——飛騨の現場で“地域の担い手(ふるさと住民コーディネーター)”を育てる『チイキャン』とは|前編:なぜ“動かす人”が必要か

関係人口を増やしたい。移住・定住だけに頼らず、地域に関わり続けてくれる人を増やしたい——。いま多くの自治体が同じ思いを抱えています。2026年度の冬にはふるさと住民登録制度やアプリといった「仕組み」がスタートし、環境は少しずつ整っていきます。

ただ、それだけで関係人口は増えていくのでしょうか?。私たちはそこには「仕組み(ハコ)を整えても、現場でそれを動かす“人”がいなければ機能しない」という課題があるのではないか、と考えています。

地域コーディネーター育成キャンプ『チイキャン』は、この“動かす人”を、現場で・実践的に育てるサービスです。

この記事は、関係人口施策を前に進めたい自治体、地域おこし協力隊の募集・育成・定着に課題を持つ自治体のご担当者に向けたものです。チイキャンが何を目指し、何をしてくれるのかを、前編・後編の2本でご紹介します。

1. チイキャンとは?

『チイキャン』は、地域内外の人をつなぎ、関係人口を呼び込む「地域コーディネーター」を育てる育成キャンプです。地域情報サイト「まいぷれ」や関係人口メディア「Nativ.media」を運営する株式会社フューチャーリンクネットワーク(FLN)が、人手不足に悩む日本各地の農家や旅館などでお手伝い(短期アルバイト)をしながら旅ができるマッチングサービス「おてつたび」や、岐阜県飛騨市の関係人口創出プログラム「ヒダスケ!」事務局のながいしともき氏と協業して提供します。

「地域コーディネーター」とは、地域の困りごとを見つけ、外部の人が関れる機会(関わりしろ)を設計し、人と地域をつなぐ“ハブ”となる人材のこと。チイキャンの特徴は、こうした人材を座学や単発の研修で終わらせず、飛騨市という実際の現場で、OJT形式で育てる点にあります。修了後、参加者は次のように変わっていきます。

  • 地域業務や個別ミッションの担い手 → 地域コーディネーターとしての明確な役割意識を持つ
  • 単発の活動・座学での知識習得 → 関わりしろを企画・設計するノウハウを身につける
  • 専門性・経験はこれから → 専門性を育てていくスタートラインに立つ

2. なぜ今、「地域コーディネーター」なのか

関係人口づくりで地域側が直面する最大の課題は「受け入れ側のリソース・ノウハウ不足」です。外部の人材と地域をつなぎ、関係性を育てるには、両者の“ハブ”となるコーディネーターが欠かせません。しかし現場では、次の壁が立ちはだかっています。

  • 実行体制の未整備:関係人口を生み出す人材を「誰が・どう動かすか」の体制が、まだ組めていない。
  • 深刻なマンパワー不足:担当職員や一部の協力隊に業務が集中し、現場の稼働が限界に達している。
  • マネジメントの壁:多様な人々を束ねるコミュニティマネジメントの知見が、地域側に蓄積されていない。

制度を整えても、それを動かす“人”がいなければ関係人口は生まれません。異動のある正職員だけで中長期的に担うのは難しく、現場で動く人材の配置・育成が必須になっています。

3. 国も求める「ふるさと住民コーディネーター」という役割

この“担い手”は、国の政策でも明確に位置づけられています。総務省「ふるさと住民登録制度ガイドライン Ver.1.0」は、地域側に次の役割を担う人材=「ふるさと住民コーディネーター」の配置を求めています。

  • 課題把握:集落や農地に足を運び、現場の対話から担い手ニーズを発掘する
  • 企画運営:関係団体と連携したプロジェクトや交流イベントを実行する
  • 情報発信:地域の魅力や関わり方のコンテンツを発信する
  • 相談対応:二地域居住や地元住民との関係構築に関する相談に応じる
  • 申請確認:登録要件の確認など、制度運用の手続きを補完する
  • サポート業務:登録者からのサポート施策の申請受付や支払い業務を担う

地域と人をつなぐ“ハブ”となるこの役割こそ、チイキャンが育てる「地域コーディネーター」です。制度の方向性に沿った人材を、今から地域側に育てていけます。

4. お手本は、関係人口の先進事例

チイキャンの育成プログラムは、飛騨市の困りごとを“お互いさま”で解決する参加型プログラム「ヒダスケ!」のノウハウがベースです。ヒダスケ!は関係人口創出の国内を代表する取り組みのひとつで、次の成果をあげています。

  • 累計参加人数:6,500人超(年間のべ1,500人前後が参加するプラットフォームに)
  • 累計プログラム実施回数:873回(年間約100種類以上、200回近くを開催)
  • マッチング率:94.2%(リピート率34.1%、市内参加者も24%以上)

数字の背景には、心が動く現場があります。県外から地元まで“のべ25名”が集った「田んぼで田植えのお手伝い」、県外の参加者と地元の高校生・大学生まで“総勢60名”が担った「古川祭でヒダスケ!」、観光名所・瀬戸川へ鯉を移す作業に“総勢50名”が参加した「春の瀬戸川 鯉の引越し」——。担い手が減るなかでも、地域の暮らしや祭りの未来を、外から関わる人たちと一緒につくっています。

チイキャンでは、ヒダスケ!を視察先として“消費”するのではなく、各自治体が自地域で「関わりしろ」を設計し、人を受け入れ、継続的な関わりへ育てる実践モデルとして学びます。

後編につづく

ここまで、関係人口づくりには制度という「ハコ」だけでなく、現場で人と地域をつなぐ“動かす人”=地域コーディネーターが不可欠であること、そしてその手本となる飛騨市「ヒダスケ!」の存在をご紹介しました。

では、チイキャンは実際に、誰が・どんなプログラムで・どんな体制でこの人材を育てるのか——。後編では、講師・ながいしともき氏の実践、募集からアフターフォローまでの5フェーズ、そして全国展開を支える役割分担まで、具体的な中身をご紹介します。

お問い合わせ

チイキャンは、協力隊の採用前でも、予算化の前でもご相談いただけます。まずは貴自治体の課題をうかがうところから始めます。

専用お問い合わせフォーム:https://tayori.com/f/chiican

関係人口創出部HP:https://link-anywhere.futurelink.co.jp/

 

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FLNの関係人口創出事業