売上リスクをとっても団体客を減らしたのは、
最高の顧客体験にこだわるため
金山氏が実施した施策の中で、特に当初社内からも反発が大きかったのは、団体客を大幅に減らす方針。旅行などで立ち寄った道の駅のレストランが、驚くほどの人であふれている場面に出会った経験はありませんか。その一因はバスツアーなどの団体客です。普通であれば、収益が安定する団体客は道の駅にとってありがたい存在です。しかし道の駅うずしおレストランはあえて団体客を減らす施策を実施しました。
金山氏は、団体のお客様も大切にしたいが、と前置きした上でこう述べています。「キッチンにはキャパシティがあるので、どうしても団体で来た全員にできたての料理を食べてもらうことはできず、申し訳ない。しかも、その間せっかく来てくださった個人のお客様には帰ってもらわざるをえず、がっかりさせてしまう。全員がマイナスの気持ちになっていたんです。だから、お客様に最高の体験をしていただく、そのことを真剣に考えとき、団体のお客様を減らしていこうという結論が出た。」
その施策の結果が上のグラフ。道の駅うずしおレストランの年度別売上高の推移を表しています。最高の顧客体験に集中するため、2010年から2016年にかけて団体客の売上を4,000万円程度減らしています。一方でレストランの全体売上そのものは5,700万円増加。一般客の売上に限ると倍増したのです。
一見正しいと思われている施策にも、実は負を生み出しているポイントがあるのではないか。顧客志向でもう一度見直す、そして本来ある価値を正しく顧客まで届ける。そんな顧客志向が道の駅うずしおレストランの躍進を支えていました。
うずしおレストラン店内。大鳴門橋を一望できる。
チェックポイント(顧客志向とは?)
- 当たり前に思える現状も顧客目線で疑う
- 本来ある価値を顧客に正しく伝わる形で提供する
取材・文・撮影:編集部
写真提供:株式会社うずのくに南あわじ
●道の駅「うずしお」基本情報
- 所在地:兵庫県南あわじ市福良丙947-22
- 設 立:2004年7月
- 資本金:3,000万円
- 売 上:14億5,000万(2016年度、株式会社うずのくに南あわじとして)
- 社員数・スタッフ数:83名(正社員29名、パート32名、アルバイト22名)
- 給与水準:300万円〜700万円台 (19歳 高卒2年目〜55歳)
- 道の駅うずしおレストラン公式サイト