山梨県大月市、扇山のふもとに広がる「大月エコの里」。河津桜が冬の終わりに彩りを添え、遠くには霊峰富士が顔をのぞかせる。この日、里には薪を割る音と子供たちの歓声が響いていた。新しい風を吹き込んだのは、着任したばかりの二人の地域おこし協力隊だった。

新しい名前、2倍のにぎわい
「自分で植える!割る!冬の森のおいしい体験会」。親しみやすい名前に生まれ変わったこのイベントは、新たにエコの里に着任した地域おこし協力隊の家坂さんと滝口さんが中心となって企画された。

ECサイト運営の経験を持つ家坂さんは広報や事務連絡を担当。元陸上自衛官の滝口さんは、当日の案内役として参加者が自然を満喫できる環境づくりに努めた。二人の異なる経験が噛み合い、精力的な声かけもあって、参加者は昨年の2倍に。会場は世代を超えた笑顔で満たされた。

参加者はシイタケの植菌や薪割りといった、都会では味わえない体験に夢中になる。黙々と薪を割る父親の傍らで、子供たちは土の上を元気に走り回る。そんな光景が、この土地の豊かさを物語っていた。


体を動かした後の、格別な一杯
体験の後には、希望者にお昼ご飯が振る舞われた。エコの里で採れた素材を使った大月名物「おつけだんご」と、温かい甘酒だ。特に甘酒は、今年から子供も楽しめるようにと改良された特別なもの。少しのトラブルもご愛嬌。青空の下、にぎやかなランチタイムが流れていく。


二つの道、一つの場所で交わる
二人が大月市へ来た経緯はそれぞれだ。
家坂さんは、都心からアクセスしやすい農園を探してたどり着いたのが、このエコの里だった。活動するうちに地域の人に誘われ、協力隊に。現在は情報発信を軸に、将来的には民泊・農泊への挑戦も視野に入れている。

一方、「山の仕事がしたい」という想いを抱いていた滝口さん。研修会での出会いがきっかけで協力隊となった。当初は専門外の農業に戸惑いもあったが、「今では農業が楽しい」と笑顔を見せる。山の植樹活動を目指し、今も学びを続けている。

地域と共に、未来を育む
令和7年度に着任した二人は、1年目から精力的に活動してきた。研修で知識を深め、他地域の協力隊とのネットワークを築き、地域住民と共に「扇山のめぐみ協会」を設立。扇山麓でとれた野菜の新たな価値と販路を模索している。
異なる道からこの地に集い、手を取り合って新たな挑戦を始めた二人。彼らが育む活動は、大月の豊かな自然のように、ゆっくりと、しかし着実に根を張り始めている。これからの活躍に、地域の期待が集まっている。
