今回お届けするのは、富良野市内でデザイン会社を営む中村 靖教なかむら やすのり)さんと、農業を営む坂口 邦夫さかぐち くにお)さんによる対談企画です。
ここ数年で寄附額が急増し続けている富良野市。このまちに暮らすお二人から見たふるさと納税を取り巻く状況や富良野市のこれからについて、一市民としての想いを語り合っていただきました。

プロフィール

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中村靖教さん

中村 靖教(なかむら やすのり)
フラノデザイン株式会社 代表取締役
1985年北海道富良野市生まれ。
日本アイ・ビー・エム株式会社を退職後、富良野市にUターンし2019年に同社を設立。富良野市民に富良野市の情報を届けるフリーペーパー「WAKUDOKI FURANO」の刊行をはじめ、市内外のデザインやシステム開発、イベント企画等を行い、富良野圏域で唯一無二の企業へと成長。
2023年度には富良野青年会議所の第69代理事長を務めるなど、数多くの団体に所属し、その活躍は多岐に渡る。

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坂口邦夫さん

坂口 邦夫(さかぐち くにお)
株式会社坂口農産 代表取締役
1976年北海道富良野市生まれ。
北海道代表として国体に出場していたほどの実力を持つ、元ラガーマン。代々続くメロン農家を継ぐためにラガーマンの夢を諦め、弱冠24歳で5代目に就任。
現在はメロンと玉ねぎを中心に生産しており、オリジナルブランドの「鳳凰」メロンは平均糖度16度を超え、ラベンダーのドライフラワーが添えられた人気商品である。また、農家の傍ら富良野市議会議員としても活動中。

制度設立の背景を意識した活用を

(中村さん)
「富良野市のふるさと納税寄付額は、2020年度の9500万円から2023年度は15億円超えの見込みらしく、ここ数年で急増し続けている状況ですが、坂口さんは実際に返礼品を出品されている立場で、何か感じることはありますか?」

(坂口さん)
「ふるさと納税は富良野市に愛着があったり何か還元したい想いのある全国各地の方々が富良野市を選んで寄附してくれて、なおかつ寄附された方にとってもお得な制度なので、どんどん広まっていくべきだと思います。
出品者の立場で言うと、自分が作ったものを返礼品として出品していることで、地元に貢献できている実感があります。」

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右が坂口農産のブランドメロン「鳳凰」

(中村さん)
「ふるさと納税制度の仕組みって良くできてるなあと思いますよね。寄附額の約半分は税収となり、寄附者は寄附額の3割以内の返礼品がもらえて、出品者にはその分が売上として還元される。そう考えると農業や漁業といった1次産業従事者にとってメリットの大きい営業ルートの一つなのかなと感じますが、坂口さんはどう思われますか?」

(坂口さん)
「私もそう思います。これまでの農業の販売形態は農協や市場に卸すのが主流でしたが、販路の一つとしてインターネットで個人販売を行う農家も少なくない状況です。一方でネット販売はハードルが高いと感じている方も多くいるので、比較的安心なふるさと納税を新しい販路の一つとして始めてみるのも良いのではないかと思います。
そもそもふるさと納税制度は、菅前首相が日本の1次産業を元気にしたいという想いから創設したんですよね。農業が基幹産業である富良野市はこの恩恵を大いに受けていますし、出品者・寄附者・行政がふるさと納税制度ができた背景をしっかりと再認識して活用されていくと良いなと思います。」

寄附金が何に使われたのか市民は知っている?

(中村さん)
「坂口さんは、ふるさと納税が僕たちの住んでいる富良野市にどう還元されているかご存知のことはありますか?」

(坂口さん)
「正直なところ、市議会議員になるまでは考えたことがなかったですね。でも議員になり返礼品を出品するようになったことで、意識し始めました。
市長が健幸都市を目指すとおっしゃっていることから、そういった関連の事業にも寄附金が使われているようですね。」

(中村さん)
「その他にも僕が関わらせていただいているbonchi powder projectという事業の一部にも寄附金が使われているんですよ。ご存知でしたか?」

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左がbonchi powder projectのポスター

(坂口さん)
「プロジェクトはもちろん知っていましたが、寄附金が使われていることは知りませんでしたね。」

(中村さん)
「これは一大観光地としての地位を築き上げた富良野市が、今後も観光地として持続するためにどうするかを考えていたところから立ち上がったプロジェクトなんです。国内外から富良野市の雪質の良さを認めてもらえているけれど、それを表す定量的な指数がないということで、いわゆるパウダースノーと呼ばれる富良野市に降る雪のふわふわ・サラサラ度合いを定量化して、これをきっかけに富良野の冬に興味を持ってもらうという取り組みです。

ふるさと納税制度は循環の仕組みだと思うので、例えば農家の方が自慢の農産物をふるさと納税に出品して、受け取った寄附者が喜んでくれて、寄附金が地域のために使われて住民が感謝しているという循環を、行政をはじめ寄附金が使われた事業に関わる人たちがしっかりと発信していく必要がありますよね。」

(坂口さん)
「それに付随して返礼品を出品する事業者さんに対しても、自分が作ったものが巡り巡って暮らしやすい富良野市の実現に還元される、富良野市のためになることなんだとアピールしていくことも重要ですね。」

富良野市は今、どんなことに注力したら良い?

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(中村さん)
「坂口さんは農業従事者、または議員としての目線でも、今注力したい・してほしいと思うことはなんですか?」

(坂口さん)
「1つ目はやはり1次産業ですかね。今の一番の悩みが鳥獣被害でして、メロンのハウスに鹿やアライグマ、タヌキが入ってメロンを食害したり、玉ねぎ畑に鹿が走ってしまうことがあるんです。
先ほどお話のあったふるさと納税制度創設者の意向を汲むと、ふるさと納税の寄付金を一次産業支援に充てるというのは、制度ができた背景が踏まえられていて良い流れじゃないかなと思います。
2つ目は富良野らしく観光です。先ほどのbonchi powder projectや、市内の飲食店で富良野市産の食材を提供しやすくして、観光客に富良野市の美味しいものを味わっていただくような、農業と観光の掛け合わせができたらいいですね。」

(中村さん)
「僕はプロモーションも大事だと思うんですよ。
富良野メロンってよく夕張メロンと比較されますけど、例えばプロモーションによって富良野メロンのブランド価値を高めることで、一次産業が盛り上がりますし、ふるさと納税での富良野メロンの申込みが増加するかも知れませんよね。」

坂口農産の返礼品

富良野市に寄附できるポータルサイト一覧