滋賀県のちょうど中央に位置する町、竜王町。その南西部にある「鏡山」のふもとに、サテライトオフィス「Kagami forest」が誕生します。新型コロナウィルスの影響による新しい生活様式に対応し、地方移住を希望する人にも安心して働いてもらえるようにとの想いから設置されたこのオフィスは、2022年4月にオープン予定。

今回は、サテライトオフィスを運営する竜王町の老舗印刷会社・アインズ株式会社 常務取締役の谷さんに、竜王町の魅力やサテライトオフィスにまつわる取り組みについてお話をうかがいました。

食と人がつながる田舎型サテライトオフィス「Kagami forest」

サテライトオフィスを食と産業の拠点に

アインズ株式会社常務取締役 谷さん

編集部:本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、今回のサテライトオフィスの取り組みについてお聞かせいただけますか。

谷さん:竜王町は、人口1万1千人ほどの小さな町で、2040年には「消滅都市」になると考えられています。町によると、これまでは人口流出を防ぐための施策をあまりとられていなかったので、当社が2021年の冬頃に内閣府の「地方創生テレワーク交付金」を知り、関係のあった竜王町へ提案させていただいたことが今回の取り組みのきっかけです。

竜王町は人口流出問題のほかにも、農業の後継者不足に頭を抱えていました。そこで、地域を活性化させるとともに、移住や起業を促進し農業の担い手を増やせるような施策をということで、本サテライトオフィスの設置を提案させていただきました。

編集部:サテライトオフィスに対する地域の方々の反応はどのようなものでしたか。また、どのような特徴があるのでしょうか。

谷さん:農家の方にお聞きすると、あまり事務所を使う予定のある方はいらっしゃらなかったのですが、その後の「加工する」「売る」に課題を感じている方は比較的多いと感じました。そのため、キッチンスタジオを設置することで調理やレシピ作成などもオフィス内でできるようにしたり、企業と連携してECサイトの運営サポートまで行うことで、農業を生業とする方が販路拡大までしやすいような環境の整備を進めています。また、農業を手伝いながら起業する方も募集しており、「田舎型サテライトオフィス」という形で今年4月にオープンします。

編集部:なるほど。コワーキングスペースがある道の駅のようなイメージでしょうか?

谷さん:竜王町の食の拠点という意味では近いかもですね。コワーキングスペースも、サテライトオフィスに併設していますし、実はこのサテライトオフィスは、弊社印刷会社の敷地内にあった単身赴任寮をリノベーションした施設なんです。そのため、毎月の家賃とは別にはなりますが、事業で必要な印刷物をサブスクリプション型で制作したり、HPの運用も社員が代行したりすることも可能です。ビジネスを進める上で用意するのが手間な部分をカバーし、事業に取り組みやすい環境を整えています。

編集部:まさに、サテライトオフィスが竜王町の新しいビジネスを生み出す場所になるようなイメージですね。

新しいものを受け入れ、発展を続ける竜王町の様々な魅力

編集部:竜王町の産業についてはどのような特色があるのでしょうか?

谷さん:竜王町は工業地帯でもあり、ハウスメーカーと食品メーカー7社が進出していて今年に入り1,400人の雇用が生まれています。また、自動車業界大手のダイハツ工業様の主力工場もあり5,000人ほどが働かれています。近隣の市町村から竜王町へ働きに出てこられる方が多い地域ですが、町内企業に勤務する方々の成人式を竜王町在住の方々と一緒にお祝いするなど、田舎の町らしい温かな関わりがあるのも特徴ですね。また、新しい産業を受け入れる土壌がもともとある土地柄なので、地域の企業と入居される方々をお繋ぎできる場としても、サテライトオフィスを活かせるのではと思っています。

編集部:竜王町は滋賀県内のものづくりの場所でもあるんですね。農業も盛んとお聞きしましたが、特産品にはどのようなものがあるのでしょうか?

谷さん:出荷額が最も多いのは、日本三大和牛の一つ「近江牛」ですね。また、農業も昔から盛んで、「近江米」も有名です。最近では、ぶどうや梨、桃などの果実を育てている農家の方々も増えています。これらの果樹園は眺望も良い場所にあるので、団体観光客の方もよく来られていますね。

日本三大和牛の一つ「近江牛」は町の食を支える

果樹園には多くの団体観光客が例年訪れる

編集部:食の拠点としてとてもいい場所ですね。アクセス面はどうなのでしょうか。

谷さん:本サテライトオフィスがある竜王町は、昭和39年に開通した名神高速道路竜王インターチェンジから車で5分くらいの場所にあります。竜王町は鉄道駅がない町なのですが、車で京都まで30分、大阪までも60分と、ビジネスを展開する上では便利な立地だと思います。滋賀県のちょうど中心に位置しているので、滋賀県で営業先を開拓したいという方にとってのアクセスポイントにもなります。また事業所を設けるほどではないけれど、1~2時間くらい業務ができるところがほしいというニーズにも応えることができると思いますよ。

編集部:なるほど、いいですね。オフィスに入居となると移住を伴う場合も多いかと思いますが、生活環境や教育環境についてはいかがでしょうか。

谷さん:人口流出を防ぎたいという想いが竜王町にはありますので、竜王町総合計画に基づき2025年までに新たな小学校を完成される予定です。さらには周辺にはアパート100戸ほどが整備されることになっています。子育て支援の面では、ダイハツ工業様の工場があるご縁から、お子様が2人以上産まれたご家庭には軽自動車、3人以上のご家庭には普通車を3年間無料で貸し出ししています。中学校までの医療費も無料など積極的な支援をしています。また学習面では、特に英語教育に力を入れていますね。学力テストで全国上位となるなど、ALTの先生を招いてネイティブイングリッシュでのコミュニケーションがとれるような学習環境も整えています。

今ならお得に入居可能!3月末までの入居者キャンペーン

編集部:助成金・補助金など、入居にあたってのお得な情報はありますか。

谷さん:入居者キャンペーンとして先着5室分なのですが、竜王町から入居準備金として最大で100万円*が補助されます。家賃は月5.5万円(税込)なので、およそ1年半の家賃がまかなえる計算ですね。(*最低入居5年以上などの条件あり)

また、当社の人材紹介事業「キャリアユニット」やクラウドファウンディング事業を活用して、創業時の社員採用や、販促プロモーション、資金調達などもサポートさせていただくことが可能です。初めての土地で起業やビジネスを展開される方が最も不安に思われる点は、その地域のことが分からないということだと思いますが、当社のサービスはもちろん、当社に集まってくる様々な情報やネットワークをご提供することで、皆様の不安の解消につながればと考えております。

編集部:入居される方の条件はありますでしょうか?

谷さん:もちろん農業に興味のある方だとよりベストなのかなとは思いますが、必ずしも農業分野でなくても大歓迎です。

地域の人たちが親しみを感じるコミュニティを目指す

編集部:今後については、どのような展望をお持ちですか。

谷さん:移住される方はもちろんなのですが、まずは地元の方にこのサテライトオフィスを活用していただきたいですね。地元の野菜の売り買いが気軽にできるなど、町の皆さんにとっても親しみを感じられるコミュニティの場になればと思っています。また、例えばですが、ダイハツ工業様であればバイヤー面談などを月1回程度設けるなど、当社の人脈を活かした販路拡大の支援もしていきたいですね。他にも、生協様のキッチンスタジオを活用して、YouTubeで調理のライブ配信を行い、商品購入につなげるようなご支援も検討しています。

編集部:色々なつながりを生み出す場になりそうですね。本日は色々とお話しくださり、ありがとうございました。

谷さん:ありがとうございました。

サテライトオフィス滋賀竜王【Kagami forest】の詳細について

●「Kagami forest」
所在地:滋賀県蒲生郡竜王町鏡371番地1
(アインズ株式会社本社工場内)
連絡先:0748-58-8101
詳細はこちら:https://kagami-forest.jp

●3月31日まで入居者キャンペーンについて
【入居支援金】
サテライトオフィスへの進出(移転・起業)にかかる費用等の負担を軽減することで、進出の後押しとするために支給する。

【支給条件】
先着5社(者)を上限として、町外からのサテライトオフィス進出企業に対して100万円/社を支給する。
町外からのサテライトオフィス進出企業および起業者等を対象とする。

ただし、以下の企業、団体は対象外とする。
・官公庁等(第三セクターのうち、出資金が10億円未満の法人又は地方公共団体から補助を受けている法人を除く)
・風俗営業等の帰省および業務の適正化等に関する法律に定める風俗営業者
・暴力団等の反社会的勢力又は反社会的勢力と関係を有する法人

キャンペーン詳細はこちら:https://kagami-forest.jp/news/?no=20220126140057