オリジナルファミリーミュージカル公演の成功、釣りを通した地域活性化や環境啓発・食育などに取り組んでいる、鳴門市地域おこし協力隊の和田さんと高橋さん。 移住して4年目を迎える彼らは愛知県で生まれ東京・大阪などの都市圏で20代前半までを過ごしたIターン組です。華やかな舞台から一転、地域のために働くために移住・定住を決めたのは人の温かさとご縁だったと言います。 「過ごした時間が多ければ多いほど、鳴門のことが好きになる。」と語る2人は、都会にはない挑戦できるフィールド、そしてそれを応援してくれる地元の人の温かさに触れ、鳴門の良さをもっと知って欲しいと、「演劇」と「釣り」を活かした新しい鳴門の魅力づくりを始めています。

高橋 真冬さん (27) 移住元:東京都 職業:鳴門市地域おこし協力隊

和田 一詩さん (27) 移住元:神奈川県 職業:鳴門市地域おこし協力隊

地域おこし協力隊として鳴門に移住

なぜ、鳴門に移住?

和田:二人とも愛知県出身で、就職は関東でしました。私はすこし異色ですが、高校卒業後に劇団四季に入団して、その後フリーで活動した後、中学生までやっていた野球にもう一度挑戦したくなって、四国アイランドリーグの徳島インディゴソックスに入団しました。これがきっかけで、徳島・鳴門を知り、地域おこし協力隊の募集があったので2人で応募して移住してきました。

高橋:私は、大阪の大学を卒業し、愛媛県の坊ちゃん劇場のオーディションに合格しプロの俳優としての道がスタートした後知り合った彼と地域おこし協力隊として鳴門に移住してきました。もともと彼が徳島インディゴソックスでプレーしていた時に、演劇や釣りの活動をしていたこともあり、そのお手伝いをしがてら鳴門には来ていたので、徐々に慣らされていった感じですね。

 

都会的な生活をしてきた中で、田舎に移住というのは抵抗感ありませんでしたか?

和田:全くないです(笑)。周りからは、「田舎ならではのしがらみがある。」「閉鎖的かもしれない。」なんて言われたこともありましたが、都市部とのアクセスもいいのか、比較的オープンな土地柄で、面倒見のいい優しい人が多い印象です。移住する前から気遣ってくれる方が多く、来て早々に地域に馴染むことができました。「生活費が安い」とか、「自然が豊か」とか色んな理由がありますが、とにかく「人」が一番です。

高橋:私は正直なことを言うと漠然とした不安はありました。就職して間もない20代前半で、一般就職はしておらず、ずっと舞台女優として活動をしており、下積みとして実践を積んで芸を学んでいる最中でした。足を踏み入れたことのない土地で挑戦していかなければならない。そんなプレッシャーもあったんだと思います。田舎は老後でもいいんじゃないかなと思ったこともありましたが、住んでみると居心地が良すぎて気が付けば4年目になってしまいました(笑)。

住み心地のよさとは具体的にどういったところですか?

和田:実は人混みが大の苦手でして。ショッピングモールですら、くらくらしてしまうので、街全体のゆったりした空気感はすごい落ち着きます。それに活動の柱である釣りのメッカであるので環境は最高です。東京・大阪にアクセスが良くて、車ですぐのところに大きな海が広がっているのは鳴門ぐらいなんじゃないかな。

高橋:関東在住の頃はバスや電車が充実していたので、免許を取っておらず、自転車と渡船が交通手段でした。一見不便ではありますが、都会での生活に慣れていた自分にとってはその不便さが逆に新鮮で、友達によく動画を撮って自慢していました。移住してしばらくしたら免許を取りましたが(笑)。

地元では当たり前すぎた「釣り」の魅力

釣り好きにはたまらない場所ですか?

和田:鳴門はタイ、ハマチ、サワラなど程よく身が締まり脂の乗った魚が豊富で、プロや釣り好きの方には釣りのメッカとして知られていますが、まだまだ一般的には浸透していないです。もっと気軽に鳴門に来て釣りを楽しんで欲しい。なので、釣り竿やエサのセットを用意して、インストラクターとして釣り方も教え、船でイカダに行き、釣りをしながらBBQをするといったプランも用意していて、手ぶらで釣りが楽しめる気軽さから家族連れの方に特に好評をいただいています。穏やかな波に揺られながら釣糸を垂らして過ごすだけでもすごいリフレッシュできるし、イカダで釣った魚をその場でBBQなんかで食べると魚の美味しさに衝撃を受けると思います。女性でもお子さんでも楽しめますし、県外の方でもワーケーションとして半分仕事半分釣りの生活を鳴門で過ごしてもらいたいですね。

高橋:レジャーとしての釣りもどんどん進めていきたいんですが、同時にこの素敵な海を守っていくことも必要だと考えていて、海のごみ問題や、食育への取組みにも力を入れていこうと思い、2021年4月に一般社団法人TSURIBITOを立ち上げました。 海岸清掃や魚のさばき方体験など釣りに関わる様々なイベントをしているんですが、子どもたちの中には、スーパーの切り身の状態で海を泳いでいると思っていた子もいて、自分で釣って、捌いて、調理して、食べることで命の大切さ、海の大切さを学ぶ貴重な経験を提供できたときは嬉しかったです。釣り好きでもそうでなくなくても、色んな人に体験してもらいたいなと思っています。

 

「演劇」という新たな魅力の創造

釣りのほかに、演劇活動も精力的にされているようですが?

和田:小学生の頃に触れた「ライオンキング」にはすごい影響を受けて高校卒業後、劇団四季に入団し、憧れの「ライオンキング」や「夢から醒めた夢」など多くの舞台に出演させてもらいました。そういった経験をぜひ子どもたちにもして欲しいし、鳴門に演劇文化を根付かせたいと思って演劇を通した地域活性化も目指しています。2021年1月24日には、二人で創作したオリジナルファミリーミュージカル『仕合わせの色』の脚本、歌唱・演技指導を含めた舞台制作のすべてを行い、公募で集まった鳴門市民20名と共に出演して、約300人の方に集まっていただきました。

高橋:昔からすごい引っ込み思案な性分だったんですが、高校生の時に見た劇団四季の「オペラ座の怪人」を見て、人生が変わりました。どうしても演者としてでたいという気持ちが強くなり、人が変わったように知らない人を訪ねたり、新しいことに挑戦するようになりました。心がワクワクする瞬間ていうのは誰でもあって、私にはそれが演劇だった。でも鳴門には演劇に触れられる場所や機会がなかったので、じゃぁ私たちで創ろうとなりました。子どもたちにも、心が動き出す瞬間を体験して欲しいし、自分にとって夢中になれるものがあると人生が一気に変わってくることを知れる機会を提供できればと思います。

 

ゆったり田舎暮らしというよりは夢に挑戦するための移住という印象ですが?

高橋:気持ちは温泉に行ったり、カフェでゆったりしたいと思っているんですが、気が付くと釣りをしていたりします(笑)

和田:地元の人を家に招いてお酒を呑んでても、気が付くとどうやったら街が良くなるかトークが始まって、0時、1時と語りあかしてしまっていて、プライベートと仕事の境目がすごい曖昧な感じです。やりたいことだらけで時間が足りない毎日ですね。

広がる助け合いの輪

将来的なプランはありますか?

和田:釣りと演劇の2つの柱をもっと成長させて、鳴門の魅力づくりに貢献したいですね。釣りの方ではたくさんの人を受け入れる環境を整えながら、インストラクターを増やすなど、新しい雇用を生み出すようなことができればと思います。演劇の方面では、演劇を学べるスクールを運営していて、鳴門の子どもたちを中心に20名程度在籍してもらっています。徳島で演劇を学べる場所はほとんどないので、そういった受け皿づくりもしていきたいと考えています。

高橋:全国的に地域おこし協力隊の地域への定着は課題になっています。鳴門も例外ではないかと思います。外から来た時に安心して鳴門に移住できるような受け皿に私たちがなることで、鳴門の魅力をもっと発信していきたいと思います。あとは都会やほかの地方の動きにもアンテナを張っていきたいので、徳島を拠点に色んな場所に出向いて気分転換も含めて、情報収集をしていきたいというのもありかなと思います。

 

こんな人はぜひ鳴門に移住を。と思うのはどんな方ですか?

高橋:人とのご縁を大切にされる方にはとても素晴らしい街だと思います。私たちも20代前半で鳴門に移住してきて右も左もわからないところからスタートしました。助けてくれたのは地元の方です。その方から数珠つなぎでたくさんのご縁を紹介してくれて、移住が決まる前から人のつながりができました。

和田:自分の人生の中で何かやりたいことがある人、都会では埋もれてしまうけど新しい価値観を生み出したい人にとっては、とてもいい環境だと思います。東京・大阪までも近いので二拠点生活をして都会と田舎の互いの良さを再発見しながら、生きがいづくりをされるといいと思います。遊びに来てくれたら、観光案内はもちろん、鳴門移住の実体験もお話できますのでぜひ一度遊びに来てください。鳴門移住を全力でサポートします!

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