まったく、今年はなんという夏になってしまったんでしょうか。
西日本豪雨の復旧がままならない矢先に、強烈な台風が関西で猛威を奮い、なんとそのよ翌々日に北海道で大きな地震が起こりました。

各地で被害にみまわれた皆様には、心からのお見舞いと、一日も早い復旧をお祈りします。

それにしても、こんなことが、こうも立て続けに起こるとは…。一つ一つの災害大きさもさることながら、それが折り重なって起こるという二重の「想定外」は、さすがに心に重くのしかかってきます。

人生百年時代を真に受けると、自分も折り返しくらいかなと思うのですが、その後半がこういう「自然災害の時代」を生きることなるということを、改めて痛感せざるを得ません。

各地の被害の復興もままならない状況で、こういう俯瞰したお話をするのもはばかられますが、こういう時代を、私達はどういう姿勢で、どういう戦略で生きていくべきかを改めて考えるべき機会だと思います。

このテーマは、すぐに「こうすればいい」と言えるほど単純な話ではありません。ただ一つ感じたのは、やはりできるだけ多くの地域に関わる生き方は、今後ますます重要になってくるんじゃないかということです。

最近、よく使われる言葉に「関係人口」というものがあります。在住人口を増やしたい地方は、それを直接的に求めるのは簡単ではないので、まずは少しでも「地域に関係する活動をする人口」を増やしていくべきだという考え方です。自治体側からのこの考え方はもちろん自然だと思います。同時に、裏を返せは、個人の側からも「関係地域」を増やすことは、非常にメリットが大きいのではないでしょうか。

我々はこれからの人生は、どこの地域に住んでいても、何が起こるか全くわかりません。同じ場所での同じ生活が続くという前提ではいられなくなったとも言えます。それを前提に考えた場合、いろんな地域の多くの人と、様々なつながりを持っておくことの重要性は、ますます高まってくるはずです。

もちろん、「何かあったらすぐに助けてもらえる」というような直接的な見返りを期待しすぎるのはどうかと思いますし、そうそう簡単ではないことです。でも、もし何かあった場合、他の地域とのつながりを資産として持っている人とそうでない人の違いは、相当大きいだろうということは、容易に想像がつきます。移住せざるを得ない状況は、これからは誰の人生にも起こりうるのです。そしてこのことは、決して故郷や今住んでいる地域を大切にするという気持ちと相反することにはならないのではと思うのです。

個人個人が、複数の地域とのつながり、それが網目のように張り巡らされることで、国全体に見えないある種のセーフティーネットが構築できます。西日本豪雨の際には、自治体間の相互支援も機能している様子が見られました。(関連記事)これも同じように、非常に有効な手段であることは間違いありません。自治体も、個人も、複数の地域と多様なネットワークを結ぶことが、これからはますます重要になると思うのです。

個人としての生き方や、価値観の変化によって、地方創生分野へのキャリアステップや、複数拠点を股にかけた活動をする人、また移住を決断する人が増えているのは確かです。そういう選択肢は、実は平時だけではなく、有事の際にも有効なのです。それは助けられる場合も、助けられる場合にも、その両方の局面で働きます。

そういう見方をすると、「地方創生」がまた違った見え方になってくるのではないでしょうか。

文:ネイティブ倉重

おすすめのコラム記事はこちら

【著者】ネイティブ株式会社 代表取締役 倉重 宜弘(くらしげ よしひろ)
愛知県出身。早稲田大学 第一文学部 社会学専修 卒業。金融系シンクタンクを経て、2000年よりデジタルマーケティング専門ベンチャーに創業期から参画。大手企業のデジタルマーケティングや、ブランディング戦略、サイトやコンテンツの企画・プロデュースに数多く携わる。関連会社役員・事業部長を歴任し、2012年より地域の観光振興やブランディングを目的としたメディア開発などを多数経験。2016年3月にネイティブ株式会社を起業して独立。2018年7月創設の一般社団法人 全国道の駅支援機構の理事長を兼務。