ゆくゆくは広島県への移転を考えている企業に対して、一時的な広島滞在をサポートする通称「ちょっと広島県」という制度。意欲ある企業にとって見逃せないこの制度の特色やメリット、さらに広島県で働くことや暮らすことの魅力などを、広島県県内投資促進課の石井太朗さんに聞きました。

広島県での滞在費用を最大90%キャッシュバック!

―「ちょっと広島県」とは、どのような制度ですか。

「ちょっと広島県」を担当する広島県の石井太朗さん

ー石井 広島県内9社10カ所のシェアオフィスを利用して「お試し」で事業を行う県外企業に、交通費・宿泊費・オフィス利用料を最大90%まで助成するものです。
正式名称は、「企業立地促進対策事業<新型コロナウイルス感染症対策特別枠/ひろしまオフィスプランニング実証事業>」といいますが、長いので「ちょっと広島県」と呼んでいます。
もともと2020年秋から類似の制度としてスタートしていたのですが、今回はその内容を踏まえてさらに利用しやすいものにしています。

広島市中区にあるコワーキングスペース『co-ba HIROSHIMA』も対象施設のひとつ(撮影協力)

大きな変更点としては、助成制度利用の窓口が県ではなく、シェアオフィスになったことです。県は、シェアオフィスから「こんな企業が利用しましたよ」と報告していただくという形です。

条件としては、広島県に本社もしくは本社機能の一部移転を検討していること、正社員3名以上の規模の会社であること、IT関係・製造・流通業など対象業種であること、これらを満たせばOKです。中小企業と大企業の別は問いません。

―シェアオフィスが間に入ることで、より利用しやすくなったのですね。

対象シェアオフィスは県内9社10カ所に広がる

ー石井 はい。助成金の申込みや交付はシェアオフィスで行いますので、利用する企業の方にしてみれば「距離が縮まった」という感じではないでしょうか。

それぞれのシェアオフィスでは独自のネットワークや横のつながりを持っています。それを活用できることはこの制度の大きなポイントです。ただ出張して目的を果たすというような滞在ではなく、広島で多様な人々としっかりお付き合いをしていただきたいと考えているため、シェアオフィスの果たす役割は大きなものになるでしょう。

県としても、行政とは違った民間の切り口や考え方から企業誘致につながればと期待しています。

私たちもそこからいろいろな気づきが得られるはずです。それらをフィードバックすることで、来年度以降の助成制度もさらによりよいものにしていけるのではないか、ということも視野に入れています。

地の利、人、発信力に恵まれた広島で活躍を

―広島県に拠点を置くメリットはどんなところにありますか。

ー石井 広島県は西日本において、関西・九州・四国、どこへ行くにも大変便利なところです。さらにアジア圏など海外に進出する拠点としても最適です。
実際、「アクセスの良さにひかれて広島県を選んだ」という企業もあります。こうしたフットワークのよい動き方ができるフィールドとしての魅力が、まずは広島県に移転するメリットとして挙げられます。
次に、「人」の魅力があると思います。広島県全体を実証フィールドに!と内外に呼びかける「ひろしまサンドボックス」という事業がありますが、参加した県外企業が、広島に何度も足を運びさまざまな人とかかわることで移転を検討する、というようなケースが見られました。

対象とするシェアオフィスがあるのは広島市、安芸高田市、江田島市、東広島市、尾道市と5市に及びますが、「わからないことは何でも聞いてほしい」という頼もしいスタッフさんもいます。県外の企業の方にしてみれば、まだ見ぬ土地に不安もあるでしょうが、そういう熱心な人がいると進出する前から安心できるという面もあります。

さらにいえば、 “Hiroshima”の名は世界によく知られているため、重要な拠点があるということで企業としての発信力も高まるのではないでしょうか。

ライフスタイルが変わることで発想力も変わる

―住む場所としての広島県の魅力についてはどうですか。

日常の景色に魅力を感じて進出を決めた企業もある
出典:satomachi

街中で森の木々や焚火のにおいが感じられる
出典:satomachi

ー石井 首都圏の企業からご相談を受ける際に感じるのは、「自然環境を重視する方が多い」ということです。都市のすぐ近くに海、山、川があり、都会だと何時間もドライブして出かけなければできないようなレジャーも手軽に楽しめる。

例えば釣りや焚火が、仕事の後にでもできるわけですね。ときには「えっ、こんな街中で?」と驚かれることもあります。これは広島県に住むことで手に入るライフスタイルではないかと思います。

また、実際に移転した企業の方に聞くと「首都圏にいたら気づけなかった地域貢献や地方創生といったことが、実感として感じられるようになった」とおっしゃいます。
どんな人がいて、どんな生活をしているかが見えることで、自分たちのやっているサービスなど仕事への意識が変わった、と。出張ではなく生活者として広島で暮らしてみて、休日の過ごし方も含め、多くの気づきがあるようです。

首都圏から世の中を見るのと、広島から世の中を見るのとでは、当然見方が違ってきます。そのことはビジネスにおいても、発想の変化をもたらしてくれます。

ちなみに、「広島には意外にも有名な企業がたくさんあるのですね」という声もときどき聞かれます。これもまた、住んでみて見えてくることのひとつかもしれません。

広島での出会いを大きなビジネスチャンスに

―広島県に興味を持っている企業の方にメッセージをお願いします。

地元企業とのよい化学反応にも期待を寄せる石井さん

ー石井 個人的には、「今はまだ規模が小さいけれど、これからこういうことをやっていきたい!」という志ある企業の方に、ぜひ制度をご利用いただきたいと思います。
広島県としては、ユニコーン企業を10年で10社創出するという高い目標も掲げています。シェアオフィスで出会った横のつながりが、大きなビジネスチャンスにつながることを切に願っています。

まだまだ地方では、「DXって何だろう」と思っている企業が多いのも実状です。とりわけ、製造や流通の広い裾野を支える中小企業においては、さまざまな日常業務をいまだに紙ベースでやっているところもたくさんあります。

県外から意欲あふれる企業の方に来ていただけることで、そうした地元企業にもよい影響が広がっていくのではないか、思わぬ化学反応が起こり、ひいてはそれが地方都市の発展につながっていくのではないか、と期待しています。

みなさん、ぜひ、広島県に新しい風を吹き込んでください。

お役立ち情報満載!「ちょっと広島県」特設サイトオープン

「ちょっと広島県」特設サイト:https://chotto-hiroshima.info/

特設サイトの具体的なモデルケースも参考になる

―より詳しいことを知りたい方は、どうすればいいですか。

ー石井 このたびちょっと広島県の特設サイトをオープンしましたので、そちらをご覧いただければと思います。

特設サイトでは交通費・宿泊費・オフィス利用料のモデルケースもいくつか掲載しているので、どれぐらいお得になるかがより明確にご理解いただけます。
またお申し込みの流れ、実際に広島へ移転した企業の方のコメント、さらに県内各シェアオフィスの詳しい情報やスタッフのみなさんからのメッセージも載せています。
すでに移転を決めている方はもちろん、これから検討するみなさんにとってもお役立ち情報が満載です。どうぞ、ご活用ください!


「ちょっと広島県」特設サイト:https://chotto-hiroshima.info
問い合わせは、上記特設サイトへ

(取材:戸川盛之 撮影:岸副正樹)