全国が対象となっていた緊急事態宣言が解除され、新型コロナウイルスと共に生きていく社会への移行が進み始めています。アフターコロナやウィズコロナという言い方で、生活の新しい様式への言及も増えてきました。

コロナ禍において急速に進んだことのひとつが、リモートワークの普及でしょう。出社も含む、不要不急の外出を避けながら、どのように生産性を維持していくのか。新しいチャレンジを行った企業も多かったようです。

そんな中、大きな動きを見せそうなのが「オフィス」のあり方の変化です。大量の社員を一箇所に集め働くために駅に近く広いスペースを確保するという前提で作られたオフィス観が揺らいでいます。

中には、オフィスを最小限まで縮小し、フルリモート体制に移行する企業も出てきました。注目のオフィスの変化をまとめます。

オフィスが広すぎる会社からスペースを「間借り」する

遊休スペースの貸し借りのプラットフォーム「スペースマーケット」で始まっているのが、オフィス間借りサービスです。

オフィススペースの一部を貸したい企業と、借りたい企業のマッチングを行うというもので、ネットワーク環境の整備や、オフィス家具導入まで支援することが特徴です。

オフィスの空いているスペースを貸し出すことで家賃等のコストが下がり、借りる側もオフィスを整備する費用が抑えられるとあって注目されています。多数の従業員を抱える企業ほど、アクセスしやすい場所にオフィスを構えていることもあり、大規模〜中小規模の会社が、オフィスとしての必要最低限の機能をアクセス良好の場所に置くというあり方が増えていくかもしれません。

テレワークに特化した場所が増えていく

コロナ禍で浮かび上がった事実のひとつが、自宅に作業スペースがないという人の多さだったのではないでしょうか。中には、仕事することに必須なインターネット環境がないなどもあり、対応に追われた企業が多かった印象です。

また家族がいる中でのリモートワークがストレスの要因になっているというようなコメントも見られました。そんな中、従来であれば外で働く場=コワーキングスペースなどが一般的でしたが、様々な場所が、「働く場所」として声を上げています。

例えば、大手カラオケ店のビックエコーは、新型コロナウイルス流行前から、カラオケでテレワーク「オフィスボックス」を展開。個人向け、法人向けにサービスを提供しています。

またカラオケの鉄人では、2020年3月よりソフトドリンク飲み放題つきの30日利用権を「テレワークパスポート」として提供。

どちらも全店舗が対象ではありませんが、カラオケという立地の良さと設備(Wi-Fi完備、飲食可能)の良さで働く場の選択肢のひとつになっています。

オフィスに出勤するようにホテルに出勤するプランも

新型コロナにより大きな打撃を受けた観光業からも、テレワーク支援が進んでいる。ビジネスホテルなどを中心に、通常は午後15時以降にチェックインのところを、朝8時〜午後7時までというように、デイユースを取り入れだしています。

例えばアパホテルは「テレワーク応援 5日連続プラン」を打ち出し、平日にオフィスに出社するようにホテルに出社し仕事、夕方にチェックアウトし帰宅するというような使い方ができるようになっています。

地方でのワーケーションも活発化の兆し

現在は緊急事態宣言が解除された直後ということもあり、第二派も懸念されることから、県境をまたぐような移動は自粛が求められていますが、今後移動がしやすくなると注目されるであろうもののひとつがワーケーションです。

ワーケーション(Workation)は、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語で、「リゾート地や地方等の普段の職場とは異なる場所で働きながら休暇取得等を行う仕組み」です。

これは新型コロナ流行の前から注目されていた時間と場所に縛られない働き方のひとつですが、今後さらに活性化するはずです。

テレワークの普及が後押しになり、週末働きながら仕事を終えて観光するなど、新しい観光体験につながっていくはずです。インバウンド需要の回復には数年かかるという予想もある中で、観光地が国内需要を掘り起こすためには必要な観点であるといえるでしょう。

働き方の変化がすべてを変える

これらは、アフターコロナ/ウィズコロナにおける変化の一部であるでしょう。それらの中心にあるのは「働き方」の変化です。

急激にすべての仕事がテレワークに移行するということは難しいでしょうが、テレワーク化できないかという発想で従来の業務を見直し、変化させていくことは必須の対応でしょう。

フルリモートでの求人なども徐々に増えています。どこにいても、自分の力を発揮し働くことが当たり前になっていくかもしれません。

その中のひとつの選択肢として、地方で暮らし、リモートワークで仕事するというスタイルも増えていくはず。ぜひ、今後の生き方・暮らし方の参考にしてみてください。