港区から移住したIT起業家の足立恭平さん。

都心から電車で約1時間。秋川の清流と緑豊かな自然に囲まれた東京都あきる野市は、近年「トカイナカ」エリアとして注目を集めています。

2020年、港区から移住したIT起業家の足立恭平さんと、自身も板橋区からの移住者である市の移住・定住担当の平神賢人さんに、このまちの魅力についてお話を聞きました。

▼移住のきっかけは週末のバーベキュー

自然豊かな秋川では釣りやバーベキューなどを楽しめます。

「友人の誘いで秋川でバーベキューをしたり温泉に入ったり。この自然の中で暮らせたらいいな、と思っていました」と足立さん。

2020年、コロナ禍でリモートワークが普及したことをきっかけに移住を検討。

「バーベキューに遊びに来た帰り、ノリで賃貸物件を見て、そのまま移住を決めちゃいました」と笑顔で当時を振り返ります。

▼都心の喧騒から自然豊かな暮らしへ

「都心では大型トラックの音で目覚める生活でしたが、今は鳥のさえずりで目覚めます。精神的にとても安定しますね」。

リモートワークのフリーランスとして働いていた当時、どこに住んでも仕事ができる環境でしたが、既に親しんでいた秋川の自然と、地元で事業を営む友人の存在が、あきる野市を選ぶ決め手となりました。

▼地域活動から広がる新たな可能性

秋川リバークリーンナップは、東京都あきる野市を流れる秋川の美化と環境保全を目的とした活動です。

移住後、足立さんは地域のさまざまな活動に参加するようになります。毎月開催される秋川リバークリーンナップという清掃活動は、最近、奥様のご縁でICUの留学生も参加するようになり、地域の子どもたちの国際交流の機会にもなっているといいます。

また、あきる野青年会議所に入会し、「秋川流域花火大会」などの地域振興事業の運営にも携わるように。

秋川流域花火大会の様子。

「最初は、移住前では接しなかった業種の方々との付き合いに戸惑いましたが、一緒に活動するうちに仲良くなりました。僕がデータ管理や企画書作成を担当し、地元の方々が協賛金集めや設備の手配を行うなど、自然と得意分野を活かし合える関係ができていきました」

▼リモートワークから地域密着型ビジネスへ

北口会HPプロジェクトでは、地域住民と連携しウェブサイト制作を行いました。

地域活動を通じて様々な課題が見えてくる中、2023年12月、足立さんは「TYDI|株式会社東京山側デジタル推進機構」を設立。地域の商店街のウェブサイト制作や、地元企業の業務システム開発など、まちの課題解決に取り組んでいます。

「移住当初は都心の企業向けの仕事が中心でしたが、地域のコミュニティに関わるうちに、ITの専門家が少ない現状に気づきました。そこから徐々にシステム開発やウェブ制作の依頼が増えていったんです」

プライベートでは、品川区在住だった現在の奥様と出会い結婚。「当時、妻もリモートワークだったので、あきる野市での生活にすんなりと馴染めました」。現在は二人でボランティア活動を取材するメディアも運営しています。

▼都心とのバランス

生活環境は大きく変わりましたが、都心へのアクセスは意外とスムーズだといいます。
「武蔵五日市駅から新宿まで
1時間15分。待ち時間を含めると実際は1時間半くらいですが、仕事と生活にメリハリがつく距離感ですね」

車は必須かと思われがちですが、「移住して23年は車なしで過ごしました。地域活動が増えると車があった方が便利ですが、必ずしも必要というわけではありません」と現実的なアドバイスをくれます。

都心での仕事を続けながら地域に溶け込んでいった足立さんの経験は、移住を考える人々の参考になるでしょう。
そして興味深いことに、移住相談に携わるあきる野市の担当者自身も、都心からの移住者なのです。

▼移住者が移住者を支える

移住・定住担当の平神賢人さん。

「就職を機に移住しましたが、まちの雰囲気に惹かれて、今は移住者を支援する側になりました」。あきる野市で移住・定住を担当する平神さんは、自身の経験を振り返ります。

「地域の方々に助けていただきながら、今度は私が移住者のサポートをする。そんな循環が、このまちらしいところかもしれません」

平神さんによれば、あきる野市の特徴として、移住者だけのコミュニティを作るのではなく、農業や子育て、環境保護など、それぞれの関心事でつながるコミュニティが自然に形成されているといいます。誰もが自由に入りたいところに入れる、排他的でない雰囲気があきる野市の魅力なのです。

「地域の活動を通じて自然とまちの良さを知り、移住を決める方が多いですよ」。

▼オーダーメイドの移住支援

あきる野市では、東京都内で唯一のオーダーメイド型市内案内を実施。保育園見学や地域活動の見学など、それぞれの関心に応じた案内を心がけ、実際の暮らしを体感してもらうことで、このまちとの相性を見極められるよう支援しています。

「アウトドア好きな方には豊かな自然を活かしたアクティビティを、子育て世帯には教育環境をご案内するなど、それぞれのニーズに合わせた提案ができることが強みです」

▼文化と変化が共存するまち

秋川の石舟橋。あきる野市のシンボル的な景観

「最初は自然が豊かで都心に近いという漠然としたイメージで移住を決めました」と足立さん。「でも住んでみると、何百年も続く祭りの歴史があり、かつ新しいチャレンジも受け入れてくれる。その古い歴史と文化を大切にしながら、新しいものも受け入れる懐の深さが、このまちの魅力だと思います」

都心での仕事と、豊かな自然の中での暮らしを両立させたい。新しい土地でチャレンジしたい。そんな願いを持つ人々にとって、あきる野市は魅力的な選択肢となるはずです。

あきる野市の暮らしについては、市の公式サイト KOTOSUMで詳しい情報をご紹介しています。

東京での新しい暮らしに興味をお持ちの方は、東京都が運営する東京たましま移住定住ポータルサイトや、地域との関わり方を提案するプラットフォームSMOUTの特集ページもご覧ください。

新しい暮らしのヒントが見つかるかもしれません。