新型コロナウイルス流行の中、唯一と言ってもいい”良い影響”が、テレワーク(リモートワーク)の急速な広まりでしょう。もちろん影響度合いはそれぞれで、また全職種が対象では無いものの、これほどまでに多くの人が一気に体験すると、世の中が大きく変わりそうです。その流れに追いつくべく、今まさに準備中の方にとっては、それを実行するためのツール選びも一苦労かと思います。
以前の記事(参考コラム:「関係人口を増やしたい地域が今こそ準備すべき「3つ」のこと」)にも書いたとおり、テレワークを実現するには、以下の3つのツールが、いわば「三種の神器」です。

①Web会議ツール
・PCやスマホがあれば、いつでもどこでも会議ができるツールです。昨今は無料でも十分利用に耐えるものが数多く出ています。
②ビジネスチャット・ツール
・一言で言えば「仕事専用のLINE」です。メールで仕事を進めるよりも数倍コミュニケーション効率が高まり、世界はもちろん、国内でも急速に普及しています。
③クラウド・ストレージサービス
・ネット上で簡単にファイルを共有できるサービスです。メールでファイルを添付し、あとからパスワードを送るという煩わしさから開放され、情報共有が圧倒的にスムーズになります。エクセルやワード、パワーポイントのようなドキュメントも、メールに添付して送り合うのではなく、ネット上で同時に大勢で更新できるようにもなります。

(参考コラム:「関係人口を増やしたい地域が今こそ準備すべき「3つ」のこと」)

これらのツールについて検索しても、「5選」とか「10選」とかいう記事ばかりですし、「どれが一番いいのかはっきり言ってくれ!」と叫びたくなるはず。

そこで、各地に分散しながら仕事をするのが日常の私達が、4~5年かけて至った結論をお教えします!

もちろん、万人にとってベストとは言えないですし好みもあるので、あくまで「独断と偏見」だという前提です。でも正直、十中八九あてはまるんじゃないかと。しかもその殆どが、とりあえず「無料」でいけます。それでは順番にご説明しましょう。

①Web会議ツールは、まずは”Whereby”で!

Whereby:インストール不要、使い勝手抜群で、4人同時会議まで無料

この日本人にはなんとも発音しづらい、不思議なネーミングのツール「Whereby(ウェアバイ):https://whereby.com/」。以前は、「appear.in(アピアーイン)」という名称でした。(そのほうが良かったw) このツールは、なんとインストールも不要で、ブラウザだけでWeb会議ができる優れもの。ただし、使えるブラウザは、Google Chrome、Firefox,Operaの3つのみ。IEや、Safariでは使えません。スマホは専用アプリがあるので問題なし。インターフェースも直感的で、説明いらず。今までどんな相手でも使えなかったことが無いくらいです。しかも無料で会議の時間制限が無いのがありがたいですね。ただし無料の場合は、4人までの会議しかできず、1人1ルームしか作れません。その制限を越えようとする場合は、月額9.9ドル〜の有料アカウントにする必要があります。経験的にはそれほど多人数のWeb会議をいきなり開催することも稀なので、大方の場合「無料」で十分です。しかも画質もいい。ただ通信量はやや多めのようで、そのあたりが以下にご紹介するZoomには及ばない部分です。しかし、4人以下で、まあまあ安定した通信環境にいる参加者同士での会議なら、全く問題なし。サービスサイトにアクセスすると英語しかなく躊躇しがちですが、冷静に見れば簡単な単語ばかりで何も難しくありません。

©Whreby

ただしベストツールは間違いなくZoom:軽くて高画質、使い勝手も最高!

前述の「Whereby」に「まずは」とつけた理由は、ツールとして一番普及し、機能も使い勝手もベストと言えるのは、やはり「Zoom(ズーム): https://zoom.us/」だからです。特に大勢の会議が必要な場合や、安定性を求める場合は、もうZoom一択です。しかも通信量も抑えられている割に画質が良い。このあたりが他の追随を許さない技術的な優位点ですね。ただ無料だと40分で一旦切れてしまうのが、最大の難点。逆に多少の費用負担は問題ない(月額2,000円~)なら、迷わなくていいと思います。会議を招集する人(ホスト)だけ有料アカウントにすればOK。ちなみにこの手のツールは、1アカウントを複数で使い回すことはほぼできない仕組みになっているので、変な試行錯誤は時間の無駄です。

独断と偏見の結論をいうなら、「無料ならWhreby、有料ならZoom」でしょうか。

②ビジネスチャット・ツールは、結論「Slack」で!

Slack:もう「メール」には戻れない!ビジネスチャットの決定版

こちらも、Facebookや、Microsoft、Lineなどのメジャーな企業も参入する競争保激しい領域です。それぞれもう使い慣れているものがあるなら、変える必要もないかもしれませんが、今から導入するなら、やはり「Slack(スラック):https://slack.com/」でしょう。テレビCMでも宣伝されていたので、見覚えのある方もいらっしゃるかもしれませんね。

Slackは、この領域で(おそらく)世界最大のシェアを獲得している専門企業。故に、機能性や使いやすさも抜群に優れています。このビジネスチャットツールは、Lineなどの個人向けチャットツール同様、「沢山の人が使っている」ことが最大の利点。ですので、どうしても「長いものに巻かれる」ことになります。とはいえ、無料で使って、不都合もほとんど無く、しかも、新しい人を誘って使ってもらっても、ほぼ説明無しでいけるこの使いやすさは秀逸。さらに、メールサービスや、SNSなどとの連携機能も豊富で、日々その便利さが向上しているのがすごいです。例えば、G-mailと連携させると、特定のメールが来たら、Slackに自動的に読み込んでそのままチャット内でコメントできる・・・なんて機能もあり、その技術力の高さは驚くべきレベルです。ただ無料だと、一定期間を過ぎた過去の投稿が検索できなかったり、アップするファイル容量に制限があります。それでも、実際に多くのユーザが無料で使っていて、自分も不便を感じたことは今の所ありません。

Chatowork:国産ツールへのエールを込めて!

実はSlackと機能的にはほとんど遜色のないツールがあります。それが「Chatwork(チャットワーク):https://go.chatwork.com/」。しかもIT業界以外の利用者が多いという噂で、使い勝手やサービスレベルにおいて、Slackと双璧と言っていいと思います。しかもやはり無料でもほとんど問題なしです。(無料アカウントだと広告が表示されるのだけ、気になる人もいるとは思いますが。)
しかも、多くが外国勢に独占されているITツール業界において、こちらはなんと「純国産」。ベンチャー時代からここまでの成長を成し遂げた国内企業に心底リスペクトを感じますし、当然応援したい気持ちも湧いてきます。例えて言うなら、楽天とAmazonのようなもの。どちらか選べと言われると正直難しいのですが、選ぶにはやはり周囲の人が何を使っているかで決めるのがいいかもしれません。もっといえば、相手によってこの2つのツールを使い分けても、慣れればなんてことありませんしね。
それよりも何よりも、社内まで「メール」で連絡し合っている非効率さを無くすだけで、生産性が(感覚値で)20~30%は軽く上昇すると思います。例えて言うなら、いまさら「電話だけ」で仕事することになったら、相当困りますよね?(笑) ビジネスチャットは本当にそのくらい便利で、効率的で、普段の仕事にも、もちろんテレワークにも無くてはならないツールなのです。まだ使っていない企業や自治体の皆さん、一分一秒でも早い導入をおすすめします!

©Chatwork

③クラウド・ストレージサービスは、やはり”Google”!

大きなファイルやドキュメントなどを、メールに添付して送る時に、圧縮してパスワードをかけて、添付したメールと別で送る…。この一連の作業が安全だと思っているのは、実は日本人だけなのはご存知でしょうか? 以下の記事にもある通り、それには殆ど意味がないのが現実です。(参考:「続けてパスワード送付」欧米でまったく使われないワケ (1/2)」:ITmedia エンタープライズ)

今は「圧縮+添付+パスワード送信」の一連の流れを自動的に行うツールまでありますが、だからといっていいわけではありません。受け取る方の面倒さや、セキュリティ面からも、世界的に見ればやはり、ひどく「遅れた」習慣に過ぎません。

そんなことしなくても、世界最高峰のセキュリティレベルを担保しながら、使い勝手のいい「クラウドストレージ」サービスはいくつもあります。
有名なところでいうと、「Dropbox(ドロップボックス)」や「Box(ボックス)」など、それぞれ特徴のあるサービスが鎬を削っています。
しかし、総合力から判断すると、やはり「Googleドライブ:https://www.google.co.jp/drive/」でしょう。

まずは15GBの容量を無料で使えるのもあります。しかし「無料の容量」で比較したら、他社のほうがいい場合もある。
Googleが圧倒的にすごいのは、様々なサービス…Google Document, Spretsheet, Slide といった関連アプリが、しかもネット上で複数の人が同時に更新できるスグレモノが、なんと無料でついてくるのです。例えて言えば、マイクロソフトのワードやエクセル、パワーポイントが無料で使えるようなものです。
実は3~4年前までは、こうしたツールの完成度も今一つで、バグがあったり、それこそマイクロソフトのそれらのドキュメントに変換すると、文字やレイアウトが崩れたりしてイライラしました。しかしどんどん精度が上がり、今や殆どストレスを感じることがありません。これは本当にすごい進化です。
しかも、G-mailというGoogleのメールサービスや、Google Map 、Googleカレンダーなどの様々なサービスとの連携もスムーズ。そう、私達はもうすでにGoogle先生に、完全に「支配」されているのです。諦めましょう。(笑) Googleの最大の特徴は、やはり世界最高峰のセキュリティレベルと、それでいて今も日進月歩するその進化のスピードです。なぜか、上記①のWeb会議ツールだけは、Googleハングアウト(Meet)というツールがあるのですが、やや重たくて画質もイマイチで、ZoomやWhrebyよる明らかに劣るのですが、そこはご愛嬌なのかなと。Googleカレンダーとの連携がスムーズなので、つい使ってしまうのですが。

兎にも角にも、テレワークではファイルの受け渡しなどは必須ですし、複数の人数で1つのドキュメントを共同で完成させる局面は日常的です。Googleドライブ、もしくはそれを含めて全てのツールを備えていると言ってもいい、G Suite は、最強であることは間違いありません。

©Google

以上、何度も言うようですが、完全に「独断と偏見」でおすすめしました。是非ご参考になさって下さい。
何より大事なのは、この機会に、これらを導入することです!

文:ネイティブ倉重

【著者】ネイティブ株式会社 代表取締役 倉重 宜弘(くらしげ よしひろ)
愛知県出身。早稲田大学 第一文学部 社会学専修 卒業。金融系シンクタンクを経て、2000年よりデジタルマーケティング専門ベンチャーに創業期から参画。大手企業のデジタルマーケティングや、ブランディング戦略、サイトやコンテンツの企画・プロデュースに数多く携わる。関連会社役員・事業部長を歴任し、2012年より地域の観光振興やブランディングを目的としたメディア開発などを多数経験。2016年3月にネイティブ株式会社を起業して独立。2018年7月創設の一般社団法人 全国道の駅支援機構の理事長を兼務。