大学3年生になり、いよいよ周りが就職活動に向けて本格的に動き出す時期。しかし、「都会の企業に就職して、毎朝満員電車に揺られる日々」にどうしても前向きになれない……。そんな「モヤモヤ」を抱えている若者は少なくないのではないでしょうか。

今回、都会での働き方に違和感を覚え、将来のヒントを探すために新潟県湯沢町の「おためし地域おこし協力隊」に参加した現役大学3年生の坂根さんにインタビューを行いました。

都会の価値観から離れ、雪国・湯沢の大人たちとの出会いを通して、彼の心にどのような変化が生まれたのでしょうか。

地方での起業や就職を少しでも選択肢として考えている学生や若者の皆さんに、ぜひ読んでいただきたいリアルな体験談をお届けします。

都会への違和感と、偶然が重なった「湯沢町」との出会い

—— 今回、湯沢町の「おためし地域おこし協力隊」に参加したきっかけを教えてください。もともと都会での就職にはマイナスなイメージがあったのでしょうか?

坂根さん:「そうですね。都会で普通に就職するってなったら、毎朝満員の通勤電車に乗って、そんなにやりたくない仕事なら行きたくないなって思いながら通うことになるんじゃないかという不安がありました。やりがいやモチベーションもなく都会で生活するよりかは、田舎で自分のやりたいことを、人との繋がりを大切にしながらやりたいなと思ったのが率直な理由です」

—— 数ある地方自治体の中から、なぜ「湯沢町」を選んだのですか?

坂根さん:「実は、僕が『地域おこし協力隊』について調べ始めたのが春休みが終わったくらいの時期で、すでに応募が締め切られているものがほとんどだったんです。その数少ない募集の中で、検索の上位に湯沢町が出てきました。 湯沢ならスノーボードで何度か訪れたことがあってイメージしやすかったのと、以前スキー場でたまたま出会った、気さくなお兄さんから『湯沢はめっちゃいいとこだよ』と言われた記憶が残っていて。その偶然の出会いもあって、湯沢に行ってみようと決めました」

交流会で受けた衝撃。親身すぎる「湯沢の大人たち」

今回のおためし滞在中、将来に迷う彼にプラスになる話が聞けるようにと、湯沢で働く大人たちを集めた交流会を企画しました。(⇒ 当日の交流会の様子はこちら )平日の夜にもかかわらず、多くの大人が集まり、お酒を交えたフランクな場で様々な想いが交差しました。

—— 交流会で出会った湯沢の大人たちは、普段大学や都会で出会う大人たちと何か違いはありましたか?

坂根さん:「普段話している大人の人よりも、より自分のことを考えて、親身になって話を聞いてくれているなという印象を強く受けました。
『もし機会があれば全然自分の周りを紹介するよ』とまで言ってくださって。 交流会自体がとても楽しかったこともあり、自分の思っていることが言いやすく、相談しやすい空気がありました。」

一人の若者の未来を本気で応援しようとする湯沢の大人たちの温かさは、都会のドライな人間関係にモヤモヤしていた彼の心に深く刺さったようです。

(イベントのチラシ)

「何のために起業するのか?」——ビジネスのリアルと本質を学ぶ

交流会では、単なる精神的なエールだけでなく、地方でビジネスをしていく上での厳しいリアルや、実践的なアドバイスも飛び交いました。

—— 特に印象に残っている言葉や、ハッとさせられたエピソードはありますか?
坂根さん:「一番衝撃だったのは、起業に対する考え方です。僕は漠然と『地方で働くなら起業かな』と考えていて、起業すること自体が目的になってしまっていました。
でも、湯沢で実際に起業している大人たちは、『何のために起業するのか』という目的がしっかりしていたんです。 お話を聞きながら、自分がいかに何も考えていなかったかが分かりました。やりたいこと、目的をはっきりさせることがまずは一番大事なんだなと痛感しました」

さらに彼は、湯沢で飲食店を経営する方からのアドバイスにも感銘を受けたと言います。

坂根さん:「『周りに飲食店がたくさんある中で、どう差別化しているんですか?』と聞いたんです。
そしたら、『飲食店は作った人がやりたい料理をまず出しがちだけど、俺の店は需要やニーズを考えてやっている。自分のやりたいことよりも、お客さん側の立場に立ってやるのが続いていくお店の特徴だ』と教えてもらいました。
あと、集客についても面白くて。今はSNS集客が主流ですけど、その方がSNSが苦手らしいんです。だから『どうやって集客しているんですか?』と聞いたら、『お客様から発信してもらえるような商品を提供している』と。目を引くような目玉商品を作ってお客さんが自然と口コミや写真を投稿したくなるような工夫をしているそうです。実際に口コミを見たらその商品の写真がいっぱい上がっていて、色々な工夫をしてビジネスをされているんだなとすごく勉強になりました」

課題がビジネスに繋がる!? 湯沢ならではのアイデアとコミュニティの魅力

湯沢の面白さは、ビジネスのヒントが日常の意外なところに転がっている点にもあります。

坂根さん:「交流会の中で、ビジネスアイデアもいただきました。僕が農業大学に通っているということもあり、その分野の経験を活かして湯沢で実現できそうなビジネスで、、、でもこれは秘密にしておきますね。笑
そのアイデアを聞いた時、地域の課題と資源の掛け合わせが地方ビジネスなんだなと実感しました」

また、湯沢の「人との距離感」も、彼にとって新鮮な驚きでした。

—— 湯沢のコミュニティに入ってみて、地方へのイメージは変わりましたか?

坂根さん:「すごく変わりました。初めて『スタンドパブ(立ち飲み屋)』に行ったのですが、最初は気まずかったらどうしようって思ってたんです。でも、こっちの人の人柄が良いからか、めっちゃ楽しくて。 人との距離がすごく近いんですよ。東京では見知らぬ人に話しかける機会なんてまず無いですが、狭いコミュニティだからこそ何かしら共通点を見つけやすかったりして話が弾むのは特徴の一つだと思いました。普通に飲みに行って、知らない人と喋って仲良くなるっていうのは、東京にはない魅力ですね」

滞在を経て見えた「これからの自分」と「地方という選択肢」

たった数日間の滞在でしたが、湯沢の大人たちとの濃密な時間は、彼の行動指針を大きく変えることになりました。

—— これから大学に戻って、就職や将来に向けてどのように動いていきたいですか?
坂根さん:「今までは、就職の説明会とかがあっても、面倒くさくて行かないことが多かったんです。でも今回湯沢に来てみて、『人と人との繋がりって、思っている以上に大切なんだな』と身をもって知りました。 これからは、自分がそんなに乗り気じゃなくても、『とりあえず行ってみる』ぐらいの気軽な気持ちで、どんどん外に出て動いていきたいなと思います」

編集後

「満員電車に乗りたくない」「都会での就職に違和感がある」。そんな素直なモヤモヤから一歩を踏み出し、湯沢町へと飛び込んだ大学生。彼を待っていたのは、親戚の子のように可愛がり、時にビジネスの厳しさを教え、全力で応援してくれる「おせっかいで温かい大人たち」でした。
地方での起業や就職は、決して簡単な道のりではないかもしれません。しかし、湯沢町のように「人と人との繋がり」が強力なセーフティネットとなり、新たなビジネスの種を生み出す環境があることも事実です。 「とりあえず行ってみる」。 彼のこの軽やかな決意は、今まさに将来の進路に悩んでいる多くの若者にとって、現状を打破する大きなヒントになるはずです。
もしあなたも都会での働き方に息苦しさを感じているなら、一度「湯沢町」というフィールドを体験してみてはいかがでしょうか。そこには、あなたの人生を変えるような出会いが待っているかもしれません。