佐賀県唐津、玄界灘に面し、かつては唐津藩の城下町として盛え、近年では特別名勝の虹の松原や呼子のイカなど観光地として人気が高まっている。
その唐津にコスメティック構想という、産学官連携によるコスメを使った地域経済の活性化を促進するプロジェクトがあるのをご存知だろうか?
今回はその唐津でコスメビジネスをサポートしている一般社団法人ジャパン・コスメティックセンターのご担当者にお話をお伺いしてきた。
記事のポイント
- 唐津をコスメの一大集積地にする「唐津コスメティック構想」
- コスメ分野で起業や事業をするなら唐津が断然オススメ!!
- 第一次産業も巻き込むインキュベーションセンターとは?
プロフィール
八島 大三さん
唐津市 商工観光部 コスメティック産業推進室 室長
一般社団法人ジャパン・コスメティックセンター 事務局次長
佐賀県唐津市出身。大学卒業後、1994年唐津市役所入職。税務課や教育委員会の担当を経て、その後早稲田大学大学院の公共経営研究科へ入学。学位取得後、市役所に戻り、企画部にて唐津市の地域活性化事業に関わり、2012年より唐津コスメティック構想の立ち上げに参画。現在はコスメティック産業推進室長及び一般社団法人ジャパン・コスメティックセンター(以下JCCという)事務局次長を務めている。
小田切 裕倫さん
一般社団法人ジャパン・コスメティックセンター チーフコーディネーター
東京都出身。高校卒業後レコーディングエンジニアとして17年間音楽業界に携わり、35歳の時に美容業界へ転職。社長室という直轄部署にて商品企画から販売まで、数々の事業開発を経験。その後2013年にJCCに入社。現在はチーフコーディネーターとして地域の可能性を探り、地元産品のPRや商品開発サポートなどを通して地域と市場を繋げる役割を担っている。
唐津コスメティック構想とは?
アメリカのITの集積地であるシリコンバレーは皆さんご存知だろう。アップル、グーグルといったIT企業が集まる、アメリカ屈指の情報産業エリアだ。世界にはこのような産業集積地帯が数多く存在している。
フランスにはコスメティックバレーと呼ばれるコスメの産業集積地帯があり、フランス北西部シャルトルを中心とした半径150kmに800の企業が集積し、70,000人の雇用を創出している。なんと製品出荷額は2兆円を超えるという。
コスメティック製品は他の製品と比べて、一般的に利益率が非常に高く、ブランディング次第で一次産品に高い付加価値をつけることができるのが特徴だ。
数年前から、唐津は人口減少が深刻化し、新たな産業創出が必要不可欠だった。そんな時に唐津にある化粧品輸入代行会社、株式会社ブルームの提案により、2012年、唐津市職員である八島氏がフランスのコスメティックバレーを視察。
コスメティックバレーは9割が製品製造、原料加工、研究開発などを専門とした中小企業であり、そのサプライチェーンが付加価値を創出し、フランスのコスメ産業を支えていることを知った。
幸いにも唐津には化粧品の原料となる農作物や豊かな土壌、薬用植物の研究機関、製造、検査、物流など必要となる組織、会社があり、今後唐津をコスメの産業集積地にしようとの想いのもと、唐津コスメティック構想が始まった。
2013年4月にはフランスのコスメティックバレー協会と唐津市が協力連携協定を結び、同年11月に産学官連携によるジャパン・コスメティックセンター(2015年4月に一般社団法人化。以下、JCC)が創設された。
九州はアジアの玄関口、今後は唐津から国内流通はもちろん、成長著しいアジアへのコスメティック製品の輸出を視野に入れ、国内外の企業、生産者、大学をつなぎ産業振興を進めている。
JCCの充実したサポート体制
一般社団法人ジャパンコスメティックセンター
JCCは産学官が連携し、多様な人材の交流と技術の集積による地域資源を活かした経済活動の活性化と、グローバル市場への展開を図る推進体制を構築し、唐津市、玄海町を中心とした佐賀県、ひいては北部九州におけるコスメティック産業の集積と雇用の創出に寄与することを目的としている。
JCCのコスメティック構想の主軸
JCCは美容・健康・素材・交流を柱とした「国際的コスメティッククラスター」の実現をミッションに活動している。その内容は大きく新市場開拓、地域ブランド構築、産業創出、産業集積という分野に分かれる。それぞれの分野の地域・企業・人をサポートしながら今日まで様々なことを仕掛けてきた。
またフランスはもちろん、イタリア、スペイン、台湾、タイの海外クラスターとも提携し、さらに規模を拡大している。
ここでJCCのサポートにより実現した事例を見てみよう。