2025年6月にグランドオープンした、農業・食・交流をテーマとする複合施設「FUN EAT MAKERS in Okuma」。ここでは先端技術を活用したトマト、レタスなどの農作物の栽培と販売、レストラン、首都圏に向けた配食など様々な事業が進められています。この場所はどんな場所なのか。施設長であり、ご自身もまた移住者でもある菅原正平さんにお話を伺いました。

農業・食・交流をテーマにした複合施設

大熊町の中央産業拠点にオープンした「FUN EAT MAKERS in Okuma」。株式会社コネクトアラウンドが運営し、最新の技術を活用してトマト、レタス等が栽培されています。レストランや、ビオトープ、芝生広場等もあり、農業・食・交流をテーマとする複合施設です。

ITによって温度や湿度管理がされた施設内で生産される主な作物は、トマトとレタス。トマトは2025年12月現在7品種まで増やされ、月間約2トンペースで収穫されています。トマトはサンゴの砂を用いた農法、レタスは水耕栽培で育てられており、いずれも土壌を使わない栽培方法が用いられています。

トマトの色は黄色、オレンジもあり、形も細長い「アイコ」やハート形のものなど様々です。どれも身が大きく、甘いのが特徴です。

ここで栽培された野菜は施設内のレストランで購入できるほか、近隣の道の駅、スーパーマーケット等で販売されています。東京のスーパーにも出荷されていて、また、産直通販サイト「食べチョク」でトマトのインターネット販売も始めています。

都会に積極的に売り出しファンを創出する

FUN EAT MAKERSには、セントラルキッチンがあり、ここで作られた野菜や近隣で作られた食材を使ったサラダやお惣菜を作っています。実は六本木ヒルズや麻布台ヒルズでもお弁当として販売されています。さらに、FUN EAT MAKERSでは大熊町近隣地域で作られた卵や野菜などと一緒にお弁当のおかずも作り、首都圏に届けています。

菅原さんは「東京でお弁当を買っていただいたお客様からは『おいしい』と言っていただけています。被災地かどうかに関わらず、これからは商品の味や品質そのものを評価してくださる方を増やしていきたいです」と話します。

菅原さんは、施設の経営をするにあたって、大熊町の外への積極的なアウトプットが重要だと話します。それは、雇用を創出し地域を活性化するためには、地域の内需に頼るだけではなく、外需を獲得していく必要があると考えているからです。首都圏に留まらず、大阪などより遠方への提供も検討しています。「FUN EAT MAKERS」の名前の通り、目指すは大熊・福島の食のファンを作っていくことです。

大熊町の人の情熱に心動かされ転職を決意

菅原さんが大熊に移住したのは2024年。当初は東京の仕事をリモートワークで続け、週に1回東京に通う生活をしていました。調理師をしており、大熊町での生活をきっかけに現在の仕事に転職しました。

菅原さんご一家へのインタビュー

https://okuma-style.com/wmHYmKOu/bY1hCebV

菅原さんは大熊インキュベーションセンター(OIC)を拠点にリモートワークをしていたのですが、そこで菅原さんが目の当たりにしたのは「大熊のために何ができるか」を考え動く、現地の人たちのバイタリティ溢れる姿でした。

菅原さんは調理師をしていたことから、これまで携わってきた「食」という手段で、自分もこの町の復興に関わりたいと考えはじめました。そんな中、FUN EAT MAKERSの立ち上げメンバーを募集する求人を目にし、この施設で働くことを決めました。

現在は20名ほどが働いており、うち移住者は7割。若手から最高齢は67歳まで年代も様々な方が働いています。重労働も少なく、温度管理された施設内は夏涼しく、冬は暖かいため、働くメンバーからも「力仕事も少なくとても働きやすい」と評判です。

町民の方々が日常的に訪れる空間に

菅原さんは今後、FUN EAT MAKERSを町民の皆様に日常的に利用いただける場所にしたいと考えています。屋外にはバナナなど珍しいものも植えられており、ビオトープはすでに子どもたちの遊び場になっています。また、屋内の「ノキシタベース」には本も置かれ、休憩スペースとしても活用することができます。

さらに物販スペースとして利用できるノキシタマーケットも町民のみなさんにも開放していきたいと考えており、何か販売してみたい町民の方を募集しています。

レストランについても当初は平日のみの運営でしたが2025年11月からは土曜日にも営業をはじめており、ランチを楽しむ人たちでにぎわい始めています。さらにはレストランで出しているメニューをご自宅でも味わってもらおうと、お惣菜のテイクアウトもはじめました。

菅原さんは「農業と食をテーマにしながら、この場所を大熊の方々がつながる場所にしていきたい。今後色々なイベントも企画していきたいと思います」と話しました。