマネージャー業務は、プライベートでのつながりが活かされることも。終業後に行なっていたフットサルや筋トレなどの社会人サークル活動を通じて、仕事では関わらなかった同世代の人や地域住民とも知り合えるようになったと言います。遊びで出会った人から「この仕事頼める?」と相談されたり、逆にお願いしたりなど、キャリアを成長させるきっかけになるケースも増えているようです。

野口さんにとって小高区という地域は「起業家など挑戦する人が多く、いろんな人が地域の盛り上がりをつくる修行の地」とのこと。「いずれは僕自身が地域を面白くさせられるコミュニティマネージャーになりたい」と今後の目標を語っています。

広野町在住・蛯原宏行さん/紀子さん

広野町在住・蛯原 宏行さん/紀子さんご夫婦

東京で25年間お弁当屋さんに勤めていた蛯原宏行さん。福島県相馬市出身だったこともあり、Uターンを希望していた彼は、妻の紀子さんと共に5年かけて移住先の物件を探しました。「弁当惣菜屋さんを営業できる物件を探したのですが、なかなか気に入ったものが見つからず……。インターネットで調べたり、まちを歩いたりしながら、ようやく見つけたのが広野町の物件だった」と宏行さんは当時を振り返ります。

一方紀子さんは「東京で育んできた今までのキャリアや友人関係がなくなってしまう」と最初は移住に消極的だったそう。しかしいわき市に住む紀子さんの母親が病気で倒れ、介護が必要になったことが転機となり、2023年、夫婦で広野町へ移住することに。移住後はこれまで離れて暮らしていた家族との時間が増え「願っていた暮らしができるようになった」と言います。

「KIYA」のお弁当。「じゃが煮(じゃがいもの煮物)」と「から揚げ」が定番メニュー

広野町は地域内の人々との交流も盛んです。お二人が運営する「惣菜弁当 KIYA 広野町」には地元の人以外に、単身赴任で広野町に来ている人や部活動の練習試合で来た方も多く利用するそう。お客さんが周りにお店を勧めてくれるなど「地元の人たちに支えられてる」と宏行さんは語ります。

また広野町暮らし相談窓口「りんくひろの」からは、移住検討時からサポートを受けているそう。開業時にあたっても、相談員さんに人通りの多いエリアを聞いたり、開業資金の融資を検討してくれる信用金庫を紹介してもらったりなど、様々な相談に乗ってくれるとのことでした。

今後の展望を伺うと「KIYA」を地域の人々が集まり、食事や会話を楽しむ交流の場にしたいとのこと。広野町唯一の保育施設「広野町こども園」など地域の施設と連携しながら、広野町に貢献したいと話してくれました。

浪江町在住・千頭数也さん

浪江町在住の千頭数也さん

浪江町で暮らしながら東京に本社を置くベンチャー企業に籍を置き、フルタイム・フルリモートで働く千頭数也さん。 千頭さんが浪江町に出会ったのは、2020年に行われた浪江町のご当地アイドルのイベント。初めて浪江町を訪れたとき、会場でイベント来場者を温かく出迎える地元の人たちと触れ合ったのがきっかけで、浪江町に惹かれるようになったと言います。

「浪江町の人は、とても親切でやさしい人たちばかり。『複合災害に見舞われた場所』という先入観を覆すように、みなさん話のトーンが明るくて前向きです。自分たちだけで閉じない、誰でもウエルカムな雰囲気に、都会にはない居心地のよさを感じました」。現在はリモートワークで働く千頭さんですが、移住を決意した当時会社にフルリモートワークの制度は整っていなかったそう。コロナ禍以降に在宅勤務は可能になったものの、「移住してフルリモートで働く」という従業員はまだ一人もいませんでした。

「私自身は毎日出社が必要な業務を担当していたのですが、このままではいつまでも移住を実行に移せないと奮起。リモート不可能な仕事を少しずつ他の人へ移管していき、逆に完全リモートでも実施可能なプロジェクトを立ち上げていきました」担当業務がほとんどリモート可能なものになった段階で会社に相談すると、経営陣はフルリモート勤務を快く承認。現在はビデオ会議などを行いながら、会社の社員とオンラインで情報共有を行なっているようです。

道の駅で購入した地元産野菜を楽しむ

プライベートでは請戸川沿いの散歩や地元の人々との交流を楽しんでいるとのこと。また今後は伝統行事や美しい景観を次世代に残す取り組みをしたいと意欲を語ってくれました。「浪江は課題が山積する一方、最先端の研究施設などもできておりダイナミックに変わろうとしている地域です。地域課題に向き合う経験によって人間力は向上しますし、また他の社員にとっても良い刺激になります。移住を考えつつも、会社を辞めることを躊躇している人は、まず一度会社と話してみては?」

楢葉町在住・瀧澤芽衣さん

楢葉町在住・瀧澤芽衣さん

福島県浜通りのほぼ中央に位置する楢葉町は、東日本大震災で壊滅的な被害にあったエリアの一つ。現在楢葉町にはサツマイモ畑が広がり、復興の象徴となっています。株式会社福島しろはとファームの瀧澤さんは、復興からの発展を目指し、農業で地域を元気にしたいと奮闘しています。

小学生の頃から農業の魅力に触れ、明治大学農学部へ進学。その後6次産業化(農林漁業、製造業、小売業等を総合的に推進し、新たな付加価値を生み出す取り組み)に興味を持った彼女は、サツマイモスイーツ専門店「らぽっぽファーム」を全国展開する白ハト食品工業に就職。茨城県内の農業体験型テーマパーク「らぽっぽ なめがたファーマーズヴィレッジ」プロジェクトの立ち上げを経て、「福島しろはとファーム」の立ち上げのために楢葉町に転勤してきました。

現在滝沢さんは「農業を復活・発展させたい」と熱意を持った町内の人と協力し、2017年からサツマイモの試験栽培を開始。楢葉町をサツマイモの主要な産地に育て上げることを目標に、新しい農業の価値の創造に取り組んでいます。

瀧澤さんは、移住の時期と結婚・出産が重なり、住環境が変わることに不安を覚えていたと言います。しかし夫との話し合いを経て、「楢葉町や福島県が復興・発展を遂げるために」と強い信念を持って移住を決断しました。

福島しろはとファームで栽培しているサツマイモ

現在福島しろはとファームでは、年間1,500トンのサツマイモ生産を目指しているのだそう。「おいもには人をほっこり癒やして元気にしてくれる力がある。震災の記憶を受け継ぎながら、新しい取り組みも始まっているということを全国の方に知ってもらいたい」と意欲を語ってくれました。

「今の時代、働き方も多様化しているし、都会でしかできないことって少ないと思うんです。インターネット上で何でも購入できる時代だから、移住に対してのハードルは以前ほど高くないはずです」と瀧澤さん。移住を検討している人に対しては、その場所で何をしたいのか、しっかり目的を持つことが大切だとアドバイスしてくださいました。「やり遂げたいことがしっかり定まってさえいれば、どんな場所でも楽しく過ごせるのではないでしょうか。私たちも町の人や仲間と思い描くビジョンを共有して、実現していくために日々励んでいます」

【1月31日まで】アンケート回答で抽選で20名様に「ふくしま12特産品詰め合わせセット」プレゼント

アンケートに回答いただいた人の中から抽選で20名様に福島12市町村の特産品を詰め合わせた2000円〜3000円相当のセットをプレゼントします。当選された方のみに2月上旬にメールを送りますので、期日までのご返信を必ずお願いいたします。

【セット内容】
①:常磐富岡パッションフルーツメレンゲ(いわきチョコレート)
②:川俣シャモカレー(川俣町農業振興公社)
③:エゴマの実(田村市エゴマ振興協議会)
④:凍み餅(葛尾村おふくろフーズ)
⑤:木戸川の水(双葉地方水道事業団)
⑥:多可うどん細麺・太麺(多可ライスセンター)※南相馬市

1月31日が回答期限となりますので、お早目にご回答ください。当選の連絡はアンケートにご登録のメールアドレス宛にお送りいたします。※当選者の方のみにふくしま12市町村移住支援センター事務局よりご連絡いたしますのでご了承ください。

アンケート回答で抽選20名様にふくしま12の特産品を詰め合わせをプレゼント