「自分たちの子どもに安心安全なものを食べさせたい」という思いから農業を始め、現在、沖縄県北部の本部町(もとぶちょう)で農産物を育てている、「山パ農園」の福井さん。
約1,800坪の敷地内でパッションフルーツやパイナップル、ミニトマト、ゴーヤーなどを育てています。日照時間が長く、ミネラル成分が豊富な潮風が飛んでくる畑で育った農作物は、健全な植物体になり、旨味や甘みも増すそうです。

沖縄に住むのは2度め。改めて選んだ理由とは?

神戸出身の福井さんが沖縄に移住をしたのは2014年。当時、まだ農業が未経験だった福井さんは、沖縄県立農業大学校に通って基礎から学び、2016年に農業をスタートさせました。

実は福井さん、沖縄に住むのは初めてではありません。20代の独身時代に神戸から自転車(なんとママチャリ!)で本州、九州へと南下し、指宿(いぶすき)からフェリーで沖縄に渡りました。本島をぐるっと一周した後に、石垣島へ。「なにかを探していたんでしょうね」と笑います。

「石垣島で嫁さんに出会って、5年間石垣島で暮らしました。島では陶芸の見習いをしました。いろんなことに興味があったんです。神戸の飲食店で、大量のお皿洗いをしていた時に、器にも興味を持ち始めたんです」

石垣島でお子様が生まれたタイミングで一度神戸に戻りましたが「子どもを育てるならやっぱり沖縄がいい」と、再び沖縄行きを決意。ママチャリで本島を一周した時に立ち寄り、気に入ったという北部に引っ越すことを決めたそうです。

「とにかく土づくりが大切」と話す、福井さん流の農園経営

「山パ農園」の「パ」はパッションフルーツとパイナップルのパ。果物好きの福井さんは、南国フルーツの中では特にこの2つが好きなのだそう。「その業界の頂点(山の頂上)を目指したい」という思いから「山パ農園」と名付けたそうです。よりおいしくて栄養価の高い農産物を育てるため、取り入れているのは「BLOF(ブロフ)理論」による有機栽培。ブロフ理論は科学的・論理的に自然のメカニズムと島の資源を活かした持続可能な農業。除草剤や化学肥料に頼ることなく、敷地内で飼っているヤギに除草と肥やし係を任せ、未来へつながるサステナブルな循環型農業を目指しています。

素材そのものの風味が楽しめる、ドライパイナップルも話題に

2020年から農作物の他に力を入れているのが「無添加 沖縄県産乾燥青果」。新型コロナウイルスの感染拡大にともない農産物が余ってしまい、もともとはその対策として取り組み始めたそうです。

「でも、理由はもうひとつあって、パイナップルって旬が短いんです。毎年シーズンが終わると『もうないの?』『もう少し食べたかった』という声を多くいただいていたので、違った形で提供できたらいいな、と。」
作る前は「乾燥させたらジューシーさはなくなるのでは」という懸念もあり、お客様からの反応も少し気になっていたそう。でも「心配していたようなことにはならなかったです。ありがたいことに、なかなかご好評いただいております。」と話してくれました。パイナップルの品種は、他の品種に比べてずば抜けて糖度が高いゴールドバレル。芳醇な香りと濃密でジューシーな味わいが人気の品種です。収穫した日に加工をすることで、よりフレッシュな仕上がりになるのだそうで、旨味と栄養価が残るように乾燥具合を工夫しています。

市販されているドライフルーツの多くは、砂糖がコーティングされ、甘過ぎると感じることもあると思いますが、山パ農園の「無添加 沖縄県産乾燥青果 パイナップル」は砂糖不使用+農薬化学肥料不使用。素材そのものの風味が楽しめ、噛み締めるほどに甘さと香りが弾けます。

山パ農園の農作物や「無添加 沖縄県産乾燥青果」シリーズは『山パ農園の直販サイト』から、「無添加 沖縄県産乾燥青果 パイナップル」は『Dear Okinawa』でも購入できます。

https://www.yamapa.okinawa

Photo&text:舘幸子