東京から栃木県那須町に夫婦で移住した岩下礼成さん、友希さん夫妻。新幹線通勤を続けていましたが、那須で新しい夢をみつけて会社を退職、現在はその夢に向けて着々と準備を進めています。そんな岩下さんに那須の生活とあたらしい試みについてうかがいました。
この記事の目次
移住のきっかけは「薪ストーブのある暮らし」
20代の頃にたまたま雑誌で見かけた薪ストーブに魅了され、薪ストーブのある暮らしに憧れるようになったという岩下さん。当時は漠然とした思いでしたが、40代になって自分の将来について改めて考えたときに、ふとその思いが蘇ったそうです。
その時点では勤務先を退職することは考えていなかったため、東京に通勤できることを前提に3年ほど候補地を検討。軽井沢や上毛高原、八ヶ岳などを見学した結果、現在お住まいの那須高原の現在の場所に立って景色を見た瞬間、夢であった”薪ストーブのある暮らし”がありありと映像として思い描くことができたことで決断したそうです。
会社員を続けながらの移住、準備や不安だった点は
インターネットでの情報収集を中心に、現地の不動産会社を複数回り、直接お話を聞きながら自分の目でたくさん現地を見て、感じ取ることを繰り返したそうです。
「夢が実現できる楽しみばかりが先に立ち、あまり懸念するようなことがありませんでした。」と笑う岩下さん。強いて言えば、毎日那須から東京に通勤することの肉体的、精神的な負担、地域の方々とうまくやっていけるかという点だったそうです。通勤交通費については、会社の制度もあり自腹分は毎月2万円ていどでした。
移住の際にかかったコスト
⚫︎土地の購入費
⚫︎建物の設計・建築費
⚫︎自宅を建築するまでの間、那須塩原駅近くに借りた仮住まい用のアパートの家賃(6ヶ月)
⚫︎引越し費
移住する前に購入していたマンションのローンがあったため、そのマンションを売って新たに自宅の建築費のためのローンを組む必要があり、もくろみどおりにローンが組めるかが課題でしたが、実際には理想に近い形ですすめることができたとのこと。家具や生活雑貨等はほとんど買い換えなかったそうです。
移住して変わったこと、よかった点、よくなかった点
「毎日のように飲み歩き、物欲も旺盛な消費中心型の暮らしから、自然の中で季節の移ろいを感じながら、生産中心型の健康的な暮らしに変わりました。予想以上に心と体が健やかになった気がしています。」と岩下さん。
また、他人に依存することも多かったそれまでと違い、周囲の人々と助け合って人とのつながりが強くなり、かえって自分のことは出来るだけ自分でする自己完結に近い体質に変わったと感じているそうです。
いっぽうで、やることは意外とたくさんあって、想像していた「スローライフ」とは程遠かった、と苦笑い。また車移動が当たり前になり歩くことが大幅に減ったため、運動不足には注意しているそうです。
現在の仕事と、これからのこと
現在、岩下さんは長年勤めた会社を退職して、那須でみつけた新しい夢の実現に向けて進んでいます。
現在はご夫妻で「PICNIC」というお店を開き、発酵食にこだわった手づくりのお弁当、おそうざいの販売をしています。
そして、先日岩下さんは那須高原で約900坪（3,000㎡）の森を購入しました。
「食べること・からだを動かすこと」「学ぶこと・働くこと」「住むこと・暮らすこと」という、生きるためにとても大切な3つのテーマをもとに、森の中にヨガスタジオやカフェレストランを建設・設立するために、毎日忙しく過ごしています。
”自然と共に暮らすコミュニティ”をつくる、「PICNICの森」プロジェクト。コワーキングスペースも予定しているそうなので、移住者やワーケーションをする人も、幅広く活用できそうです。
現在住んでいる場所の移住支援、そして移住を検討している人へのメッセージ
移住した時にはすでに町民の人口の半数以上は移住者だったため、よそ者を受け入れやすい気質と環境があったことはありがたかったとのこと。金銭面での優遇や補助等は当時は特になかったそうです。
ずばり、「移住して本当に良かったと思います。10年以上住んでいて、一度も移住を後悔したことはありません。」と岩下さん。長年勤めた会社を辞めて収入は大きく減りましたが、生活コストが下がったことと、本当に必要なもの以外は買わなくなったので、消費も大きく減り、そしてその分、心が豊かになれたそうです。
移住を検討している人へは「情報収集はとても大切なことですが、情報や他人の意見にあまり左右され過ぎず、自分の目でみて、自分自身が実感したことを信じて決断して欲しいと思います。例えば那須高原の場合、季節によって全く違う気候や景色に変わってしまうため、気になる候補地を見つけたら真夏や真冬など季節を変えて自分で足を運び、確認することをおすすめします。」とメッセージをくれました。
岩下さんの目指す、仲間たちと共に、自然と共に暮らす喜びが実感できるコミュニティ「PICNICの森」。完成したら、是非Nativ.mediaでも取材したいと思います。
PICNICのホームページ
https://www.picnic-nasu.com/
発酵食のお惣菜「PICNIC」のFacebook
https://www.facebook.com/picnic2017
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